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バイプレイヤー、ブームの一方で“格差”も?
ベテラン俳優として見せる強面の姿と気さくでひょうきんな素顔のギャップが魅力
その一方で、気さくでひょうきんな素顔、親しみやすい人柄、苦節を耐え抜いてきた人間としての大きさなどが、ベテラン俳優として見せる役柄のイメージとのギャップになっており、そこが注目されて“萌え”として発見されているのが今の特長だ。もちろん大人の男の深く濃い味が女性支持の要因になっているのだが、『バイプレイヤーズ』の場合、メイン6人をキャラクター化したLINEスタンプも10代を始め若い世代の間でかわいいと人気になっている。
「ドラマ本編で語れば、“おじさま脇役俳優”たちをメインパーソンとして扱った木村拓哉主演『HERO』(フジ系)の存在も大きい。なかでも象徴的なのが末次事務官役を演じた小日向文世さんの人気で、“脇役のおじさま萌え”は、コアなファンだけでなく、一般視聴者でも楽しむ環境が整ったと言えるでしょう。同じ頃、山崎努さんら出演の獄中ものの映画『刑務所の中』も、“監獄のおじさまたちに萌えるリラックスムービー”として話題になっています。ここ最近では、『半沢直樹』(TBS系)などの吉田鋼太郎さん、『下町ロケット』(TBS系)などの木下ほうかさんといった、濃い人間的な味のあるアラフィフ俳優ブームもありましたが、これらも今のバイプレイヤーブームにつながっていると言えそうです」(衣輪氏)
ブームの一方で“格差”も発生。脇役から昇格した“バイプレイヤー”という新たな存在
「こうした“格差”の背景には、売れているバイプレイヤーが主演クラスに格上げされて、実は脇役俳優ではなくなっている現状があります。『脇役に徹してこそのバイプレイヤー』との声も挙がっていますが、そもそも脇役から注目されて主演に登りつめるのは自然な流れ。実力派のおじさまたちがゴールデンタイムの連ドラで主演を張りづらいという現代への風刺やパロディ精神で、脇役=バイプレイヤーという表現をいまだ残しているに過ぎないのかもしれない。そう考えるなら、本来の脇役の意味を外れつつあり、ひとり歩きを始めた“バイプレイヤー”は、新たなジャンルと捉えるのもおもしろいでしょう。そして、もしこの流れが定着していくなら、俳優には“主役”以外に“バイプレイヤー”を目指すという選択肢が加わることになる。芸能界やドラマ、作品はさらなる多様性や豊かさを享受するかもしれません」(同氏)
『バイプレイヤーズ』では、長年の経験と実績のあるおじさま俳優を主演として布陣することで、普段は連ドラの単なるゲスト出演ではブッキングできなさそうな豪華俳優を呼べている一面もある。このドラマから、バイプレイヤーたちのキャラクター性の強さとその人気ぶり、俳優仲間のネットワークの厚さに改めて気づかされた関係者も多いのではないだろうか。主役、脇役に関わらず“バイプレイヤー”を活かす作品は今後、さらに増えていくかもしれない。
(文:中野ナガ)