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注目俳優・中村倫也が語る“役者”という仕事への転機と覚悟「お世話になった人を笑顔にしたい」

 放送中のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』で演じた“マアくん”こと朝井正人が話題になるなど、いま最も注目を集める俳優・中村倫也。ドラマ、映画、舞台とさまざまなフィールドで多彩なキャラクターを演じ、見る人の心に強烈な印象を残してきたカメレオン俳優が、8月1日に自身初の著書「中村倫也 最初の本『童詩(わらべうた)』」を発売する。「すべてを凝縮させた」という本書について、そして朝ドラの反響や役者としての思いなど、気になる本音に迫った。

<中村倫也>動画インタビュー

朝ドラ出演で幅広い世代から反響 正人との共通点は「平和なやつ」

 『半分、青い。』では、北川悦吏子氏が「ホイップクリームみたいな男子」と表現するゆるふわな雰囲気の優しいキャラで、ヒロインの鈴愛(永野芽郁)も「私の王子様」と夢中になったマアくんを好演した。「今まで街を歩いていて、女性から気づかれることはあったのですが、最近はお父さん世代の方から『朝ドラ見てます』と言っていただいて、ビックリしました。舞台だと目の前にお客さんがいて顔が見えますけど、テレビなどの映像は視聴者の方の顔が見えないじゃないですか。だから話しかけていただくと『こういう人も見てくれているんだ』と感じられて、なんだかうれしいですね」。
 自身とマアくんの共通点を聞くと「平和なやつっていうところですかね」と笑顔を見せる。脚本の北川氏は、中村と会う前から正人役を当て書きしていたそうで、演じるうえでのリクエストも特になかったという。「僕も役について聞かなかったですし、書いてくださったものを僕が料理して、北川さんの想像のプラスアルファを提示できていればいいなと。まだ放送してからお会いしていないので、次に会った時に感想を聞くのが楽しみです」。

 佐藤健が演じる萩尾律と繰り広げる会話シーンも好評だった。「健との2人の場面は、はたから見ると『ふざけているの?』と思われそうな独特の空気感のあるシーンが多かったので、2人で面白く作れたという手応えがありました」。6月6日放送の第58話で引っ越してしまい、それ以降の登場がないが「正人というキャラクターは、なぜか脳裏に居座るような独特なやつなので、また見たいなって思ってもらえたらうれしいですし、“正人ロス”が起きれば再登場もあると思うので(笑)」と含みをもたせている。

 この春には『半分、青い。』のほか、日本テレビ系『崖っぷちホテル』とHuluで配信された『ミス・シャーロック』、さらに映画『孤狼の血』にも出演した。「カオスな状況でしたね。ゆるふわな大学生、競艇狂いのシェフ、ちょっと抜けてる刑事、そしてぶっ飛んだヤクザでしたから(笑)。でも、面白かったですね」。撮影が同時並行することもあるが、「自分の中に、カットがかかった瞬間に戻れる“ゼロ地点”が常にあって、そこからすぐに役にも入れるので、役に振り回されるタイプではないですね。ただ、見てくれている方に『これも中村倫也なの?』って思わせるくらい、振り回してやりたい気持ちはありますよ」といたずらっぽく笑う。さまざまな役を演じきる“カメレオン俳優”と評されることも多いが「役名で声をかけられるのが一番うれしいです。この人の中では自分はそういうイメージという説得力が持たせられているんだな、と自分の仕事の評価になります」と冷静に受け止めている。

俳優人生を変えた転機「泥にまみれてもやるしかない」 蜷川幸雄さんへの思いも

 そもそも俳優になったきっかけはスカウトだった。「小さい頃からずっとサッカーをやっていたけど高校1年で辞めてしまって、ちょうどそんなタイミングで声をかけてもらって。子供のころから映画を見るのは好きでしたが、自分がそっち側に行くなんて考えたこともなかったので、『世も末だな』って高1ながらに思ったり(笑)」。まさかの誘いに驚いたが、「常にやりたいことを考えてきた人生だったので、タイミングもあって『これも縁なのかな』って。やってるうちにだんだん楽しくなってきました」と振り返る。
 気づけばデビューから14年、中堅俳優と呼ばれるキャリアに差し掛かっている。これまでのターニングポイントを聞くと、作品や役柄ではなく、意外な答えが返ってきた。「25歳ぐらいの時にナイーブな思春期の延長みたいな心境で、くすぶってて、世の中を斜めに見ている時期があって、そこで『俺には才能がないんだ』って気づいたんです。それまでも薄々と感じていながら、評価されないのは周りのせいにしたり、才能があるって思っていたかったんですよね。でも、どうやら『俺次第だ』ということがわかって」。そこから1週間ほど家にこもり、弱い自分と徹底的に向き合った。それを超えた時に「泥にまみれてもやるしかない」と決意することができたという。

 もう一つ、転機となったのは故・蜷川幸雄さんとの出会いだった。「ハタチくらいで2作目の舞台の時に初めてお会いして、本当に何もできない時期だったので千本ノックのように鍛えていただきました。女形だったので『お前が演じる女は誰でも入って出ていける公衆便所なんだ!』と罵っていただいたり(笑)」。尊敬と愛情を込めて蜷川さんを“おじいちゃん”と呼ぶ中村。「しばらくして『ヴェニスの商人』という作品に呼んでもらい、また女形をやったのですが、そこで成長した自分を見せることができて、蜷川さんが笑顔になっていたから“おじいちゃん孝行”ができたと思えました。100%やっても満足しない人で、稽古から200%くらいやる、そのために300%くらい準備する。そうしないと、すぐにバレるんです。亡くなられてもう2年が経ちましたが、自分にとってデカい存在だって改めて気付かされています」。

 いまでもたまに、蜷川さんが枕元に立っている夢を見るという。「夢の中でハッと起き上がっちゃうし、目が覚めたらすぐに台本を読まなきゃと思っちゃう(笑)。自分が役者を続けているうちは、ずっとおじいちゃんに見られていると感じています。成長した姿を見せていきたいし、キャリアを重ねるうちに蜷川さんに限らずお世話になった人に笑顔になってもらいたい、という気持ちが強くなってきました」。これからも笑顔にしたい人は、ますます増えていくに違いない。

初著書のタイトルの由来は、役者という仕事に感じる“疑問”から

 初の著書『童詩』は、26歳から5年間にわたって雑誌『プラスアクト』で掲載されたフォトストーリーを収録する。「20代後半って、自分のやりたいことや考えが固まってきたり、男にとって大きい時期じゃないですか。写真を見返すと明らかに顔が男になってきたと感じるし、非常にいい時期を撮っていただきました」。タイトルの由来についても聞いてみると、深く込められた意味を教えてくれた。

 「役者という仕事を疑問に思うことがあるんですよね。芝居というおままごとの延長みたいなことでお金もらって、自分の演技を見てくれた人が泣いたり人生観変わったりするっていうのが、不思議でたまらない瞬間がたまにあります。平和だからこそ成り立つ仕事だし、だからこそ大真面目にままごと遊びをやらなきゃいけないですよね。本のタイトルにも“ぜいたくな遊び”みたいなものを入れたくて、童遊(わらべあそび)という言葉があるから『童』という字を入れて。そして、5年分の作品を集めたのですが、ミュージシャンで例えると毎回の撮影がシングルで、この本がアルバムという感覚があったので、それを表す言葉として『詩』を選びました。この2つの文字が並ぶと童謡っぽいイメージがあって、古来から伝わる普遍的なものであるから、そんな意味もいい感じに混ぜています」

 今月には東京・大阪・名古屋で発売記念イベントも行う。「昔は舞台の出待ちに対応していたのですが、ありがたいことに最近は人が増えてくださって。すべてに対応していたら、いろんなところに迷惑をかけるようになったので、最近はお断りしているんです。だから、Face to Faceでお会いできる機会を作りたいと思っていたので、久しぶりにファンの方と会えるのは楽しみですね」。
◆中村倫也(なかむらともや)1986年12月24日生まれ。東京都出身。2005年に映画『七人の弔』で俳優デビュー。14年に舞台『HISTORY BOYS/ヒストリーボーイズ』で初主演を果たし、「第22回読売演劇大賞」優秀男優賞を受賞。映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』が10月26日に公開するほか、『美人が婚活してみたら』が2019年公開予定。

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