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ORICON NEWS
もはや人気も主役級、バイプレイヤー特需のワケ
国民的大スターよりも安定した渋い演技力に支持集まる
また、視聴者の嗜好が多様化した今、老若男女誰からも愛されるような国民的大スターが生まれにくくなっており、等身大でもキラリと光るバイプレイヤーたちへの需要が集中していると言える。そして遠藤憲一、大杉漣、寺島進、松重豊などもろもろの“コワモテ”バイプレイヤーがみせる、Vシネマなどで演じてきた“悪役イメージ”を覆すようなコミカルな演技も人気の理由だ。例えば遠藤憲一はドラマ『民王』(テレビ朝日系)で、息子の菅田将暉と体が入れ替わるというコミカルな演技もこなしたり、バラエティ番組では恐妻家に怯える一面やとびきりの笑顔を見せたりする。そうした“ギャップ力”もバイプレイヤーの魅力のひとつであり、若い女性からも“カワイイ”と評されるゆえんなのだろう。
日本を代表する監督がこぞって起用する“遊び心”
バイプレイヤーを起用するという制作側による一種の“遊び心”は、井筒和幸、北野武、原田眞人といった日本を代表する映画監督の作品からも伺える。井筒監督は『TO THE FUTURE』で光石研を主役に抜擢し、北野監督も『HANA‐BI』などで当時無名に近かった大杉漣、寺島進を起用することで、いきなりふたりの知名度は上がった。最近の『アウトレイジ』シリーズでも、松重豊、小日向文世、塩見三省といった“悪人顔”をそのままヤクザ役にしており、原田監督にしても『クライマーズ・ハイ』など数作品で、遠藤憲一を重要な役どころに起用しているのだ。
新規顧客もリピーターに 名バイプレイヤーは名バイヤーでもある
バイプレイヤーたちが主役につきはじめた今、“バイプレイヤー”という言葉に込められた意味も変りつつあるのかもしれないし、彼らに続く後進俳優たちにとっても、よい発奮材料になるのではないだろうか。