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「森永ラムネ」45年の軌跡 “ラムネから卒業”させない転機となった『ブドウ糖90%』の強み
45年にわたって愛され続ける“優等生”「少子高齢化でも飽きられない工夫を」
「昔も今も店頭に置いてもらえれば安定した売り上げが見込める商品です。メインのお客さまは30代の親御さんたち で、昔から変わらずお子様のお菓子として購入頂いております」。実際、「ロングセラー商品は何か手を打たなければ売り上げは落ちいていくもの」だが、『森永ラムネ』はどんな時代も変わらず一定の売り上げを保ち続けたのだそう。
とはいえ、「日本の人口が減少傾向にある中、高齢化も進んでいます。そのため、駄菓子は新規のお客さま獲得が難しい状況が続いています」とのこと。『森永ラムネ』も2000年代に入ると、3ヵ月 から半年に1回のペースで新規味の投入をし、「飽きられない工夫」など試行錯誤を繰り返してきたという。
ターニングポイントは“ぶどう糖90%”への注目「想定外の大人の需要が生まれた」
そんな中、期せずして『森永ラムネ』にターニングポイントが訪れる。14年ごろからSNSを中心に、「ぶどう糖90%」が取り沙汰されるようになったのだ。その口コミ効果からTV番組でも紹介され、その認知度は拡大していく。吉積氏は「弊社内でも『ぶどう糖90%』の訴求力に着目しまして、パッケージに大きく表記するようにしました」と説明する。これまで、どうやったら子どもに長く愛してもらえるか? をメインに考えていたが、「ぶどう糖90%」というキーワードをフックに、想定していなかった“大人の需要”を意識するようになったという。
14年以降も『森永ラムネ』はずっと伸長であったが、17年に入り少し勢いが停滞する。吉積氏は当時、「小袋で大人の女性を意識した新商品は出すも思うほどの結果を得られなかった」と述懐する。ただ、その中でも社内ではまだまだ「伸びしろがある」という意識はあった。その様に試行錯誤する中生まれたのが『大粒ラムネ』なのだ。
東大生協でも発売され話題に、受験生や社会人が求める「集中力」で再ブレイク
「発売から45年にわたって“ぶどう糖90%”の品質を保ったこと。そして、子どもの頃に親しんだ『森永ラムネ』 の安心感が影響しているのでは」
何より、14年時の一過性の人気ではなく、ぶどう糖への認知が定着し、オフィスで働く社会人や、学生たちの日常に溶け込んだ点があげられる。事実、スポーツニッポンの報道(18年10月6日付)によれば、東大生協駒場購買部では、『森永ラムネ』を他のお菓子の2倍のスペースで販売。売り上げも今年5月以降は前年比2倍の売り上げだという。
こうした再ブレイクについて吉積氏は、「大人のシリーズとして『大粒ラムネ』を打ち出してきました」と前置きしたうえで、「これほど上手くいった例はあまりない」と笑顔でコメント。まさに、ビジネスマン、受験生を巻き込んだ幅広い層に支持されるに至った「ラムネブーム」。近年は働き方改革も叫ばれているが、そのカギは“集中力”だと言われている。『森永ラムネ』はそんな時代にハマったと言えるのではないだろうか。