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(更新: ORICON NEWS

男の夏旅『世界の車窓から』ディレクターがすすめる「世界の列車の旅」編

男なら一度はしてみたい、気ままな冒険旅。小説『深夜特急』(沢木耕太郎著)が世代を超えてバックパッカーたちのバイブルになっているように、冒険的な旅には列車が欠かせないようだ。気になる街でぶらりと降りる気軽さや、どんな街に行き着くかわからないワクワク感。車窓から見る景色や人々の生活はもちろん、地元の人と乗り合わせ、触れ合い、文化やその国を身近に感じられるというのが魅力だろう。

今回は、1987年から放送を開始し、今年5月に放送10000回を迎えた長寿番組『世界の車窓から』のディレクター狩野喜彦氏に、“鉄道の旅”の魅力と楽しみ方、おすすめのルート、番組の裏話を聞いた。興味はあれどなかなかハードルの高い“列車の旅”。プロの極意を手に入れて、今年の夏の旅候補にしてみては。
Profile
映像作家・写真家
狩野 喜彦(かのう・よしひこ)

テレビ番組『世界の車窓から』(テレビ朝日系列)の第1回放送からディレクターとして構成・演出を担当。これまでに延べ26カ国、その他の番組を含めると70カ国の取材経験を持つ、いわば“列車の旅”のプロ。
Topics
01 “列車の旅”の醍醐味と楽しむ秘訣(1P)
02 プロが選ぶ「もう一度行きたい列車の旅」3選(2P)
03 「男の夏旅におすすめの鉄道」3選(3P)
04 長寿番組『世界の車窓から』の撮影の裏側(4P)
Chapter01
プロが語る“列車の旅”の醍醐味と楽しむ秘訣
26カ国、延べ18回のロケで“列車の旅”をしてきた狩野さん。自身が感じる“列車の旅”の醍醐味と、狩野さん流の楽しむコツとは―

男心をくすぐる“列車の旅”5つの醍醐味

Charm01
制約がある中で、理想の旅を組み立てるおもしろさ

決められた本数、決められた時刻、決められたルート。車とは違う数々の制約がある中で、いかに旅を組み立てるかが醍醐味。異国の地の分厚い時刻表を読み解きながら、行程という1本の線が繋がったときの爽快感はなんともいえない。「今ではアプリやインターネットを使えば、簡単に行程が組めてしまう。旅先でもタブレット1つで事足りるけど、それでは物足りない。男って時刻表が好きだったりしますよね。あの感覚を楽しんでほしいな」。
Charm 02
ハプニングが結局、一番の思い出になる
ハプニングに遭遇するのも列車の旅ではよくあること。「列車が走らないのが一番困ります。日本では考えられないようなストライキや、天災や脱線事故が起きたり。途方に暮れることや頭にくることもあるけど、日本に帰ってくるとすべてがいい思い出になってしまう。仲間同士で後々まで語れるのって、そういう出来事だったりするんです」。
Charm 03
フレキシブルさが問われる、その腕試しに燃える
ハプニングに合ったとき、その場その場で判断が求められるヒヤヒヤ感がたまらない。男としてもディレクターとしても対応力が試され、“なんとかするしかない”という思いに燃えるという。「昔チリで1本前の列車が脱線事故を起こし、6時間以上動かないことがありました。その後の行程にも撮れ高にも影響がでる。悩んだ末、近くの田舎の村を取材。こんな機会でないと行かないような小さな村で、いい映像が撮れました。そこで撮った少女は、きっともうおばさんになっているだろうな(笑)」。

Charm 04
地元の人と触れ合い、感動したり、考えさせられたり
ローカル列車では地元の人も乗り合わせる。「番組のコンセプトは、“鉄道の旅をしながら、その国の歴史、文化、生活を切り取る”というもの。車両という閉ざされた空間だからこそ、地元の人と密に触れ合うことができます」。生活を身近に感じ、その国の実情や魅力を知るのも醍醐味だ。

「キューバの列車で出会った女性が、包装されていないままのホールケーキを持っていました。聞くと、社会主義のキューバでは子どもの誕生日にケーキの配給があるという。けど紙不足のために包んでもらえなかったのだとか。溶けかけて形の崩れたケーキを大事そうに抱えて帰っていく女性の嬉しそうな顔に、感動と複雑な思いを感じました」。

Charm 05
他人なのに他人じゃない。独特な空気感が味わえる
旅先は見知らぬ人ばかり。でも同じ列車に乗り合わせた乗客の間には、独特な空気感が生まれるという。「6〜7時間移動する長距離列車の場合、同じ車両の人とは顔見知りのようになります。通路を何度か通れば顔も覚える。他人なのに知り合いのような、なんとも言えない独特で居心地のいい空間がそこには生まれます」。

思い出深いエピソードがあるそうで、「南アフリカを走る世界的に有名な豪華列車『ロボスレイル』を取材したとき、たまたま自分の誕生日でした。するとサプライズでケーキと歌のプレゼントがありました。その場に居合わせた乗客たちと列車のスタッフから。見知らぬ人が祝ってくれたことが想像以上に嬉しかったです」。

狩野さん流、“列車の旅”を楽しむ5つのコツ

Method01
「こんにちは」「ありがとう」は絶対暗記
人とのコミュニケーションにおいて一番大切なフレーズはこの2つ。話しかけるときは必ず現地の言葉で。だから国ごとに覚えていくのが鉄則。狩野さんにとって次に大事なフレーズは「写真を撮ってもいいですか?」。

Method02
スマホもいいけど、カメラは最高のツール
「列車に乗っている人は全員取材する」というのが狩野さんのポリシー。最初からテレビカメラを向けるとびっくりさせてしまうから、先に一眼レフを持って「撮ってもいい?」と話しながら会話をする。嫌がる人はほとんどいなく、快く受けてくれるという。「旅行のときもカメラは最強のツールだと思います。『ちょっと撮らせて』と話しかけながら交流すれば、もっと旅が楽しくなるはず。スマホではそうはいかないから、ちゃんとしたカメラがいいかな」。
Method03
列車の種類をあえて変える
一流のシェフがいる列車、新しくて快適な新幹線のような列車、地方のローカル列車。それぞれに違った雰囲気や楽しみ方があるから、予定を立てるときはなるべく違うタイプを組み合わせるのがいいそう。
Method04
計画は季節、国、路線、周辺の街の順
人によって旅先の決め方は様々。狩野さん流“列車の旅”では、この順番だそう。「まずは季節感で国を決定し、時刻表を見ながら路線を探します。列車の本数や乗り継ぎ、その周辺の街について調べながら絞っていきますね。保存鉄道やユニークな列車が走っているところはしっかりチェックします」。
Method05
とにかく何が起きても楽しむ
これが“列車の旅”を楽しむ一番のコツ。「ハプニングが起きたら、その場その場で切り替えていく、それが旅としておもしろいし思い出になります。現地で思いがけずいいモノに出会えたり、貴重な体験ができたり。せっかく冒険に出たなら、思いっきり楽しんでほしい」。

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