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芳根京子、報道記者演じ「ニュースの見方がかわった」働く女性の立場の変遷も体感【オリコン ライターズ】
先輩俳優に囲まれ「みんなで作り上げるのがお芝居の醍醐味」実感
「実際に起きた事件や関係者の証言がベースになっているので、すごく新鮮でした。あと純粋に、日本テレビ開局70周年の記念ドラマに主演で参加させていただけることが嬉しかったですし、キャストの方も大先輩ばかりで、とても豪華だったので光栄なことだなと思いました」
芳根が演じた和泉令は、コロナ禍直前の2019年に日本テレビに入社、慣れない取材に悪戦苦闘しながら働く社会部の新人記者。キャラクターはどう作り込んでいったのだろうか。
「和泉のモデルになった方が報道部の中に3人いらっしゃったので、台本を読んだあとにお話をさせていただいたのですが、そのときに点と点が繋がった感じといいますか、妙に得心しました。台本の中での令はわりと物事をずばずば言う印象で、どうお芝居するか悩んでいたのですが、実際にお会いした皆さんはまさに和泉を体現されていて『あー、そういうことか!』と。それ以降は役作りがしやすくなりました」
芳根も前述した通り、華やかなキャスティングも本作の魅力のひとつ。これについて水を向けると「そうなんです! もうみなさん本当に素晴らしくて」と、目をぎゅっとつむりながら言葉に力を込める。
「(木村)佳乃さんも仲間(由紀恵)さんも以前、お母さん役でご一緒させてもらったことがあって、お二人と共演できるのがすごく嬉しくて。今回のドラマのポスターを見たときに、お二人と一緒に写っている自分を見て、あまりの嬉しさに震えました。ケータイの待ち受け画面にしたいくらい(笑)。残念ながら、仲間さんとは一緒のシーンはありませんでしたが、ポスターで一緒に写っていますし、何より共演できただけでも大満足です。今回は江口(のりこ)さんと佳乃さんとのシーンが多かったのですが、お二人とも色んな人とたくさんコミュニケーションをとって、一個ずつ積み重ねるように撮影をされていて。そんな様子を見ていたら、みんなで作り上げるのがお芝居の醍醐味であるということを改めて感じました」
芳根はさらに「あと、そうそう!」と、楽しそうに言うと、現場でのエピソードを語ってくれた。
「江口(のりこ)さんとのシーンで、私は勢いよく食事をしながらたくさん喋る場面があったのですが、そこが難しくて悩んでいたんです。そうしたら江口さんが『大丈夫よ。こっちがちゃんと受けるから、全然気にせずにやって』とおっしゃってくださって。おかげで、食べることも喋ることも遠慮せずにやることができました。あの言葉は本当にすごく心強かったです」
好きな弁当は“1品もの” 『次に何を食べようかな』熟考で驚きエピソードも
「私が先輩からしてもらって嬉しかったことは極力するようにはしていますし、少なからず『自分が引っ張らなくちゃ』という気持ちは芽生えます。あと現場の経験で得るものはあるので、そこに関してはフォローできる部分はなるべくフォローしてあげたいと思います。ただその反面、何でもかんでもやってあげるのもまた違うとも思うので悩ましいときもありますが…。ただ、そうやって年下の方のことを考えたり、話しあうことで自分も俳優として刺激になっているように感じます」
本作に触れたことで、ニュースに対する見方も変わったという。
「私にとってテレビのニュースや報道番組は、昔から目にしている身近なものでしたし、いまもそうです。大まかな流れとしては、正確な情報をキャッチしてテレビで放映するというシンプルなものですが、その裏側には多くの人の思いや葛藤がぶつかりあい精査、編集されるなど、いくつものフィルターを通し初めて正しい情報として世に伝わる。同じニュース・トピックスでも、角度や視点が変わることで全く別の様相を呈す。そんな大事な作業を毎日続けているという当り前の事実に驚かされました。本作に関わったことで、ニュースや報道番組に対する見方が変わり、それまで単に『いつ、どこで、何がおきた』という事実を知ってさまざまな感情が生まれるだけでしたが、最近はこの映像を切り取ったカメラマンさんはどんな気持ちで撮ったのか、記者さんはどんな思いで取材したのだろうと、ニュースに対する見方に奥行きが生まれたように感じます」
今作を通じて視聴者に伝えたいことは、リアリティのある物語と女性の立場のうつろい。
「今回は報道でしたが、一つの職業の裏側を知れることもドラマや映画の魅力だと思います。実話をもとにした作品ですので、ストーリーにすごくリアリティがありますし、昭和・平成・令和に起きた大きなニュースを振り返えるヒューマンドラマなので、当時のことを思いつつ、没入感に浸ることができると思います。その中で、働く女性の強さや美しさはもちろん、時代ごとによる女性の立場の変遷などを感じていただけたら嬉しいです」
ちなみに芳根は、現場のお弁当やケータリング(食事を配膳、提供するサービス)が大好きな俳優として知られている。好きな”現場メシ”について訊くと「え〜っ(笑)! たくさんありすぎます!」と言い、熟考したあげく決めきれず、なぜか話題は彼女の好きなお弁当の種類の話に。身振り手振りを駆使し、大きな瞳をきょろきょろとさせながら熱弁する。
「ほぼ全てのお弁当やケータリングが大好きですが、強いて言えば、おかずの種類が豊富な幕の内弁当よりもカレーや牛丼など一品物が好きなんです。というのも撮影の合間は時間が限られているのでおかずを選びながら食べると時間がかかってしまい、『次に何を食べようかな』って考えながら食べていると、気づいたら休憩時間が終わっているんです。以前、大阪から帰京する際、おかずの多い彩り豊かな駅弁を買って車内で食べていたのですが、まだほぼ残っているのに、気づいたらもう新横浜で(笑)! あれには我ながらびっくりしました」
(取材・文/キャプテン・オオサワ)
※取材の模様は、3日放送の『ライターズ!』(日本テレビ 日曜深夜1:25)でもご覧いただけます。
(3月5日(火)後8:00〜)
日本テレビの報道記者ら80人に徹底取材を行い、実話をもとにテレビ史に残るニュースの裏側をドラマ化。報道局を舞台に、オウム真理教事件、秋葉原無差別殺傷事件、女子大学生殺人放火事件と時効撤廃、東日本大震災、新型コロナウイルスなど、時代を象徴するような大ニュースと、それらのニュースを伝えてきたテレビ報道記者たちの各世代ならではの悩み、迷い、葛藤を描く。昭和・平成・令和を振り返るヒューマンドラマとなっている。
芳根は、コロナ禍直前の2019年に同局入社、慣れない取材に悪戦苦闘しながら働く社会部の記者・和泉令を演じる。江口は、2003年に同局入社、都内の殺人事件などを取材する「警視庁記者クラブ」に配属され、結婚・出産後も悩みながら働く記者・真野二葉を演じる。
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