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『半分、青い。』脚本家SNSが“外伝”として機能、 朝ドラマの新しい楽しみ方に?

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    連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインを演じる永野芽郁

 朝の連続テレビ小説『半分、青い。』(月〜土8:00〜8:15 NHK総合 ほか)の脚本家・北川悦吏子氏のTwitterが視聴者の間で話題となっている。北川氏は自身のTwitterで脚本や演出の経緯、キャラクターに対する心情をたびたび明かしており、視聴者もそれを物語の裏側を知るような感覚で楽しんでいる節がある(直近では7月9日、同作を脱稿=すべての脚本を書き終えたことを報告)。ネタ明かしの塩梅を間違えると視聴者の世界観を侵しかねないが、脚本家自身がSNSでストーリーに直接言及することで、朝ドラの新しい楽しみ方を提示している。

朝ドラ受けに反論? 博多華丸とのバトルも話題に

 北川氏のTwitterが世間の耳目を集めたのは6月25日、北川氏が事前にTwitterで“神回予告”を行なっていた第73回放送直後のことだ。同回では永野芽郁演じるヒロイン・鈴愛が、佐藤健演じる幼馴染役の律に「結婚しないか」とプロポーズされたのだが、『あさイチ』(同)でMCを務める博多華丸は「朝ドラ受け」(直前に放送していた朝ドラを受けて、あさイチの出演者がコメントする企画)にて、「ちょっと待って。今、結婚しないかって言いました? おかしいやろ? なんでアンタ急に。これはプロポーズのオフサイドだ!」と納得いかない旨をコメント。 

 これに対し北川氏は即日、自身のTwitterで「リツは、もしここで逢えたなら、プロポーズしようと思って岐阜に帰って来ています」と説明、「華丸さん、直接、お話したいです!!」と呼びかけたのである。

 翌日の26日、『あさイチ』で博多大吉が「あなたが『プロポーズのオフサイド』って言ったら、北川先生が話があるってSNSでおっしゃってましたけど」と指摘すると、華丸は「やってまった!」と鈴愛の口癖をマネて笑いを誘い、どうにかオチがついたのだが、そもそも脚本家本人が“神回”などとツイートして、視聴者の期待値のハードルを上げることは前代未聞であり、一連の“騒動”もネットニュースなど各所で大きく報道された。

 実際、SNSが普及した現在では、自らのアカウントを持って情報を発信する脚本家も増えている。しかし、「放送中はTwitterを見ないようにしている」、「SNSでドラマについて直接会話をかわすより、おい、勉強しなさいとか、無関係に近いことを言いながら、実はドラマを作る人と見る人の関係だったという方が豊かな気がする」(『おっさんずラブ』/徳尾浩司)という意見や、「予告ツイートはしても、ネタバレはしないと決めている」(『アンナチュラル』/野木亜紀子)など、脚本家のスタンスはそれぞれに違う。そういう意味では、北川氏のスタンスはかなり視聴者側に入り込み、より突っ込んだ内容となっているようだ。

登場キャラに寄り添い、二次創作を生かしたツイートは“戦略的”プロモーション

 最近の北川氏のツイートを見ると、劇中で映画監督役を演じている斎藤工が、実際に劇中映画を撮影すると聞いて、「これ凄くない? 工くんありがとう。笑える。何度見ても」、森山涼次役の間宮祥太朗には「間宮くん、あなどれませんよ!マアくんロス、豊川秋風ロス、律不在、全てをしょって立つ男!」、秋風羽織役の豊川悦司が自らの提案で壁の絵に涙と鳥を描き足すと、「私は、これは怖くて思いつかなかったと思う」、そして出演男性俳優たちには、「綺麗な男の子たちは、みな紳士で王子様。豊川さんも佐藤健くんも。あれはどうしてなの?綺麗に生まれると、自然とああしたキャラクターに、たち振る舞いになるの?たくさんのイケメンを見てきましたが、みなさま紳士でした」(原文ママ)などなど…出演者との良好な関係以上に、一緒に作品を作り上げている人間たちに対する“愛”にあふれているのである。

 また、「#半分青絵」というハッシュタグとともに、Twitter上には北川氏の脚本のイメージを二次創作しているイラストがアップされているが、その中には氏が“誰か書いてくれないかな”とつぶやいたことでイラスト化されたものもある。

 こうした拡散の仕方はSNSならではのものと言えるが、話題性が共感も呼んでどんどん大きくなっていき、視聴者からの反応がさらに増えていく。北川氏自身、視聴者の反応や意見から新たな着想を得て脚本に生かしていくと発言しているが、実際今回のような脚本家と視聴者間の“好循環”の例は、近年の日本ドラマの中でもあまり見られるケースではない。

SNSがドラマの世界観をさらに盛り上げ“サイドストーリー”を作る

 加えて北川氏は先月、「もう数字はいいんじゃないか、と思う。視聴率も録画率も試聴熱もツイート数もDVD売り上げも、いろんな指標がこの世にはあるし、結局計りきれないよ。人の心にどの程度届いたか、なんて。だから、自分の信じるものを作る。それでいいと思うんだ」と独自の見解をツイート。これに対して19000を超えるいいね!が集まったが、同時に「脚本家の言うことではない」、「今NHKでやっているから関係ないっていえるんじゃ?」といった批判もあった。

 北川氏は、「言わないで耐えることも大事」とのツイートもしており、何でも言いたいことをつぶやくように見えて、実は氏もSNSにおける自身の発言には十分気をつけており、また視聴者からの反応を求めているようにも見受けられる。

 今さら言うまでもないことだが、北川悦吏子氏は『素顔のままで』(フジテレビ系/1992年)、『あすなろ白書』(同/1993年)、『ロングバケーション』(同/1996年)や『愛していると言ってくれ』(TBS系/1995年)、『ビューティフルライフ』(同/2000年)、『オレンジデイズ』(同/2004年)といった高視聴率ドラマの脚本を担当してきた超売れっ子脚本家だ。

 普通に考えれば、一般の視聴者の意見に耳を傾けなくてもよさそうなものだが、視聴者のツイートにもきっちりと反応し、自分の価値観だけでは汲み取れなかった“気づき”をSNSを通じて得ていく。そしてさらに視聴者とともに、ドラマの世界観をドラマの本筋とは異なる“サイドストーリー”へと接続させていくのだ。こうした手法・趣向も、SNS時代の新しいドラマの作り方・楽しみ方なのかもしれない。

※上記、北川悦吏子氏のツイートは公式https://twitter.com/halu1224より抜粋。

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