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“若者の車離れ”への危機感にメーカーの対応は? ポルシェの国内戦略を聞く「再び“憧れの対象”に返り咲く」

現代の若者の感性「『車にお金をかけるのはダサい』という傾向を感じる」

 若者の車離れが叫ばれて久しい。「電車のほうが便利」「車はお金がかかる」というのがその代表的な理由だ。確かに、交通網が発達した現代、特に都心部では公共交通機関のほうが時間が読めるし、出かけた先で駐車場を探す手間もない。さらに車は購入費だけでなく、駐車場代や保険代、税金など維持費もかかる。サブスクやゲーム、スマホなどにお金をかけたい若者にとっては、必要な時だけレンタカーやカーシェアリングを利用すれば十分と考えるのも当たり前かもしれない。

 そんな若者を取り込もうと、自動車メーカー各社もさまざまな施策を重ねている。汎用性のあるパーツをさまざまな車種で使用し価格をおさえたり、燃費向上のためのシステム、デザインの変化…その一方で、没個性化が進み、「どの車を見ても同じ」と言われる現状が生まれているのも事実。経済成長を背景に、個性的な車が次々生まれた80年代、90年代、若者にとってファッションアイテムのひとつであり、「憧れ」「目標」だった車は、今や単なる「移動手段」、いや特に都市部に関しては、移動手段という位置づけですらないといっても決して過言ではないだろう。

 1963年に伝説の名車911を誕生させて以降、ル・マン24時間レースをはじめ、世界の名だたるレースで勝利を収め、その性能からも、価格面からも“夢のスポーツカー”として世界に君臨してきたポルシェもまた、若者の車離れには危機感を感じているという。

「ファッションと密接なつながりがあった80年代、90年代とはうってかわって、今、若者の間では車にお金を使うのはダサいというような傾向があるように感じています。ただ、車を運転するのは楽しいことだし、その文化は伝承していかなければいけないと思います。同時にこれまで築いてきたポルシェの良さも私たちは伝えていきたいので、若者にもう1回、車に興味を持ってもらえるよう、尽力したいと考えています」(ポルシェジャパン 執行役員 マーケティング&CRM部 前田謙一郎氏)

 その訴求のための最高のパートナーとして、ポルシェジャパンが選んだのが大谷翔平選手だった。

近年はポルシェ=素敵な年配の方が乗る車というイメージ「若い世代も憧れる形に」

 時代の最先端を走るスポーツカーメーカーとして、夢を追い、挑戦と進化を続けることをモットーにしてきたポルシェには、「夢を追い続ける人のためのブランドでありたい」というブランドビジョンがある。その体現のためにポルシェジャパンでは、これまでも世界で活躍する日本人アスリートを「ポルシェ ドライビングアスリート」に起用し、応援してきた。投手と野手の二刀流という自身のスタイルで日本からアメリカに渡り、活躍し続け、今も夢に向かって挑戦と進化を続けている大谷選手は、まさにうってつけの人物というわけだが、起用にあたっては、こんな願いも託された。

「今回、キービジュアルでは、ポルシェ初のフル電動スポーツカーの『タイカン』と共演していただいていますが、大谷選手のパワフルでスピーディーなプレースタイルと謙虚な姿勢は、まさしく『タイカン』のイメージそのものです。日本は電気自動車の普及率が世界に比べて遅れていますので、『タイカン』と大谷選手を組み合わせることによって、電気自動車をよりメジャーにしたいという思いも乗せました」(前田氏)

 さらに、大谷選手の姿を通して、「近年のポルシェのイメージを変えていきたい」とも意欲を語る。

「近年、ポルシェは素敵な年配の方が乗る車というイメージができていたように感じています。確かに、ポルシェに乗られているオーナーさまは、大事に乗り続けていらっしゃる方も非常に多い。そういった方々ももちろん大切にしながら、若い世代の方々が憧れ、乗っていただけるような形にしていきたい。そもそもポルシェはスポーツ性能を追求したスポーツカーで、決して高級レザーを採用してラグジュアリーを追求した車ではありません。全年代に愛され、応援される大谷選手を起用することで、まずはポルシェにも興味を持ってもらいたいと考えました」(前田氏)

 もちろん、高額ゆえに、若者にとってポルシェは高嶺の花の存在であることは間違いない。しかし、だからこそ、その特徴と魅力を武器に、ポルシェでは若者に向けて他では類を見ない斬新な戦略も次々と打ち出している。

脱“高嶺の花”、老若男女が気軽に立ち寄れる“スタジオ”を展開

 そのひとつが、ドライビングコーチ同乗のもと、ポルシェの各モデルの試乗ができるという体験施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」。今秋で1周年を変えるこの施設には、ポルシェのこんな想いが詰め込まれている。

「ポルシェは、とにかく個性が尖っている車なので、その面白さを実際乗って体験してもらいたいという考えから生まれました。ポルシェの車は“ドリームカー”であらねばなりません。でもそれって、今の時代、テレビCMや新聞広告で大々的に『この車すごいんだよ』と打つような伝え方の時代ではない。実際に乗ってみて『ポルシェってすごいんだな』とリアルに体感していただくことで、ポルシェを自分の現実的な夢として、とらえていただけるようになればと期待しています」(前田氏)

 早くてカッコイイ、そんな非日常的な“ドリームカー”だからこそ抱きがちな、遠いところから眺めるだけの現実感のなさ。だが、実際に触れて、乗ることでその面白さを体感し、よりその夢を間近に感じられる。その想いはショールームにも反映。敷居が高く入りにくいイメージのある高級車のショールームだが、商談以前に、「より多くの人にブランドの魅力を知ってもらいたい」という想いから、都市型コンセプトストア「ポルシェスタジオ」と銘打ったスタジオを設立。誰もが気軽に立ち寄れるショールームを日本橋と銀座という都心に展開し、老若男女にその世界観を感じられるようにしたという。

「小学生から大学生といった若年層にも気軽に来ていただき、『ポルシェってカッコイイよね』と思ってもらえたらというのがスタジオのコンセプトです。ポルシェの魅力を知っていただき、いずれ、お金が貯まったら買いたいというように、ポルシェに対して憧れを持ってもらえたらというのが願いです」(ポルシェジャパン 広報部 広報部長 黒岩真治氏)

 74年間培ってきた揺るぎないブランドの誇りと伝統を背景に、新たな取り組みで次世代に車の楽しさを伝え、“車離れ”が進む若者の心をつかむことができるのか。車のコモディティ化を打破するポルシェのアプローチに期待したい。

取材・文/河上いつ子

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