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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

「このギャンは、いいものだ」マ・クベの“徒花”を妄想表現【連載27回】

 来年40周年となる『ガンプラ』。老若男女問わず、世界中で人気を誇る強力コンテンツだが、その隆盛の土台となっているのは、ガンプラワールドを自由に創造するモデラーたちの“妄想の世界”だ。今回は、人気模型誌にも作例を提供するトップモデラー・ZIGGY氏の代表作・ギャンをフィーチャー。ガンプラにおける“妄想”の重要性とは。

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“依り代”を求める人の弱さと“戦争の無慈悲さ”をガンプラで表現

――ガンプラにハマったキッカケは何ですか?

【ZIGGY】小学生の頃ガンプラブーム真っ只中でしたが、大人になり、MG(マスターグレード)を知って出戻ってきました。小学生の時と一番違うのはネットですね。ネットでは多くのモデラーさんが素晴らしい作品を発表されていて、「楽しそうだな、自分もやってみたいな」と思ったのがキッカケです。

――今回紹介しているギャンについて、制作した理由は?

【ZIGGY】『機動戦士ガンダム』の世界では、人種や宗教などが一旦リセットされた宇宙世紀です。そのため、「神頼み」みたいなスピリチュアルな視点ってあまり見ないよなって思ったのが理由です。

――なるほど。では、自分なりの“妄想視点”で、スピリチュアルな要素を加味させたということでしょうか。

【ZIGGY】はい。マ・クベが「連邦の白い悪魔」を倒すため、宝玉(パワーストーン)で覆わせた特別仕立てのモビルスーツ、という設定を自分の中で考えました。でも、それが呆気なく敗れる。無機質な機械に人が込めた願いや、“依り代”を求める人の弱さ。“戦争の無慈悲さ”が見えるような作品を目指しました。

――人間、極限の状態では何かに“依り代”を求めてしまいますよね。では、ギャンというMSへの愛着、好きなポイントを教えてください。

【ZIGGY】「徒花」感。時代の狭間で一瞬輝き、散った哀れさをマ・クベやギャンからは感じます。ガンプラ制作の際は、劇中の位置付けや、パイロットの個性を投影したいといつも思っています。なので、このギャンを組みながら、「マ・クベ=壺、美術品嗜好。鉱山開発、石」といった風に連想&妄想を重ねていきました。ちょうどその頃、ナチスの“オカルト傾倒”を描いたTV番組も見ていて、「ガンダムが悪魔なら、お祓いくらいするよね」といったイメージも沸いて、パズルのピース側が勝手に集まってきてくれた感じでした。

――まさに、モデラーならではの妄想や空想が結実した作品なのですね。

【ZIGGY】ガンダムは実在しません。ですから絶対の正解もありません。リアルさを高めるのも、作品に美意識や哲学を反映させるのもイマジネーションあってこそです。ただ、独り善がりでは他人には伝わりません。ガンダム世界の決め事を踏み外さない範囲で、「その発想はなかった!」「…でも、分かるわ」と思わせられたら最高ですね。この『驚嘆と共感のバランス』は絶対に必要な要素です。

「自分の“好き”を信じていい」と気づいた時がターニングポイント

――本作のために参考にした題材、作品があれば教えてください。

【ZIGGY】金縷玉衣(きんるぎょくい・古代中国で、権力者の遺骸を覆ったヒスイ製の装束)です。全身を“念”で覆うイメージは、怪談『耳無し芳一』にも影響されています。オカルティシズムと耽美主義が混在したマ・クベのキャラクター像は渋沢龍彦の小説に出てくる主人公を重ねたりしています。

――コンセプトがとがりすぎていたこともあり、評価されるようになるのに時間がかかったとお聞きしました。

【ZIGGY】そうですね、作品自体が変化したワケではないのですが…(苦笑)。ガンプラの世界が多様化し、作り手の世界観・思想を込めた自由な作品が増えたのは感じます。私のギャンも、そのひとつと認めてもらえたのなら嬉しいですね。

――妄想を大事にされているZIGGYさんですが、子どもの頃と比べて、妄想はどう変化しましたか?

【ZIGGY】様々な知識と経験を得た今の方が、妄想も説得力のある地に足のついたものになったと感じます。あえて引き算・抑制することも覚えました。子どもの妄想はもっと独り善がり、何でもテンコ盛りで…それはそれでパワフルなんでしょうが、見る人には伝わらないと思います。
――妄想のバランス感も必要ということでしょうか。

【ZIGGY】ガンダム作品の知識は正直、世界観を踏み外さない程度にあればいいと思います。むしろガンダム以外の「美しい、カッコいい、夢中になれる」世界を知る方が大事と感じます。妄想のネタは世界中に溢れています。私の場合、それがF1、音楽、ファッション、絵だったり。「片手間にガンプラをやっている」ように見えるかもですが、本人は至って真剣なんですよ(笑)。

――妄想力が最も成長したと思う人生のタイミングはどこですか?

【ZIGGY】映画『2001年宇宙の旅』が、ワケが分からないけど好きでした。THE YELLOW MONKEYの音楽にも何故か惹かれました。後々になって、両者はデヴィッド・ボウイで繋がっていることを知りました。「いいなと感じるものは、全てどこかで繋がっている」「自分の“好き”を信じていい」と気づいたあのときが、そのタイミングと言えるかもしれません。

――では、いま妄想している作品があれば教えてください。

【ZIGGY】世界の神話や伝承のモチーフを落とし込んだ、ターンXを作りたいです。このMSは、月光蝶システムや自己修復機能をもった神のような究極のモビルスーツだと思います。ただ、神も人の創ったものなので、その不完全さ・虚しさ・暴走した狂気を反映出来たらなと。「ガンプラ制作の集大成」としてずっとネタ集め中ですが、この過程もまた楽しいですよね(笑)。

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(C)創通・サンライズ

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