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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)
ミキシングによる“改造の楽しさ”を広めた『プラモ狂四郎』の功績、「ドム脚のジオングは衝撃だった」
同じメカデザイナーのパーツでまとめると“統一感”が生まれる
【寝太郎23】「自分のオリジナルガンプラを作りたい」という欲求を実現できる点が醍醐味ではないでしょうか。ただ、自分でイチからデザインすることは難しいので、どうやったら自分なりの“オリジナリティ”を出せるかを考えています。例えば色ですね。シャア専用みたいな自分専用の色を作る、あるいは頭だけでも他の機体と挿げ替えれば、それだけでも“オリジナリティ”が生まれると思います。
――確かに、アニメ『ZZガンダム』ではZガンダムにザクIIの頭を載せた機体「Zザク」、『08MS小隊』は頭部を失った陸戦型ガンダムが陸戦型ジムの物で補修し「ジム頭」で登場。それぞれインパクトを残しました。こうしたミキシングビルドを行う際のポイントを教えてください。
【寝太郎23】この作品はスマホゲーム『ガンダムブレイカーモバイル(以下、ガンブレ)』をプレイしていて着想を得ました。ゲームをやっていて初めて出た星4がイージスガンダムの脚で、それが凄くカッコよくて。それで、「これをベースにミキシングで作っていこう」と考えました。
――なるほど。ではこの機体はゲーム内でも再現可能なのですね。
【寝太郎23】作品を見て「カッコイイ」と思ってもらえた人にゲーム内で再現できるように、また実際のガンプラでも再現できる組み合わせにしています。作品名はガンダムカリスト。『ガンブレ』の主役機はアルテミスなので、同じく神話をモチーフに、アルテミスの従者・妖精カリストから名付けました。
――ミキシングで制作する際のポイントは?
【寝太郎23】私がよくやっているのがメカデザイナーさんでパーツを統一する手法です。今回ですとイージスガンダムのメカデザインは大河原(邦男)先生なので、それをベースに、胴体と頭はストライクガンダム、腕はウイングガンダムといった具合です
【使用ガンプラ】
頭:イージスガンダム
胴:ストライクガンダム
腕:ウイングガンダム
脚:イージスガンダム
背:リックディアス
武器:ガンダムデュナメス 戦国アストレイ
盾:ストライクガンダム
――確かにデザインにまとまりが出ますね。寝太郎23さんはガンダム漫画『ガンダムエース』のミキシングコンテストで優勝されていますが、この時はどんな作品を?
【寝太郎23】漫画版『ガンダムビルドファイターズ』の外伝に登場するオリジナルガンプラを作るというコンテストでした。ダークハウンドとガンダムスパロー(共に『ガンダムエイジ』)を制作しましたが、この際はデザイナーの海老川(兼武)さんがデザインした機体でまとめました。
“現代版”『プラモ狂四郎』で発見した“意外な組み合わせ”
【寝太郎23】僕も『プラモ狂四郎』は大好きで、『新プラモ狂四郎』、『超戦士ガンダム野郎』といった関連漫画も読んでいました。自分だけのガンプラを作りたい、という発想は『プラモ狂四郎』を読んでいた“原体験”による影響が大きいと思います。
――腕時計のベルトを使ったパーフェクトガンダムや、ドムの足をつけたパーフェクトジオングの発想には、当時度肝を抜かされました。
【寝太郎23】「ガンプラは自由」という精神は、この時代から連綿と受け継がれている精神だと思います。
――今回の作品は『ガンブレ』がキッカケとのことですが、このゲームっていわゆる“現代版”『プラモ狂四郎』とも言えますね。
【寝太郎23】当時、狂四郎たちが体験していたシミュレーションルームには憧れました。自分が作ったガンプラが実際に動くし、操縦できるわけですから。『ガンブレ』にもそうした要素が入っていますね。
――自分が大人になる頃には、漫画の世界が実現すると思っていました(笑)。
【寝太郎23】『ガンブレ』をプレイしていて感じたのは、プラモ制作では体験できない“新しい組み合わせ”の発見があることですね。これは『プラモ狂四郎』を読んでいた頃の感覚に近いかもしれません。今回、リックディアスのバックパックを使用しているのですが、最初、これは全然想像していませんでした。ガシャで出たからたまたま組み合わせてみたところ「カッコいいじゃん」という発見と気づきがありました。
――確かにプラモ制作の場合、着想したパーツの組み合わせを試そうと思ったらガンプラを購入する必要があります。でも、試してみて「あれ、想像と違うな…」ってなったら無駄になってしまいますね。
【寝太郎23】ゲームの中なら何度でもいろいろな組み合わせを試せる点は良いですね。もちろん、欲しいパーツがなかなか出ない、というジレンマもありますが(笑)。
――ミキシングの機体ってカッコイイだけじゃなく、凸凹感といいますか、ユルさがあってそこに親しみが生まれますね。
【寝太郎23】僕は作品を作る際にドヤった作例というよりは、見た人が「マネしたい」と思うものを目指しています。
――ガンプラをハードルの高い趣味としてではなく、気楽にできるものしたいと。
【寝太郎23】はい。見た人になるべく“寄り添いたい”と思っていて、今後もそういう作風でいきたいと思います。もし今回の作品を「カッコイイ」と思ってもらえたら、ガンプラでもゲーム内でも簡単に再現できるので、ぜひ気軽に挑戦してもらいたいです。そんな風に、皆と一緒に楽しめるものを作っていきたいです。