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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

“作画崩壊”ククルス・ドアン専用ザクに魅せられた男、「作画崩壊は空想で補っていた」(連載29回)

『機動戦士ガンダム』シリーズは、世界に誇る日本のポップカルチャーとして世界的な人気を誇る強力IP。その礎となったのは1980年代前半のガンプラブームだ。そんな「ガンプラ」進化の一翼を担ってきたモデラーたちの“妄想力”について、作画崩壊ザクを制作しSNSで話題となったナガ氏(@naaga333)を取材。ククルス・ドアン専用ザクを制作した理由や、その魅力について聞いた。

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“作画崩壊”だけでなく、「ククルス・ドアン回」は社会性を持った名エピソード

――40年前、ファーストガンダムにおける制作現場の窮状・疲弊は深刻だったそうです。そのため、一部の放送回では作画が乱れる“作画崩壊”がありました。ナガさんが制作したのは、『機動戦士ガンダム』の15話、「ククルス・ドアンの島」に登場する“作画崩壊ザク”です。制作することになった理由は?

ナガ偶然ネットで画像を見つけまして、視聴時には気付かなかった魅力にショックを受けたことです。

――では、制作するうえでこだわったポイントはどの部分でしょうか。

ナガ基本的にフル可動、特徴的なフェイスおよびプロポーションの再現は特に意識しました。

――15話は、作画崩壊と言われながらも、名エピソードとしても評価されています。このエピソードへの思い入れを教えてください。

ナガ改めて観てみますと、ジオン軍の脱走兵であるククルス・ドアンの人間性は、戦争によって大きな影響を受けていることが分かります。夜、うなされて起きるシーンがありますが、これは子どもたちの親を殺してしまったことが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になっていることを表しています。

――放送当時、ベトナム戦争の帰還兵の話題が日本にも伝わってきており、そうした空気感や社会性を演出に取り込んでいるのかもしれませんね。

ナガ15話は、それまで主流だった勧善懲悪モノのロボットアニメにはなかった一般兵の苦悩を描いていて、素晴しいエピソードだと思います。この後、アムロ自身もホワイトベースから脱走するわけですが、脱走兵ククルス・ドアンの姿がアムロに影響を与えた部分もあるのではないでしょうか。

当時の視聴者は、CGよりも活き活きとしたMSの動き、迫力を想像力で補っていた

――40周年経ってなお、ファーストガンダムがこれほど愛され続ける理由は何でしょうか。

ナガガンダムやザクなどモビルスーツの活躍はもちろんですが、単純な勧善懲悪ではないドラマに魅力を感じます。決して前面には出てきませんが、子どものご飯を盗む大人、戦争から逃げ出す脱走兵、ジオンに占領されながらも面従腹背する政治的駆け引きなどなど、富野由悠季監督による演出やストーリー構成の妙が本質的な魅力だと思います。

――作画崩壊というマイナス面を差し引いても、御釣りが来るほどのストーリー性があるからこそ、ファーストガンダムでは“作画崩壊がイジリ”として成立するわけですね。

ナガむしろ、視聴時は殆ど気にしていなかったことに驚いています。それは、おそらく脳内で補完されていたために気付かなかった。あるいはCGよりも活き活きとしたMSの動き、迫力を想像力で補っていたのではと考えています。

――大好きだと話されている“作画崩壊ザク”ですが、プラモを制作するうえでどのような苦労がありましたか?

ナガ作為的過ぎないこと、あざとくならないように意識しました。自分の感じている魅力の正体は何か?ということも強く考えました。

――作画崩壊・ドアン専用ザクの反響はいかがでしたか?

ナガTwitterでは拙作を通じて多くの方とご縁が出来ました。ドアンザクの人気を実感しましたね。

――では、次に制作してみたい作画崩壊名場面はありますか?

ナガドアンザクに惚れていますので、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』風仕上げも作ってみたいと思っています。

――普段はどんなテーマ性をもった作品を制作することが多いのでしょうか。

ナガ自分が惚れたりシビれた感覚、その正体を探るのがテーマです。仮説を立てて実証実験を繰り返しているような感じです。今後も、自分の受けた衝撃や感覚をプラモで表現していきたいと思います。

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(C)創通・サンライズ

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