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今さらだけど気になる俳優・近藤公園、『いだてん』“天狗倶楽部”出演で開花するか
NHK大河ドラマ『いだてん』天狗倶楽部のメンバーとして出演中の近藤公園 (C)ORICON NewS inc.
“見たことある”から“顔と名前の一致”、そしてハマり役へ…バイプレイヤー開花の道
『孤独のグルメ』(テレビ東京)シリーズの松重豊や、今クールの『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京)主演と『私のおじさん〜WATAOJI〜』(テレビ朝日系)に妖精役で出演中の遠藤憲一、木ドラ25『デザイナー 渋井直人の休日』(テレビ東京)で連ドラ初主演の光石研など、『バイプレイヤーズ』(テレビ東京)シリーズの面々も、悪役を含む数々の役をこなした後に、お茶の間的なブレイクを果たしている。
若手でも、2018年に『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)でブレイクした田中圭などはその最たる例だろう。もともとドラマ・映画などの出演本数は同年代の俳優では突出しており、コンスタントに多数出演していた。普通の好青年から、ちょっと薄幸で若くして亡くなる役、腹黒男や嫌なヤツなど、多数演じてきた中で、突如として『おっさんずラブ』の「はるたん」役で世間から“発見”された。本人は何一つ変わらない状態で、これまでの仕事の延長線上である。だが、ともすれば器用貧乏にもなりかねない、達者な“受け”の演技が、脇を固める強烈な個性の俳優たちによって、浮かび上がったのだろう。
また、高橋一生は、『民王』(テレビ朝日系)での有能で真面目で冷静な総理大臣秘書・貝原茂平役を淡々と頼もしく、かつキュートに演じ、『カルテット』(TBS系)での妙なこだわりを持つ「面倒くさい男」家森諭高役で一気にブレイクした。今では、役との強い一体感を示し、どんな役でも強い印象を残す個性派&演技派と認識されているが、かつては平凡な役ばかり演じることが多く、それが悔しかったとインタビューなどで語っている。
蜷川幸雄作品にも出演、脇役で強固な下地を形成してきた近藤公園
そうやって「その都度、心にひっかかる」役者だった近藤公園が、無性に気になる存在になり始めたのは、2017年の『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)での恐怖の「DV夫」役あたりから。さらに同じクールの『コウノドリ』(TBS系)や2018年の『グッド・ドクター』(フジテレビ系)と、医療ものでは家族の命にかかわる決断をする父親役。『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)では、食品偽装を指摘するも、報復人事をちらつかされ、苦悩する工場長を演じ、静かに滲み出る苦悩が視聴者の胸を打った。
さらに、『獣になれない私たち』(日本テレビ系)でワンマン社長が頼る優秀なエンジニアを好演。その存在は、ヒロイン・晶にとっても拠り所であったが、疲労が限界を超え、淡々と転職情報をチェックする姿には、投げやりさや冷淡さも感じられた。
また、故・蜷川幸雄演出の作品への出演経験をはじめ、大人計画以外での舞台経験も豊富で、役柄ごとに違った表情を見せる。そんな近藤公園の“怖さ”は、際立つ特徴がなく、目立たず、爽やかだったり、真面目そうだったり、平凡に見えて、突然狂気のスイッチを軽やかに押してしまうところだ。だからこそ、「怖い犯人」→「穏やかで優しそう」→「やっぱり怖い」→「有能で頼れるし、ちょっと素敵」→「でも冷たい」と、心の奥が読めず、奥行きのある存在感に脳が混乱を生じ、気づくと、この人の姿を画面上で探してしまうのだ。
次はこの人? 『いだてん』で話題、近藤公園が旬のバイプレ俳優に王手
そしてこのタイミングで出演しているのが、大河ドラマ『いだてん』。SNSでは「けもなれで作間さんこと近藤公園氏の素敵具合にハマり、早速いだてんのTNGの近藤公園氏からまたもや目が離せない」「天狗倶楽部に近藤公園がいることに萌える」「天狗倶楽部に近藤公園が居たので、ますます大好きになった」などといった声が挙がっており、視聴者からの信頼感が伺える。役どころは「天狗倶楽部」のナンバー2と言われ、文芸に秀で、電気工学の道に進む頭脳派メンバー・中沢臨川。
知的で文科系の香りのある近藤公園がメガネをかけていることは「安定安心」のビジュアルだが、今回はそこに「すぐに脱ぐ暑苦しい天狗倶楽部のメンバー」であることから、肉体派要素のギャップも加わり、「公園さんとメガネと裸」「近藤公園が出てる…!!脱いでる…!!」と、ちょっとしたお祭り状態が起こっているのだ。派手なスターの生田斗真、強烈な個性を放つ満島真之介の傍らで、一人文科系の雰囲気も漂わせている。実はこの手のタイプは、体育会系やウェイ系が苦手な女性でも「この人だけ周りの人と何か違う」「この人なら話が合う」と勝手に思うことが多く、クラスや会社で一番モテていたりする。何とも近藤公園にピッタリではないか。
バイプレイヤーとして培ってきた確かな実力で、心にひっかかる存在感を放つ近藤公園。『いだてん』の出演を機に、更なる活躍を見せてくれるのではないだろうか。
(文/田幸和歌子)