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話題の“冷凍ギョーザ”、昭和の東京五輪から半世紀紡いだ進化の証「50年間積み上げてきたものが間違っていなかった」
「身体が資本の選手の口に合うか…」、当初の不安と役目を果たせた安堵
「外国の選手にも召し上がっていただくことは想定していましたが、まさかここまで冷凍ギョーザを取り上げていただけるとは思ってもなかったので、正直驚きました。ここまでの反響は、想定外でしたね」(勝村さん/以下同)
真剣勝負をするために日本にやってきたアスリートたちに食を提供するということは、言葉以上に重い責任を含む。まずは食を通じて選手たちに力を発揮してもらうことが、もっとも重要な役目となる。
「身体が資本の選手たちが、コロナ禍の中で異国の地に来て、口に入れるもの。そこには非常にナーバスになるのが当然ですし、我々としても皆さんの口に合うのかという心配はありました。もちろん自信を持って提供していますが、嗜好は国によって大きく異なりますから。そんな中で食べていただき、満足してくださったということは、純粋に役目を果たせたことへの安心と、役に立てたという喜びを感じました」
日本に冷凍食品が広まった1964年の東京五輪、半世紀を経て「価値を広めることができた」
「流通さんをはじめ、『味の素の冷凍ギョーザが話題になっているね』という声を掛けていただくことが多くなりました。実際、スーパーなど一部店舗では品薄になったとも聞いています。もともとコロナ禍で、冷凍食品の需要は伸びていましたが、海外のアスリートに評価していただいたことが、さらなる追い風になっているような気がします」
和食のほかに、各国の選手の嗜好に合わせて数々の料理が提供された選手村。その中で、なぜギョーザがここまでフィーチャーされたのか。
「ギョーザというと中国のイメージがあるかもしれませんが、あちらは水餃子なんですよね。それが戦後に日本に渡ってきて、蒸し焼きするという日本独自のスタイルが確立しました。2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたように、世界中から注目を集めている“日本食”としての魅力があったのではないかと思います。また、ギョーザと同じく、海外でも小麦粉で具を包む食文化は浸透しているため、馴染みやすい食べ物なのではないでしょうか。ギョーザは、焼いた面はクリスピーで皮はモチモチ、中身はジューシー。そんな食感も受けたのかもしれません」
海外選手の反響を受け、国内からも「味の素の冷凍ギョーザはやっぱりおいしい」「選手もお目が高い」と、味に納得する意見が相次いだ。かつて冷凍食品というと、「手軽ではあるが味が落ちる」と言われた時代もあったが、今ではその認識も過去のものだ。
「日本の冷凍食品の歴史は、約100年。大きく広まったのは、1964年の東京五輪や1970年の大阪万博のときだと言われています。国内外から集まる大勢の人にどうやって食を提供するか? それが問題になったときに、再現性やクオリティが高い冷凍食品が採用されたのです。そこから半世紀が経ち、今回の東京五輪でより進化した冷凍食品の価値を広めることができたことは、業界的にもとても良いことだったと思います」