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“続編”とは異なる“その後の世界”描くドラマが好調、原作ファンの拒絶回避に

  • 『花より男子』シリーズの新章『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)主演の杉咲花 (C)ORICON NewS inc.

    『花より男子』シリーズの新章『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)主演の杉咲花 (C)ORICON NewS inc.

 人気マンガを実写化したドラマや映画、いわゆる“原作モノ”が定番となって久しい。「また原作モノ…?」と辟易する声が挙がる一方、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のように大ヒット作が生まれる土壌はまだまだ健在。原作ファンからの拒否反応をいかに回避するかに制作側は毎回苦心しているのだが、近年は原作モノの“その後の世界”を描くという手法が注目されている。現に現在放送中の『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)も『花より男子』シリーズ(2005年〜)の10年後を描いている。「人気作品の続編」でも「パート2」でも「現代版リメイク」でもなく、あえて曖昧でぼんやりとした“その後の世界”を描く意図とは?

オリジナルほど手間はかけられない…原作モノに頼る現実

 原作モノはもともとが人気マンガだけにストーリーも丁寧に作り込まれており、ファンも多く、ある程度の“数字”が見込めるという意図のもと数多く実写化に至っているのは周知の通り。また、熱烈な原作ファンの「好きなコンテンツを自分が支えたい」スポンサー的な思考を持った、ある一定の支持層への期待もあるはずだ。ドラマ放映開始まで海のものとも山のものともつかないオリジナル脚本よりは、初期段階においてハードルが低いことは確かだろう。

 ただ、原作にファンが付いているということは、原作への思い入れも強く、キャスティングやストーリーの改編次第では大きな拒否反応を抱かれてしまう。「原作と比較してどうだったか」を判断基準に、SNSや口コミサイトに低評価が付くとそのまま“大ゴケ”してしまう可能性も高い。

 また、制作側のジレンマが作用するのか、オリジナル性を加える作品が多く、それが裏目に出てしまう場合も多い。その傾向が視聴者の原作モノへの警戒心として定着しており、悪循環に陥っているように見える。その矛先が出演者へ向けられることも多々あるだろう。

原作を知らない一般層にまで訴求出来るか? 各作品が苦心

 その一方で、原作ファンからの支持を得て、さらに新たなファンをつかむことに成功した作品も多い。例えば、1992年に『マーガレット』(集英社)で連載がスタートした人気漫画を2005年に実写ドラマ化した『花より男子』。平均視聴率19.7%を記録し、最終回SPでは22.4%を記録。2007年の続編『花より男子2〜リターンズ〜』でも最高視聴率27.6%と、高視聴率をたたき出した人気シリーズだ。

 他にも、2000年以降、映画『NANA-ナナ-』、『デスノート』、『クローズZERO』、『20世紀少年』、『銀魂』等は熱狂的な原作ファンをも納得させたし、映画・ドラマ『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)は、クラシックという“堅め”のジャンルの実写化へも切り込んだ。また、ドラマ『JIN‐仁‐』、『コウノドリ』、『逃げるは恥だが役に立つ』(以上TBS系)などは、良質なドラマを観た視聴者が原作にも興味を持つというフィードバック現象まで生み出した。いずれにせよ、ストーリーが面白いのは当然として、原作を知らない一般層にまで訴求出来るかが肝となる。

“その後の世界”の利点は、なつかしさを得ながらも比較対象が無いこと

 そして、ここにきて登場してきた“手法”が、前クールの『電影少女』(テレビ東京ほか)や、今クールの『花のち晴れ』と2クール連続で放送されている原作モノの“その後の世界”だ。

 前クールの『電影少女』は連載開始(1989年)から29年後の実写ドラマ化。現代版リメイクではなく、原作の25年後の世界を描き、原作の主人公・弄内洋太はドラマ版の主人公・弄内翔(野村周平)の叔父(戸次重幸)として登場している。当時、思春期真っ盛りの男子にとっては超伝説的な“エッチなマンガ”であり、実写化が決まった際は、ビデオデッキから再生される「アイ」がどこまで再現できるかが話題になったが、「原作愛を感じる」「文句付け所なし」「過激すぎる!笑」等々、高評価を得られる結果に。現代設定でどのように「アイ」が馴染むのか疑心暗鬼だった原作ファンたちを納得させた。

 現在放送中の『花のち晴れ』も、『花より男子』の舞台である”英徳学園”の10年後を描きながら、キャストを一新した「新章」になっている。放送前は「コケてしまうのでは…?」という心配の声がSNSで見られたが、フタを開けてみると「花男とも違っておもしろい」「花男の魅力も再確認できる」との声や、登場人物の「神楽木晴(平野紫耀)派」「馳天馬(中川大志)派」で活発な議論がされている。

 実際には、第1話では道明寺司(松本潤)、第3話では花沢類(小栗旬)が出演するなど『花男』キャストが盛り上げ、『花男』の聖地である「恵比寿ガーデンプレイス」の時計台広場や道明寺邸もオマージュで登場。『花男』世代を“なつかしさ”で納得させた。また、井上真央が演じた『花男』の牧野つくしのように、学園のお金持ち生徒と隠れ庶民の主人公・江戸川音(杉咲花)のちぐはぐな掛け合いや、強烈なお嬢様のライバルが出現するラブコメ要素も健在。徹底的に『花男』を“リスペクト”した戦略が功を奏したようだ。『花晴れ』にも、もともと“その後の世界”を描いた原作マンガがあり、その実写化ということにはなるが、『花男』とはまったくの別世界という点でリメイクのような比較はされず、キャストへの風当たりも強くない。

完成された原作の世界観とオリジナル性、両立が叶う“その後の世界”手法

 原作モノの“その後の世界”は、ファンの多い作品の“良さ”を尊重しつつ、オリジナル性を持たせ、元の作品を知らない視聴者も先入観なく観ることができる。この手法は、原作モノの実写化が飽和状態で、辟易としていた視聴者にとっても納得しやすいだろう。

 また、制作側もオリジナル作品を一から企画するコストや、原作モノで拒否反応のリスクに苦心している現状を考えると、概ね好意的に受け入れている“その後の世界”作品は一筋の光明でもあるはずだ。そこには、たとえ“当たらなかった”としても「視聴者は楽しめていた」と主張できる“逃げ道”や“言い訳”も用意されているという点も忘れてはならない。

 実際に、次クールで7月から放送される土屋太鳳主演のドラマ『チア☆ダン』(TBS系)も、映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』の数年後が舞台のオリジナルストーリー。映画版の登場人物たちに憧れている主人公が奮闘する“その後の世界”が描かれる。原作マンガのみならず、人気を博した“元”の原作モノ作品の世界観とオリジナル性が楽しめる“その後の世界”手法は、今後も多用されるのか? それとも原作に忠実な作品が望まれるのか? その動向に注視したい。

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