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ORICON NEWS
『半分、青い。』脚本家SNSが“外伝”として機能、 朝ドラマの新しい楽しみ方に?
朝ドラ受けに反論? 博多華丸とのバトルも話題に
これに対し北川氏は即日、自身のTwitterで「リツは、もしここで逢えたなら、プロポーズしようと思って岐阜に帰って来ています」と説明、「華丸さん、直接、お話したいです!!」と呼びかけたのである。
翌日の26日、『あさイチ』で博多大吉が「あなたが『プロポーズのオフサイド』って言ったら、北川先生が話があるってSNSでおっしゃってましたけど」と指摘すると、華丸は「やってまった!」と鈴愛の口癖をマネて笑いを誘い、どうにかオチがついたのだが、そもそも脚本家本人が“神回”などとツイートして、視聴者の期待値のハードルを上げることは前代未聞であり、一連の“騒動”もネットニュースなど各所で大きく報道された。
実際、SNSが普及した現在では、自らのアカウントを持って情報を発信する脚本家も増えている。しかし、「放送中はTwitterを見ないようにしている」、「SNSでドラマについて直接会話をかわすより、おい、勉強しなさいとか、無関係に近いことを言いながら、実はドラマを作る人と見る人の関係だったという方が豊かな気がする」(『おっさんずラブ』/徳尾浩司)という意見や、「予告ツイートはしても、ネタバレはしないと決めている」(『アンナチュラル』/野木亜紀子)など、脚本家のスタンスはそれぞれに違う。そういう意味では、北川氏のスタンスはかなり視聴者側に入り込み、より突っ込んだ内容となっているようだ。
登場キャラに寄り添い、二次創作を生かしたツイートは“戦略的”プロモーション
また、「#半分青絵」というハッシュタグとともに、Twitter上には北川氏の脚本のイメージを二次創作しているイラストがアップされているが、その中には氏が“誰か書いてくれないかな”とつぶやいたことでイラスト化されたものもある。
こうした拡散の仕方はSNSならではのものと言えるが、話題性が共感も呼んでどんどん大きくなっていき、視聴者からの反応がさらに増えていく。北川氏自身、視聴者の反応や意見から新たな着想を得て脚本に生かしていくと発言しているが、実際今回のような脚本家と視聴者間の“好循環”の例は、近年の日本ドラマの中でもあまり見られるケースではない。
SNSがドラマの世界観をさらに盛り上げ“サイドストーリー”を作る
北川氏は、「言わないで耐えることも大事」とのツイートもしており、何でも言いたいことをつぶやくように見えて、実は氏もSNSにおける自身の発言には十分気をつけており、また視聴者からの反応を求めているようにも見受けられる。
今さら言うまでもないことだが、北川悦吏子氏は『素顔のままで』(フジテレビ系/1992年)、『あすなろ白書』(同/1993年)、『ロングバケーション』(同/1996年)や『愛していると言ってくれ』(TBS系/1995年)、『ビューティフルライフ』(同/2000年)、『オレンジデイズ』(同/2004年)といった高視聴率ドラマの脚本を担当してきた超売れっ子脚本家だ。
普通に考えれば、一般の視聴者の意見に耳を傾けなくてもよさそうなものだが、視聴者のツイートにもきっちりと反応し、自分の価値観だけでは汲み取れなかった“気づき”をSNSを通じて得ていく。そしてさらに視聴者とともに、ドラマの世界観をドラマの本筋とは異なる“サイドストーリー”へと接続させていくのだ。こうした手法・趣向も、SNS時代の新しいドラマの作り方・楽しみ方なのかもしれない。
※上記、北川悦吏子氏のツイートは公式https://twitter.com/halu1224より抜粋。