楽しく乗って高く売る“旧車投資”の可能性 狙い目は大衆車や廉価グレード
投資でお金を儲けようと思ったら旧車は不向き
斉藤投資といっても自分が気に入らないものは買わないし、同じモデルを何本もストックするようなことはしていません。あくまで自分が欲しいと思ったものを買い、それを「売り時」に手放して、次の物を欲しいものリストから購入するという感じです。
斉藤免許取り立ての頃に考えていましたが、あまりうまくいかなかったですね。当たり前ですよね。一般的な車って年々価値は下がり、新車価格を超える車は少なく、購入価格より高く売るという難易度は時計よりもはるかに高い。加えて、腕時計と違って、購入後もお金がかかる。
真面目に『投資』として検討してみましょう。車は購入時に本体価格だけでなく、税金がかかります。加えて都内の場合、駐車場代が月2.5万円と仮定して、年30万円。さらに毎年税金があり、車検や任意保険も考えると安く見積もっても年50万円くらいかかります。それが持っている年数だけオンされていくわけです。車体価格にそれだけの金額を足して、売れるかどうかと冷静に考えれば『難しい』と言わざるを得ないですよね。
斉藤旧車として価値が上がったとしても、新車時の価格を大幅に超えるケースは限られた車種。それも発売から何十年と経過したケースが多い。ガレージが余っている方だったら、抹消登録して保管しておけばいいでしょうが、『使って→楽しむ』という前提だと、買った値段より高く売却するのは難しいでしょう。
また、今ものすごい高額で取引されている車、(トヨタ)2000GTや、ハコスカ、ケンメリ(共に日産スカイラインの愛称)などを今から手に入れようとしても、元値が1000万円とか2000万円という世界なので、今後高くなるとしても購入するハードルは一般人には高いといえます。
需要と供給のバランスは投資の基本 狙い目は大衆車や廉価グレード
斉藤氏が“儲けた”というのは、日産が発売したレパードJ.フェリーという車。ドラマ『あぶない刑事』でタカとユージが乗っていた日産レパードの後継車として発売されたが、一般的にはあまり人気のない車だった。
斉藤税金なども入れて62万円で購入し、73万円で売却しました。この車は生産台数が少なく、中古車市場にもあまり出てこない希少性。しかも低走行車で状態もいいとなると、本当に数が少ない。そうすると、数は少なくても求めている人が複数いれば価格は上がる。『投資』において需要と供給のバランスを考え、見極めることが大切です。
斉藤高級車はなんだかんだ言って残るんです。大事に乗られていることが多いので年数が経っても市場に出てくるんですね。ところが、いわゆる大衆車と呼ばれる車は、使い古され、状態が良くなくなるとスクラップや解体に回されてしまう。月日が経つと同時にどんどん数が減っていくんです。80年代にあれだけ売れていたトヨタカローラや日産サニーも、中古車市場では数が少なかったりします。
斉藤上級グレードは大事に乗られているケースが多いけど、廉価グレードは使い古されていることが多い。トヨタクラウンなんて、廉価グレードの方が価格が高いケースもあります。特に程度の良い低グレード車は激レアなため、そういったモノは、その程度を維持する限り価値が残りやすいと思います。(クラウンスタンダード、デラックスなど)。
斉藤ベンツのCクラス、98年式の1オーナー、走行4万キロくらい、毎年ディーラーで点検を受けてた車が出てきてそれを買いました。安かったです。記録簿とか調べてみると、お年寄りの免許返納に伴って手放したものではないかなと。ベンツの中では、この年代のCクラスはどんどんつぶされているので今後レア車になるんじゃないかと思っています。トヨタプリウスの初代なども注目しています。
斉藤クラシックカーって戦前世代といったヴィンテージもの以外にも、ヤングクラシック、ネオクラシックって言われて年代の浅いものも評価されてきています。この状況に、最初にカーマニアが食いついて、そのあと、都心エリアでアンテナを立てているイケている人が食いついて、そこから地方にどんどん広がっていく。なので、今よりもう少し広がりそうな気はしています。とはいえ、車に投資してお金儲けを考えるのではなく、欲しい車に乗っていく。そして、それが次に乗り換えるときに少しでも高く、購入価格に近い金額で手放せればラッキー、くらいに考えた方がいいと思います。
斉藤由貴生(さいとう・ゆきお)
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として注目を集め、現在Webサイト「腕時計投資.com」内で「腕時計投資新聞」を執筆。また、2015年に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と16年に『もう新品は買うな!』(扶桑社)を上梓した。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として注目を集め、現在Webサイト「腕時計投資.com」内で「腕時計投資新聞」を執筆。また、2015年に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と16年に『もう新品は買うな!』(扶桑社)を上梓した。