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「筋トレとアルコール摂取」の両立方法【プロが教える筋トレ】
著者・監修者プロフィール
和田 拓巳
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療サポートの経験も豊富で、ケガの知識を活かしリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・トレーニングに関する講演会などの講師を務めること多数。テレビや雑誌にて出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆・監修を行い、フィットネスに関する情報を発信している。
Official site:https://wada0129.wixsite.com/takumiwada(外部サイト)
Facebook:https://www.facebook.com/pt.wada(外部サイト)
和田 拓巳
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療サポートの経験も豊富で、ケガの知識を活かしリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・トレーニングに関する講演会などの講師を務めること多数。テレビや雑誌にて出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆・監修を行い、フィットネスに関する情報を発信している。
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アルコールが筋肉に与える影響
1.筋トレの効果を低下させる
中でも、筋トレの刺激によって分泌され、たんぱく質の合成を促し筋肉を肥大させる働きをしている「テストステロン」は、アルコールを摂取することにより分泌量が低下してしまう。
これは、実際の研究でもわかってきており、運動後のアルコール摂取により、たんぱく質の合成が低下するという結果が出ているのだ。
また、筋肉の合成を促す「mTOR(たんぱく質キナーゼ)」と呼ばれるシグナル伝達経路への影響も考えられる。筋トレやたんぱく質の摂取などにより活発になることが分かっているmTORだが、アルコールを摂取することで活動が低下するという研究結果もある。
その他にも、アルコール摂取によって分泌されるホルモン「コルチゾール」も関係しているだろう。
コルチゾールは、体にストレスを受けた際に分泌され、脈拍数の増加や血圧の上昇など、ストレスに対抗するために働いている。しかし、このコルチゾールが多く分泌されると、エネルギー源である糖を生み出すために、筋肉の分解を促進させてしまうのだ。
このようにアルコールの摂取は様々なホルモンの分泌に影響を与え、筋肉づくりに悪影響をもたらしている。
2.筋肉以外への影響も大きい
●体脂肪の蓄積
アルコールは、摂取後にすぐエネルギーとして使われるという話を聞いたことがある人もいるかもしれない。確かにアルコールのエネルギーは、すぐに消費される「エンプティカロリー」といわれている。
しかし、勘違いしないでほしい。アルコールのエネルギーを消費している時は、食事から摂取したエネルギーは消費されず蓄積していく。その結果、余った分のエネルギーが体脂肪として蓄積されるのだ。
仮に、20gの純アルコールを代謝するためには、男性の場合は約3時間、女性の場合は約4時間かかる。
20gの純アルコールはビールでいえば500ml。たった500mlでも3〜4時間、人によってはそれ以上の時間、体内ではアルコール分解のために働かなくてはいけなくなる。
また、アルコールには食欲増進効果もある。食事量が増えたり、味の濃い食事が食べたくなるため、糖質や脂質、塩分を多く摂取してしまうことにもつながってしまうのだ。
●疲労が抜けにくくなる
睡眠時は体や脳を休め、疲労物質の除去や筋肉の修復などが行われている。その際に重要なのが、睡眠中に多く分泌される成長ホルモンだ。
アルコールを摂取すると睡眠が浅くなり、成長ホルモンの分泌が減ってしまう。成長ホルモンの分泌が少なくなることで、疲労物質の除去や筋肉の回復がしっかり行われなくなってしまうのだ。
●脱水症状
アルコールには利尿作用があり、体外に水分を排出する働きがあるため、水分補給としての効果はない。むしろ、水分が抜けやすくなり、脱水症状を引き起こす場合もある。
アルコールを飲んでいるとトイレが近くなったり、飲んだ後に喉の渇きを感じたことがある人も多いだろう。
トレーニング後のアルコールがおいしいからといって、トレーニング中に水分補給を我慢している人は今すぐ辞めよう。トレーニング中に汗をかいて体内の水分量が減っている状態でアルコールを摂取してしまうと、脱水症状に陥る危険性が特に高くなる。
筋トレ後の適切なアルコール摂取タイミング
とはいえ、アルコールが好きな人にとっては、そう簡単に我慢できるものでもない。ならば、筋トレの影響の少ないタイミングで摂取するのを心がけよう。
ここでは、筋トレ後の適切なアルコールの摂取タイミングを紹介していく。
トレーニング直後は避ける
しかし、トレーニング直後にすぐに飲むというのは避けたほうがいいだろう。
トレーニング直後は、筋肉の合成が活発に行われている時間帯だ。そのため、その時間帯でアルコールを摂取してしまうと、筋肉の合成が阻害されてしまう可能性が高い。筋肉の合成が高まるのがトレーニング直後〜2時間程度。少なくてもその間は、アルコールを摂取するのを我慢したほうが賢明だ。
タイミングよりも飲酒量が重要
トレーニング後でも少ない飲酒量であれば、筋肉への影響は少なく、トレーニング後2時間以降に飲んだからといっても大量にアルコールを摂取してしまえば、筋肉に悪影響をもたらす。飲み過ぎて血中アルコール濃度が高い状態が長く続くと、その分筋肉にも長時間影響を与えてしまうということだ。
タイミングはもちろんだが、飲酒量もしっかり管理しながら飲むようにしたい。
筋トレとアルコール摂取の両立方法
ここでは、適切な摂取量やアルコールの選び方などの具体的な方法を紹介していく。
アルコールの適正量
厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、節度ある適度な飲酒量は、一般的に1日平均純アルコールで約20gとなり
・ビールや酎ハイなど(度数5%)であれば 中ビン1本(500ml)
・ワインや日本酒(度数15%)であれば 1合(180ml)
・焼酎(度数25%)であれば 0.6合(110ml)
・ウイスキー(度数40%)であればダブル1杯(60ml)
・ワインや日本酒(度数15%)であれば 1合(180ml)
・焼酎(度数25%)であれば 0.6合(110ml)
・ウイスキー(度数40%)であればダブル1杯(60ml)
ちなみに女性は男性の半分から3分の2くらいが適正量とされ、お酒に弱い人や高齢者はそれよりも少ない量が適正とされる。
飲むお酒の選び方
アルコールには、ビールや日本酒、ワインやウイスキーなど様々な種類がある。その中で選ぶポイントとなるのは、糖質の多さだろう。
アルコールは、作り方によって「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3種類に分けることができる。
それぞれにどんなお酒が当たるのか、そして特徴を整理してみよう。
【醸造酒】
【蒸留酒】
【混成酒】
ただ、注意しなければいけないのが、先述の通りアルコールの度数だ。血中アルコール濃度が高くなる度数の高い蒸留酒は、かなり控えめに飲まなければいけないだろう。
逆に度数の低いビールなどは、飲みすぎなければ、筋肉に影響を与えにくい。筋肉の分解を心配しつつ、できる限り量を多く飲みたい…という人は、ビールの方が適しているのかもしれない。
好みのお酒か、それとも量か。それは個人の判断で選ぶようにしよう。
筋肉づくりに役立つおつまみを活用する
筋肉づくりのために摂取しておきたいのは、もちろん「たんぱく質」。
おつまみとしておすすめなのは
●グリルチキン:良質なたんぱく質を摂取できる鶏肉はおつまみの代表格。もちろん胸肉がベスト。焼き鳥なども良いが、食べるならタレではなく塩がおすすめ。
●ゆで卵:手軽にたんぱく質を摂取できる。調理も楽でいつでもどこでも食べられる。
●ツナ缶:サラダなどに追加すれば、一気に筋肉飯に。オイル漬けではなく、水煮や低脂肪のものを選ぶとよいだろう。
●サバ缶:ツナ缶以上にたんぱく質を多く含んでいるのが、サバ缶。おつまみとしてそのまま食べられるのもうれしいポイント。
アルコールを楽しむなら、アルコールの美味しさも高めてくれて、体づくりにも役立つおつまみを選ぶようにしよう。ただし、おつまみが合うからといって、飲み過ぎないように。
アルコール摂取で不足しがちな栄養素を補おう
アルコールは、体内に入ると胃と小腸から吸収され、血液によって肝臓へ運ばれる。肝臓では、アルコールが分解されるわけだが、肝臓で分解しきれなかった分については、再度全身を巡って肝臓に戻ってくることになる。このような工程が繰り返し行われているのだ。
肝臓でアルコールを分解するには、多くのビタミンとミネラルが必要となる。また、アルコールによって吸収が阻害されてしまう栄養素も。
そのため、アルコールを飲むと、ビタミンやミネラルが不足しやすくなるのだ。
特に、ビタミンB1の不足には、気をつけたい。
ビタミンB1は、
・糖質をエネルギーに変換
・乳酸を分解し疲労を回復する
・神経系の働きを活性化
・精神の安定
・乳酸を分解し疲労を回復する
・神経系の働きを活性化
・精神の安定
アルコールをモチベーション維持に活用
アルコール好きの人にとって、アルコールを我慢するのはストレスになる。であれば、逆にアルコールを筋トレのモチベーション維持・向上に活用してみてはいかがだろうか。
例えば、チートデイ。週の1日だけアルコールを摂取していい日を作り、その日を楽しみに筋トレに励むのだ。チートデイは、体づくりにも役立つ。筋トレやダイエットの効果が停滞した際に、カロリーを一時的に増やすことで停滞を防ぐことができる。
もちろん、普段はアルコールを極力抑える。それだからこそ、チートデイの効果やモチベーションの向上に効果が期待できるのだ。
まとめ
しかし、生活スタイルの中でアルコールがストレス発散になっている人もいるはずだ。であれば、アルコールの摂取量や種類などを工夫して、うまく筋トレとの両立を図るようにしよう。
普段からアルコールを飲んでいる人は、今回紹介したポイントを参考にして、賢くアルコール摂取し、筋トレとの両立を目指していこう。