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ORICON NEWS
作る事の楽しさを感じられる本・映画
“家づくり”を通じて家族との絆を取り戻す男の物語
『海辺の家』(2002年)
「余命数カ月を宣告された建築設計士の男が、別れた妻と暮らす息子のために、古くなった家を壊し、新たな家を息子とともに建て直そうとする一夏の物語。自分の人生をその古くなった家に見立てて、自分の父との決別と、壊れてしまった息子との絆を取り戻すために、新しい家を遺そうとする主人公ケヴィン・クラインのこだわりのものづくりのストーリーです。反抗心むき出しの息子との関係だけでなく、再び別れた妻との絆をも取り戻そうとする男の姿が、静かな感動を与えてくれます」
「子どもたちのために遊園地を」、初老のウエイターの夢
『ギャルソン』(1999年)
「主役はイブ・モンタンというだけで、男の哀愁が漂う気がしますが、すでに60歳をすぎても、ギャルソン(ウエイター)姿で、次々に客をさばいていくモンタンの立ち居振る舞いに惚れ惚れします。そのモンタンの夢は、子どもたちのために海辺に遊園地を作ること。中古の遊戯施設のいくつかを買い、大型の滑り台などを仲間たちと設置していきます。遊園地の資金を昔の女に出してもらうあたりは、色男のモンタンの面目躍如でしょうか? この映画でも、周りの女性との色恋沙汰を繰り広げながら、本命の彼女には逃げられてしまうあたりが、いかにも粋な色男の姿です。自分の夢のため、子どもたちのため、自分のこだわりりを貫いて、遊園地作りを成し遂げる姿に、すがすがしい気持ちにさせてくれます」
馬鹿にされても意地を貫き作りあげた、男の夢を乗せた野球場
『フィールド・オブ・ドリームス』(1990年)
「どこからともなく聞こえてくる不思議な声に導かれて、自分の農場の一部を野球場に作り変えてしまう男の物語。野球を通して、悔やんでも悔やみきれない人生を送った人々を、その作り変えた野球場によって、その無念を晴らそうとする映画であるとともに、主人公扮するケヴィン・コスナーもまた、野球選手になりたかった父との和解を野球場作りを通して語られる名作です。周囲に馬鹿にされ、家まで抵当に入れてしまわなければならなくなるほど、金銭的にも困窮する主人公が、男の意地で、野球場を作る姿は、ものづくりとしての男のロマン以外の何ものでもありません」
映画作りと米作りにただならぬ情熱を注いだドキュメンタリー
『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(2016年)
「日本が世界に誇るドキュメンタリー作家、小川伸介監督の総決算とも言える映画。小川プロダクションの米作りの様子を描きます。稲が花をひらく場面や、花粉を顕微鏡で見たり、地下水を調べ、溝をつくり、ポンプで水路にくみ出し、米の収穫を上げたりと、科学的なアプローチが興味を惹きます。その米作りを通奏低音にして、山形県上山市牧野村に伝わる伝承が描かれていき、いつしかドキュメンタリーとフィクションの境界を超えた映画となっていきます。その土地に一軒家を借りて、何年もプロダクションで住み込み、米を作るだけでなく、映画を作ることへのただならぬ情熱と拘りに、戦慄が走る映画となっています」
代官山 蔦屋書店
シネマコンシェルジュ 上村敬さん
『代官山 蔦屋書店』は「次世代のTSUTAYA」をコンセプトに、本・映画・音楽を取り扱うだけでなく、文房具、トラベルカウンターなど、人生を楽しむためのコンテンツを豊富にそろえる。ライフスタイル提案型の店舗の草分け的存在として、新たな読書体験を創造。周辺には『代官山 蔦屋書店』を中核としていくつもの小さな専門店が集結する。「コンシェルジュ」は、豊富な知識を持ち、顧客ひとりひとりに対応できるプロのスタッフ。上村氏は特にカメラワークが面白い映画に精通している。
http://real.tsite.jp/daikanyama/
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『海辺の家』
『ギャルソン』
『フィールド・オブ・ドリームス』
『1000年刻みの日時計 牧野村物語』