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ORICON NEWS
自転車で冒険に出よう。キャンプツーリング紀行 inアラスカ【Part3 デナリの荒野へ編】
原野の中を一本の細い線となってまっすぐ延びる道を行く。
野生動物の存在を身近に感じるヒリヒリとした緊張感の中で、与えられた自由と開放感。
時速20km。夏のアラスカを自転車で旅する。
【Part1.出発編】はこちら
【Part2.パークス・ハイウェイ北上編】はこちら
Route
和田義弥(わだ・よしひろ)
旅やアウトドアなどのジャンルを中心に記事を執筆するフリーライター。これまで自転車でアラスカやフィリピンを、オートバイで世界一周をキャンプツーリングした経験を持つ。現在は茨城県筑波山麓の古民家で田舎暮らしを実践中。著書に『キャンプの基本がすべてわかる本』(エイ出版社)などがある。
01 デナリ国立公園
マッキンリーが、公式に本来の名称であるデナリとなったのは2015年。つい最近のことである。
公園のレンジャーがクマに遭遇したときの対策をレクチャーしてくれた。
「クマが人間の存在に気づけば、大抵はクマの方から避けてくれるが、偶然にも出会ってしまったら絶対に走って逃げるな。背中を見せたらやつらは本能的に追ってくる。そのスピードは時速50km以上だ。視線を合わせたままゆっくり後退して距離をとりながら、クマが立ち去ってくれるのを待つんだ。荷物は手放さずに持っていろ。もしも襲ってきたときはそれでガードするんだ。攻撃をやめなかったら?戦うしかないな。君はクマの生息地にいるんだ。注意は怠るな。自然と対峙する限り絶対に安全な方法などはないよ」