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筋トレと炭水化物の摂取タイミングと量が成果に与える影響【プロが教える筋トレ】

著者・監修者プロフィール

和田 拓巳
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療サポートの経験も豊富で、ケガの知識を活かしリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・トレーニングに関する講演会などの講師を務めること多数。テレビや雑誌にて出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆・監修を行い、フィットネスに関する情報を発信している。

Official site:https://wada0129.wixsite.com/takumiwada(外部サイト)

Facebook:https://www.facebook.com/pt.wada(外部サイト)

筋トレにおける炭水化物の役割

体づくりには、栄養戦略が欠かせない。栄養といっても、タンパク質、炭水化物、脂質など多岐にわたり、それぞれをどのように摂るかによって効果は変わってくる。

特に、炭水化物においては、糖質制限ダイエットの広まりによって、ダイエット中にとっていけない栄養素と認識してしまっている人もいるかもしれない。
しかし、間違った知識のまま炭水化物を制限してしまうことは、ダイエットの失敗だけでなく健康を害する危険性がある。

今回は、炭水化物をテーマに、炭水化物の重要性や役割を説明していく。

炭水化物(糖質)は体のエネルギー源

炭水化物は、体のエネルギー源として使われる栄養素だ。正確には、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」を合わせたもののことを指す。今回は炭水化物の中でも、糖質の働きについて説明する。

運動によって糖質が利用される仕組み

まずは、糖質がどのように体のエネルギーとなるかを紹介する。

体を動かす際に使われるエネルギー源は、主に糖質と脂質である。糖質は体の中で、血中グルコース(血糖)、肝グリコーゲン、筋グリコーゲンの形で蓄えられている。

体を動かすと、筋肉に貯蔵されている筋グリコーゲンが消費されエネルギーとなる。強度が高い運動を長時間継続できない理由が、この筋グリコーゲンの枯渇によるものだ。筋グリコーゲンが枯渇すると、筋肉が収縮できず、動かなくなってしまうのだ。

筋グリコーゲンが枯渇すると、血中に存在しているグルコースが使われていく。しかし、血中グルコースの量はほんのわずかしかないため、少なくなっていくと肝臓で貯蔵されているグリコーゲンが分解されて血中に流れだし、エネルギーとして使われる。

このように糖質は色々なところに貯蔵され、運動の強度や時間などによって順番に消費されていくのだ。

筋トレに糖質摂取が必要な理由

筋トレをしながら、糖質制限をして炭水化物の摂取を極力少なくするというボディメイクをしている人も多いかもしれない。しかし、筋トレにとって糖質は必要な栄養素であり、完全にカットしてしまうと様々な弊害が出てくる。

筋トレをはじめ運動時は、体内に糖質を多く確保しておくことで、パフォーマンスを極力低下させずに継続することができる。また、強度の高いハードなトレーニングでの力の発揮を可能にしたり、運動中の集中力を維持することに役立つ。
その為、アスリートは大切な試合に合わせて炭水化物の摂取量をコントロールし、試合時に最大限に糖質が貯蔵されている状態を作る「カーボローディング」を行うことがあるほどだ。

また、運動中・運動後の筋肉量の減少を防ぐことにもつながるため、効率の良い筋トレを目指すのであれば、糖質の摂取は欠かせないだろう。

トレーニング前後の炭水化物摂取の重要性

トレーニングの実施前や実施後に炭水化物を摂取することで、筋トレの効果を引き出しやすくなる。ここでは、トレーニング前後の炭水化物摂取の重要性を解説していく。

筋トレ前

トレーニング中のエネルギーを補充するために、筋トレ前は炭水化物の摂取が必要だ。
空腹の状態で筋トレを行うと、筋出力の低下や集中力の低下などによりトレーニングの質が低下してしまう可能性がある。また、エネルギー不足のまま運動を続けることで、筋肉の分解に繋がってしまうこともあるため、筋トレ前は糖質を補給しておきたい。

ただ、筋トレ直前の摂取には注意が必要だ。
トレーニング直前に食べ物から摂取すると、摂取した食べ物がお腹の中にたまったままトレーニングを行うことになり、腹痛を起こしてしまうなどの悪影響を及ぼす可能性がある。
しっかりした食事で炭水化物を摂取するのであれば、余裕があるならトレーニング3時間前、最低でも2時間前までには食事を終えておく必要があるだろう。
しっかりとした食事が摂れない場合は、糖質が補給できるゼリーや軽食など消化しやすい軽めなもので炭水化物を摂取しておくようにしよう。

これは筋トレだけでなく、スポーツ競技の試合前でも同様だ。大会などに参加する場合もしっかり炭水化物を摂取しておこう。

筋トレ後

筋トレ後には、タンパク質の摂取が効果的だと知っている人も多だろう。しかし、実はタンパク質だけでなく、糖質を一緒に摂取した方が、筋肉をつける効果が高いということが分かってきている。

筋トレによって枯渇した筋グリコーゲンを素早く摂取することで、筋肉の分解を防ぐとともに、インスリンの分泌を高め、筋肉の合成を促すのだ。

筋トレ後は、素早く筋肉に糖質を供給するために、高GI値の炭水化物を摂取すると効果的だ。
炭水化物の摂取は、プロテイン同様30分以内に摂取すると効果的とされている。最速で補給できるのはグルコース(ブドウ糖)。グルコースのサプリメントも販売されているので、筋トレ後、プロテインと一緒に摂取するとよいだろう。

目的別:バルクアップと減量での炭水化物の摂り方

次に、目的に合わせた炭水化物摂取の方法を解説していこう。今回は、「バルクアップ」と「減量」をテーマにしてみた。

バルクアップの場合

バルクアップを目指す場合、炭水化物の摂取は以下の通りだ。

摂取量目安

体重1kgあたり4〜7gの炭水化物(例: 体重60kgの場合、240g〜420gの炭水化物を1日に摂取。)
・筋トレ初心者や日常での身体活動が少ない場合:4〜5g
・高強度トレーニングをしている場合: 5〜6g
・ハードゲイナー(筋肉がつきにくい人)の場合:6〜7g

国際スポーツ栄養学会(ISSN)が発表しているアスリート向けの栄養ガイドラインでは、筋肥大を目指す場合、体重1kgあたり4〜7gの炭水化物を推奨されている。
また、アメリカスポーツ医学会(ACSM)では、激しい運動を行うアスリートに体重1kgあたり5〜12g(7〜12gは持久系アスリートの場合)の炭水化物摂取を推奨している。

摂取カロリーが消費カロリーを上回ることがバルクアップの基本だ。特にハードゲイナーの人は食が細い場合が多い。意識して炭水化物を摂取するようにしよう。

摂取タイミング

バルクアップの場合は、常に体内にエネルギーが満ちていることが欠かせない。空腹の状態を作らないようなこまめな栄養補給が必要だ。3食だけでなく間食などで食事回数を増やし、常にエネルギーを蓄えておこう。

とはいえ、毎回大量の炭水化物を摂取しては脂肪も蓄積してしまう。
炭水化物の摂取の中心は、やはりトレーニング前後になるだろう。
就寝中はエネルギーの消費が少ないため、夜の炭水化物を控えることで脂肪燃焼を優先させることも大切だ。

減量の場合

減量の場合は、以下のような戦略がおすすめだ。

摂取量目安

体重1kgあたり2〜5gの炭水化物(例:体重60kgの場合、120g〜300gの炭水化物を1日に摂取。)
・筋トレ初心者や日常での身体活動が少ない場合:2〜3g
・高強度トレーニングをしている場合: 3〜5g

総カロリーが消費カロリーを下回る必要がある。とはいえ、摂取カロリーを減らすために炭水化物を完全に制限するという方法は、減量中でもおすすめできない。炭水化物をカットしてしまうと、筋肉が分解されエネルギーとして消費されてしまう。減量といっても、筋肉を減らしてしまっては意味がないだろう。

特にアスリートの場合は、減量中でも体重1kgあたり3〜5gを維持することが理想的である、とACSMは提唱している。

摂取タイミング

減量中の炭水化物摂取タイミングとしては、基本的にバルクアップの時と同じだ。
トレーニング前後を中心に、エネルギーを多く使う前に補給しておくとよいだろう。

全体的には摂取量を抑えつつ、エネルギーが必要なトレーニング前後には、しっかり摂取するようにしよう。

炭水化物とタンパク質のバランス

先述の通り、筋肉を作るにはタンパク質の摂取だけでなく、炭水化物を同時に摂取したほうが、効果が高いことがわかっている。ここでは、炭水化物とタンパク質のバランスについて解説してみよう。

炭水化物+タンパク質の組み合わせが効果的な理由

炭水化物とタンパク質を組み合わせた摂取が筋肉の合成や回復を促進する理由は、お互いの栄養素が相乗的に働き、筋グリコーゲンの再補充や筋タンパク質の合成を効果的にサポートするからだ。

筋トレ後は、筋肉が栄養を受け入れやすい状態である。そのタイミングでタンパク質を摂取することが効果的なのだが、トレーニング後は筋グリコーゲンなどのエネルギーが不足しており、タンパク質の摂取だけではエネルギー回復が優先され、効果的な筋肉づくりが行われない。そのため、炭水化物を同時に摂取することでインスリンの分泌を促し、エネルギー補給を行うことで、筋肉に必要なタンパク質を活用することができるようになる。また、炭水化物を摂取して分泌されるインスリンには、筋タンパクの分解を抑制する働きもある。
●炭水化物:インスリンを介して筋グリコーゲンの補給や、筋分解ホルモン(例: コルチゾール)の分泌を抑える。
●タンパク質:分解された筋肉を再構築するための素材として使われる。

炭水化物とタンパク質の摂取割合

炭水化物とタンパク質は、どのくらいの割合で摂取すればいいかという疑問が出てくる。
その際に参考にしたいのが「PFCバランス」だ。

PFCバランスとは、三大栄養素である『タンパク質=P』、『脂肪=F』、『炭水化物=C』の摂取バランスのことを指す。摂取カロリーのうち、どのくらいの割合でP・F・Cを摂取しているかを示した比率のことだ。

摂取エネルギーを目安にしていると、1日の食事で「何」を「どれだけ食べたか」を管理することが難しい。そのため、摂取エネルギーは管理できていても、栄養バランスが崩れてしまうことが多く、結果、効果があらわれにくくなってしまう。

PFCバランスを計算しながら食事を選ぶことで、結果的に摂取エネルギーを抑えることができるだけでなく、適切なタンパク質と炭水化物の量を確保できるだろう。

※PFCバランスについては過去記事「PFCバランスは必要?理想的な食事メニューや計算方法を紹介【プロが教える筋トレ】」にて詳しく解説している。参考にしてみてほしい。

実践例:1日の摂取例と具体的な食事例

最後に、実践しやすいように1日の具体例を紹介してみたい。紹介する摂取例はあくまでも参考だ。個人の目標やライフスタイルに合わせて調整してみよう。

【バルクアップ】1日の摂取例と具体的な食事例(体重60kgの場合)

炭水化物量を体重1kgあたり5g(300g)とし、タンパク質(体重1kgあたり1.6〜2.2g)、脂質(総カロリーの10〜20%)を組み合わせた例を紹介する。
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朝食(7:00)
■炭水化物量: 約60g
o 白米 100g(炭水化物 35g)
o バナナ 1本(炭水化物 25g)
o 牛乳 100ml(炭水化物 5g)
ポイント: 朝は炭水化物でしっかりとエネルギーを補充しておき、活動に備える。
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間食(10:00)
■炭水化物量: 約40g
o 全粒粉パン 1枚(炭水化物 15g)
o ピーナッツバター 小さじ1(炭水化物 5g)
o リンゴ 1個(炭水化物 20g)
ポイント: 中間補給として低GIの炭水化物を摂取し、エネルギーを持続させる。
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昼食(12:30)
■炭水化物量: 約70g
o 白米 115g(炭水化物 40g)
o サツマイモ 80g(炭水化物 25g)
o 蒸し野菜(ブロッコリー、にんじん)150g(炭水化物 5g)
ポイント: 複合炭水化物を中心にエネルギーを確保。
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トレーニング前(16:00)
■炭水化物量: 約30g
o 全粒粉クラッカー 5枚(炭水化物 30g)
ポイント: トレーニングでのパフォーマンス向上のため、吸収が早い炭水化物を取り入れる。
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トレーニング後(18:30)
■炭水化物量: 約50g
o 白米 115g(炭水化物 40g)
o ホエイプロテイン(牛乳150mlと混ぜる)(炭水化物 10g)
ポイント: 筋グリコーゲンの再補充を意識して、高GIの炭水化物を摂取。
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夕食(20:00)
■炭水化物量: 約30g
o 白米 75g(炭水化物 25g)
o サラダ(豆類やコーンを少量含む)1皿(炭水化物 5〜10g)
ポイント: 夕食は脂肪を抑え、消化が良い食品を選ぶ。
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寝る前(22:00)
■炭水化物量: 約20g
o ヨーグルト 150g(炭水化物 10g)
o ベリー類(ブルーベリー、イチゴ)50g(炭水化物 10g)
ポイント: 睡眠中の筋分解を抑えるため、タンパク質と少量の炭水化物を組み合わせる。
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【減量】1日の摂取例と具体的な食事例(体重60kgの場合)

炭水化物量を体重1kgあたり3g(180g)とし、タンパク質(体重1kgあたり1.6〜2.2g)、脂質(総カロリーの10〜20%)を組み合わせた例を紹介する。
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朝食(7:00)
■炭水化物量: 約50g
o 食パン 1枚(炭水化物 30g)
o バナナ 1本(炭水化物 20g)
ポイント: 朝は一日の活動に備え、炭水化物をやや多めに摂取。
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昼食(12:30)
■炭水化物量: 約45g
o 白米 100g(炭水化物 35g)
o 野菜の蒸し物(ブロッコリー、にんじん)150g(炭水化物 10g)
ポイント: 昼食はトレーニングに備えたエネルギー補給として、炭水化物をしっかり摂取。
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トレーニング前(16:00)
■炭水化物量: 約20g
o 全粒粉トースト 1枚(炭水化物 15g)
o ホエイプロテインシェイク(アーモンドミルク150ml)(炭水化物 5g)
ポイント: トレーニング中のパフォーマンスを高めるため、消化の良い炭水化物を選ぶ。
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トレーニング後(18:30)
■炭水化物量: 約20g
o 白米 50g(炭水化物 18g)
o ホエイプロテインシェイク(アーモンドミルク150ml)(炭水化物 2g)
ポイント: 筋グリコーゲンの補充を意識し、トレーニング後の食事で炭水化物を取り入れる。
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夕食(20:00)
■炭水化物量: 約40g
o 白米 100g(炭水化物 35g)
o サラダ(トマト、きゅうり、アボカド)1皿(炭水化物 5g)
ポイント: 炭水化物を控えめにしつつ、消化が良い食品を選ぶ。
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寝る前(22:00)
■炭水化物量: 約5g
o ヨーグルト 150g(炭水化物 5g)
ポイント: 寝る前は消化に負担をかけず、少量の炭水化物と吸収の遅いカゼインタンパク質を摂取。
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まとめ

ダイエットで敬遠されがちな炭水化物だが、活動をするうえで欠かせない栄養素であり、体づくりにも必要なものであるということを理解していただけたのではないだろうか。

単純に「糖質をカットすれば痩せられる」という考えではなく、体づくりに効果的に活かすことで、健康的に体を作ることができる。炭水化物を賢く摂取し、効果的に理想の体を目指そう。
⇒【プロが教える筋トレの基礎知識・コツ】TOPページ

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