(更新:)
ORICON NEWS
再現度高すぎな“ダンボールアート”がSNSで反響、捨てられる宿命の素材を作品に
メディアに取り上げられるも、当初は「ゴミで作品を作っている」と言われ
――ダンボールで作品を作り始めたきっかけ、初めて作った作品は?
大野萌菜美さん 大学2年の学園祭で、「ひと晩で海賊の宝箱と、海賊船(帆船)を作ってくれ」と言われたのが初めての作品。宝箱は実物大で、帆船は高さ2メートル。それを展示して、子どもが喜んでいるのを見たのがきっかけです。
――ダンボールで作るアートの魅力とは?
大野萌菜美さん ダンボールは「大事なモノを運ぶモノ」であって、運び終わったら捨てられるのが宿命。強度も耐久性もない。そんな「かりそめで、はかないモノ」で、未来に残ろうとする作品を作ることです。
――“ダンボール女子”として様々なメディアに取り上げられている大野さん。活動当初と比べて、世間の反応や反響の大きさは変わりましたか?
大野萌菜美さん 最初は「ゴミで作品を作っている」という部分だけが取り上げられました。今は精密度や再現度、可愛さが取り上げてもらえて嬉しいです。
――これまで様々な制作活動を行ってきましたが、転機になった活動は?
大野萌菜美さん 自分で勝手に作ったG-SHOCKが、公式から「使いたい」とお願いされたとき。台湾のホテルから「シンボルとなる作品を作って欲しい」と依頼されたとき。テレビ東京の堂本剛さんの番組(『イチゲンさん“おはつ”できますか?』)で、「東京下町の廃業する旅館を作ってくれ」と頼まれたとき、ですね。
『スター・ウォーズ』やエヴァ、お菓子…「究極のデザイン」求めて
――『ピザポテト』や『カップヌードル』などの食品から、戦車やアニメ・映画にまつわるものまで様々な作品がありますが、テーマはどのように決めますか?
大野萌菜美さん 自分の中で「マスターピース」だと思えたものがモチーフになります。袋入りのポテチでも戦車でも「究極のデザイン・カタチになっている」と思えたら作れますし、そう思えなければ作れないです。
――これまでの作品で、とくに反響の大きかったものは?
大野萌菜美さん ミニ四駆(内部再現)、お菓子、戦車、『スター・ウォーズ』のミレニアム・ファルコン。
――そういった作品はどのように制作するのでしょうか?
大野萌菜美さん 図面は描かずに、実物や写真を見て、いきなりハサミで切り出します。最初に切り出した部品に合わせて、どんどん隣の部品を切り出して貼る。夢中になれるのは2週間だから、できるだけ2週間以内で完成できる作品を目指しています。大物の作品は3ヵ月以上かかることもありますが、完成に近づくと「次は何を作るか」でソワソワします。
「SNSで作品を公開する人は、みんな自分の仲間でありライバル」
大野萌菜美さん あと2年、学校があるので両立させて作り続けることです。精密さより可愛さを心がけたい。バズることを目的にするとどんどん自分の気持ちが薄れるので、「これを作りたい」という気持ちに正直になろうと心がけています。ただ、その気持ちは長持ちしないので、できるだけ思いついたら早く手がけて、早く完成させること。
――確かに、最近は一般の方が自作のアートをSNSで紹介し、バズる機会も増えています。そういった風潮についてはどのように思われますか?
大野萌菜美さん SNSで作品を公開する人は、みんな自分の仲間でありライバルです。だから、一緒に頑張りたい。単に技術の凄さを見せつける作品は、あっという間に自分より時間や根気のある人に追い抜かれてしまう。なので、「自分だけが見つけた可愛さ」を大事にして欲しいと思います。
大野萌菜美(おおの・もなみ)
1991年、和歌山県生まれ。大阪芸術大学 キャラクター造形学科在学中よりダンボールアートの制作開始。2013年に『大阪芸術大学展示プロジェクト京2013』にてキャラクター造形学科賞などを受賞。台湾のホテルに作品を出品するなど海外進出を果たしたほか、個展やワークショップ、オンラインサロンの開催を行う。テレビや雑誌ほかメディアでも活躍中。
◇インスタグラム(外部サイト)
◇ホームページ(外部サイト)
◇ブログ(外部サイト)