ORICON NEWS
43年の歴史に幕…ヤマハSR400生産中止に専門店の想い 増産、復活願うも「SRではなくなってしまう」ことへの葛藤
日本のバイクシーンのひとつの時代が終わったような感じでただただ残念
山口隆史生産中止を知ったのは今年の頭です。日本のバイクシーンを大きく盛り上げた車両なので、ひとつの時代が終わったような感じでただただ残念でした。
――生産中止報道後、最後のモデルとなる『SR400 Final Edition』『SR400 Final Edition Limited』が発売されることになりましたが、予約で即完売となりました。このことからもファンの惜しむ気持ちが伝わってきます。
山口隆史専門店の代表でありつつも、いちSRファンとして自分も購入したかったのですが、予約が叶わず、手に入れることができなくて非常に残念です。同じ想いのユーザー様がたくさんおられると思うので、増産してほしいというのが正直な気持ちです。
山口隆史『SR400』は2017年に排ガス規制のため一度生産中止となり、その後復活しましたが、メーカー側からすれば採算の問題もあり、苦しい決断だったと思います。『SR400』を取り扱わせていただくショップ側としては乗り越えてほしかったですし、ぜひ復活してほしいと思っています。その一方で、こうしたさまざまな基準をクリアすることによって、「SRがSRではなくなってしまうのでは?」とも感じます。
価格高騰必至で失われる“乗りやすさ” 「若手ユーザーが買いにくくなるのが心配」
山口隆史発売以来、これほど多くのジャンルで、たくさんのカスタムパーツが発売されているのはSRのみだと思います。いろんなスタイルに変更も容易ですが、ノーマルを愛するご愛好家さんもおられます。
どんなスタイルでもオーナーさんのご趣味で乗られるのが一番かと思いますが、『2%ER』としては、僕個人の趣向も含めラクにロングツーリングに行けるチョッパースタイルがいいかな、と思います。
実際、カフェレーサー、チョッパー、ボバー、トラッカーなど、さまざまなスタイルで制作してきましたが、ここのところはチョッパースタイルのオーダーが一番多いですね。
――手掛けてこられたカスタムを見ると、本当にさまざまな形がありますね。これまででとくに印象深いカスタムSR400はどんなバイクですか?
山口隆史2019年の『YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW』に出展した、チョッパースタイルのSR400ですね。めっちゃくちゃ苦労して、前後サスペンションを制作し、ブレーキを2系統にして公認車検を取得しました(笑)。
山口隆史そうですね…高校生の若者でもバイトをがんばれば買える価格帯、年配のユーザーにも愛される軽さと乗り味。ユーザーでも触りやすいシンプルさ、オーソドックスなオートバイ感、豊富なカスタムパーツなどなど、魅力を挙げるとキリがないですね。
個人的には日本を代表するバイクといえばホンダのカブと、CB、カワサキのZ、そしてSRだと思っています。その中でいちばん自分のバイクライフに合うのが、SRだと感じてのめりこみました。ゆくゆくの『2%ER』の海外展開で、日本人として表に出たいと思っていることもSRを選んでいる要因のひとつです。
――『SR400』が新車としてなくなる今後、市場はどうなっていくと予想されますか?
山口隆史中古車市場は一定の時期まで上昇してその後しばらくは横ばい、その後はゆっくり上昇し続けると思います。本来、価格の部分でも手にしやすかったものが、若手のユーザーが買いにくい価格帯まで上昇することが心配です。
――専門店として、今後どのような役割を果たしていくべきだと考えていますか?
山口隆史専門店としてまずしっかり整備した安全な状態のSRを皆様にお届けし、その楽しさ、魅力を伝えていくことが大きな役割かと思います。
ハード面ではすでにメーカー廃盤の部品もあるので、量産カスタムパーツ製作のノウハウを生かして、そのうちリプロパーツ(メーカー絶版のパーツから型取りをして、製品を分析しパーツを作り出していくこと)にも着手していく予定です。