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“若手の登竜門”だけじゃない 『朝ドラ』の汎用性とは?
波瑠、土屋太鳳、有村架純、のんなど…“ザ・若手女優の登竜門”として近年定着
そのほか、高畑充希や芳根京子、波瑠、土屋太鳳など今をときめく若手女優も、朝ドラ出演後に全国区で知名度を上げたパターンを踏襲している。さらに言えば、『ひまわり』(1996年)の松嶋菜々子や『あすか』(1999年)の竹内結子、『てるてる家族』(2003年)の石原さとみも“朝ドラ後の大ブレイク組”と言ってもいいだろう。
“完全ブレイク後の朝ドラ主演”というフォーマットも! 作品に厚みをもたらす経験豊富な女優の起用
中でも、井上が『花より男子』(TBS系/2005年)の6年後に『おひさま』(2011年)に、堀北が『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系/2005年)や『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系/2007年)のだいぶ後に『梅ちゃん先生』(2012年)に出演しているように、若手女優の“完全ブレイク後の朝ドラ主演”という別のフォーマットもでき上がっていると言ってもいいかもしれない。
ただ、今回の安藤のように、いわゆる“個性派”女優、“演技派”女優がヒロインとなった例はそれほど多くない。先述の藤山直美や、1992年の泉ピン子(『女は度胸』)、1990年の山本陽子(『京、ふたり』)などがそうだろうが、朝ドラ史上(日本のドラマ史上)最高視聴率を獲得した『おしん』(1983年)では、ヒロインの少女期こそ小林綾子(当時11歳)が超人気を博したが、青年期は田中裕子、中年期以降は乙羽信子といった演技派・実力派女優が演じていた。
藤山は、単独主演では今でも朝ドラ史上最年長記録で当時47歳。ヒロインのオーディションはなく、いしだあゆみや田畑智子など朝ドラのヒロイン経験者4人が出演し、若手ヒロインはいなくても朝ドラファンにはたまらない魅力となり、話題に。泉は桜井幸子とのダブルヒロインで、当時はまだアイドル歌手のイメージを拭いきれなかった桜井を支え、その甲斐あってか桜井は翌年、ドラマ『高校教師』(TBS系)に観月ありさの代役として主演すると大ブレイク。山本も同じく畠田理恵とのダブルヒロインを務め、畠田もその後に女優として活路を開いた。『おしん』の乙羽にしても、第3部からを円熟したベテン女優が演じたことで壮大なストーリーに厚みが増し、1部2部の若手女優には箔さえついたのである。こうした実力派・個性派女優の朝ドラ主演は、若手女優の成長を支え、助けたという意義においても評価されていいだろう。
「悔しいなと思った」 一度は諦めた朝ドラの夢に挑戦する安藤の並々ならぬ決意
それだけに、今回の安藤の決意にも意気込みにも並々ならぬものがあるようだ。『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)など、多数のドラマ作品で視聴者に“刺さる”演技を見せてきた安藤サクラ。今作では、これまでの若手女優のヒロインにはない、若手実力派女優の“凄み”のある“骨太”な演技に期待したいものである。