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志尊淳、役者としての“武器“は持たない 「頂ける役を全力で全うしていきたい」

 「トップアイドルになれば地球侵略できんじゃね?」かつてない発想で地球征服に挑む、イケメン宇宙人たちの熱血アイドルコメディードラマ『ドルメンX』が劇場版となってスクリーンにお目見え。主演を務める志尊淳は若手イケメン俳優の筆頭株で、世間への認知度が急上昇している。その中性的な顔立ちを生かし、性別の壁にも捉われない役どころを難なくこなしてきた。ふり幅の広い演技力を持つ志尊はこのような役どころの需要が高まっている今の状況をどう捉えているのだろうか。インタビュー中の会話からは志尊が常々考えている「役者として果たすべき責任」を感じ取ることができた。

漫画原作の実写化作品の役目は、コマとコマの“間”のストーリーを表現すること

――漫画原作の実写化作品への出演が多い志尊さんですが、原作ファンの声をプレッシャーに感じることも?
志尊淳 少し前まで感じていましたけど、今は気にならないです。漫画はコマで表現されますが、実はそのコマとコマの“間”のストーリーは、読者が想像するものだと思うんですね。実写でできることは、その“間”を埋めることかなと思っていて。僕は僕なりのとらえ方で自分の役に落とし込んで、自信をもって演じていますが、その“間”をどのように想像するかは、人それぞれ違うものだと思うので、「あ、こういう意見もあるんだな」と思うくらいですね。気にならないというと違うかもしれないですね…受け入れた上で飲み込めるようになりました。今回は地球征服を企む宇宙人がアイドルを目指すという役ですが、宇宙人として感じる“人間の感情”というところに気を付けながら、コマとコマの間を表現したつもりです。
――地球に来るまで知らなかった“嫉妬”という感情の芽生えに葛藤するあたりでしょうか。
志尊淳 そうですね。人間だったら日常生活で多かれ少なかれ“嫉妬”という感情を持っていますが、『ドルメンX』の宇宙人たちは、地球にきてアイドルを目指すまで、持っていなかった感情が芽生えるわけですから。見た目は人間と同じですけど、中身はそうじゃないんだというところで、宇宙人を表現できたんじゃないかな、と。
――アイドルを目指す上で、ダンスを披露されていますが、手応えのほうはいかがでしょうか?
志尊淳 志尊淳としてではなく、あくまで“隊長”という役を通して踊っていますが、彼はもともと全く踊れない状態からスタートして、そこからがむしゃらに練習して上達していくんですね。だからダンスを始めたばかりの頃と最後では踊り方も全然違うので、その差別化を意識しました。振り付けをして頂いた夏まゆみ先生(※)からは「今回はダンスっていうよりも芝居の一コマだと思ってやってみて」と言われて。その言葉のおかげでだいぶ肩の荷が下りた気がしますね。
――夏まゆみ氏が言う「芝居の一コマ」とは?
志尊淳 歌詞や音楽が持つ意味を自分の中で捉えながら、役を通して踊るということです。だから、踊っている時の表情とかもすごく大事だと言われましたし、自分もそこに注意を払いました。
――点数をつけるとしたら何点でしょうか?
志尊淳 100点です!

性別に関係なく、1人の人間としてその役を全うするのが俳優としての僕の役目

――近年の志尊さんと言えば『女子的生活』でのトランスジェンダー役、『半分、青い。』でもゲイ役など、性別を超えた役柄を演じることが多い印象です。そうした志尊さんの活躍がセクシャルマイノリティとして悩みを抱える方達に対し、ある種の社会的貢献を成していると思うのですが、その実感はございますか?
志尊淳 『女子的生活』に関して言えば僕は性別がどうこうっていうよりも、役者として“小川みき”という役柄を全うして生きることが、理解に繋がるんじゃないのかなと感じました。でも、そこで自分が間違った表現をしてしまうとこれから先、役者として仕事ができなくなるかもしれない。だからこそ命がけでやらせて頂いたつもりです。で、作品が放送されてからいろんな方から反響をもらって。以前の僕みたいに深くそのことについて知らなかった人達が、ドラマを観たのを機に「LGBTって何だろう?」と調べるきっかけになったりしていたみたいですごく嬉しかったですね。
――性別・設定に関係なく、どの役もあくまで1人の人間として捉え、表現していると
志尊淳 はい。僕にとってみきは性別を超えて1人の「みき」という存在だったので、自分なりに真摯に役と向き合って演じさせてもらいました。でも演じた身からすると、“LGBT”とひとつにくくられていても、それぞれ抱えているものは全然違って。だから僕は多くの人に表現できる立場として責任を持って、それぞれの役が感じていることを素直に伝えていきたいですし、この気持ちはこれから先も変わりません。自分としてもそういう役柄と向き合えたことは、すごくありがたいことなだと思います。

“異質”と言われることが増えた 目指すのは“カメレオン”のような俳優

――志尊さんが演じることへの意味合いをどのように捉えていますか?
志尊淳 正直、わからないです。自分が演じることでその役がどのように捉えられるのかわからないですし、演じる人が変わったら同じ役でも持たれる印象は全く違ってくると思うんです。自分ができることはその役と真摯に向き合って表現することだと思うし、今までいろんな経験をさせてもらって少なからず感じることはあるので。それに僕自身、自分の武器を理解できていませんし、例え武器がわかってもそれに合わせて演じようとは考えないです。
――今作での宇宙人役もそうですが、志尊さんは若手イケメン俳優の筆頭株の中でもちょっと特殊な役が多いですよね
志尊淳 作品ごとにふり幅のある役柄を頂けて、尚且つそれを多くの人に見てもらえているというのは嬉しい限りです。「志尊淳いいね」って言われるよりも、「この前、志尊淳がやっていたあの役すごくよかった」と役について言ってもらえるほうが自信に繋がります。最近は「志尊さんって異質な俳優さんですよね」と言ってもらえることが増えたんです。僕自身は全然そういうふうにしているつもりはないんですけどね(笑)。これからも1つのイメージに縛られることなく、どんな役にも染まれるようなカメレオン的な俳優を目指していきたいです。
――志尊さん自身が、これから挑戦したいなと思う役柄は?
志尊淳 自分の想像を超えた役を頂けることがすごく多くて。だから自分が「こういう役をやりたい!」というよりも、皆さんが僕に対してイメージしてくださる役をやらせてもらうほうが僕は楽しみなんです。だから今はどんな役でもやりたいですし、むしろどのような役で僕を使いたいって思って頂けているのかな、というところに興味があります。
――志尊さんのイメージにない、殺人鬼や汚れ役をやる可能性も…?
志尊淳 頂けるのであればもちろんやりますよ。今はとにかく自分の持てる力を全て注ぎ込んで、その役を演じることが全てだと感じています。
――役者として今後身につけていきたい力は?
志尊淳 今まで役者をやっていて無駄なことは何1つなかったなと思っているんです。日常で感じる些細な感情1つから見たり触れたり感じたりするもの…もう全てです。だから好奇心は常にマックス状態でいろんなことに挑戦したいなと思うんですけど、具体的なものを挙げるとしたら何だろう…楽器ですかね? 音楽ができるってかっこいいじゃないですか。
――「かっこいいから」が理由?(笑)
志尊淳 というより、音楽は自分に欠けている才能なんですよ。歌も好きだけど実は苦手で。でもそれを徐々に身につけていけたら楽しいだろうなって思います。これからも多くのことを身につけてもっともっと成長したいですね。役者として、僕はまだ始まったばかりなので。


※夏まゆみ…ダンスプロデューサー。NHK紅白歌合戦のステージングや、長野五輪公式曲の振り付けを担当。その他、吉本印天然素材やハロー!プロジェクト、AKB48、宝塚歌劇団、舞台、映画、PVなど幅広いジャンルの振り付け、演出を手掛ける。

(文/kanako kondo 写真/tsubasa tsutsui)
<ヘアメイク/仲田須加 スタイリスト/手塚陽介>

志尊淳 劇場版『ドルメンX』インタビュームービー

劇場版『ドルメンX』

ある惑星から地球にやってきたイケメン宇宙人・隊長(志尊淳)、イチイ(浅香航大)、ニイ(小越勇輝)、サイ(堀井新太)とアイドルヲタク女子・ヨイ(玉城ティナ)。彼らの使命は、水と緑が豊富な地球を「汚さず、戦争もせず、地球人に気づかれることなく侵略」すること。しかしそんな夢みたいな方法があるはずもなく2カ月が過ぎたある日、とんでもないアイディアが浮かぶ。それは…「地球一のアイドルになって地球人の心を掴み、地球を侵略!」。こうして無謀とも言えるアイドルへの道が始まったのだった。

6月15日(金)公開

原作:高木ユーナ『ドルメンX』(小学館「ビッグコミックス」刊)
監督:小室直子
企画・演出:藤森真実
脚本:樫田正剛
音楽プロデューサー:くっきー(野生爆弾)
音楽:牧戸太郎
振り付け:夏まゆみ
配給:KATSU-do
製作:「劇場版 ドルメンX」製作委員会

出演:志尊淳
浅香航大 小越勇輝 玉城ティナ/桐山漣 堀井新太
白洲迅 青木さやか ほんこん MAG!C☆PRINCE 横山由依(AKB48)
徳井義実(チュートリアル)

(C)高木ユーナ/小学館
(C)2018「劇場版 ドルメンX」製作委員会

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