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“そっくり俳優”たちが続々とブレイクのきざし
ネットでは俳優、タレントの“そっくり”ネタが大賑わい
また現在、草なぎ剛主演『嘘の戦争』(フジテレビ系)に出演中で、モデル、女優として活躍中の山本美月は、2014年に発売されたファッション誌『CanCam』5月号の表紙で、妹分の堀田茜のそっくり2ショットを披露していた。堀田はその後、女優業もスタートし、『遺産争族』(2015年/テレビ朝日系)や『家政夫のミタゾノ』(2016年/同系)などに出演。2月19日にフジテレビTWOで放送される『感情8号線』の第6話では主演を果たす。
そっくりネタで話題になったあと、いかに個性を打ち出すか
木村拓哉主演の『HERO』(フジテレビ系)第2シーズンでは、田村(杉本哲太)の妻が、その父親である牛丸次席(角野卓造)に似ているという設定を活かし、劇場版ではついに妻役として近藤春菜が登場。ネタが“実”となったことでドラマファンから拍手喝さいを浴びた。現状の人気に刺激を与えることにも繋がるので、芸能プロダクションやメディアが敢えて“そっくりネタ”を仕掛けることも少なくはない。若手の営業にこれを使う敷居も低くなっていることだろう。
人気俳優にそっくりと言われる若手俳優たちにとってこの風潮は、売り出される手段の幅が広がるのでありがたいこと。だが難しいのはそれからだ。注目を集めやすいぶん、「似ている」と言われる俳優と比較されたり、同じイメージや芝居にならないよう気遣わなければいけないなど、制約やプレッシャーも多くなる。一時の注目で埋もれてしまわずに、そこから本人の資質をどう活かすか、またどう異なる個性を打ち出していくかが重要になる。
世間の興味本位の視線さえも利用して生き抜く強さや機転が必要
二階堂ふみに似ていると言われる山本舞香もドラマ『南くんの恋人〜my little lover』(2016年/フジテレビ系)や映画『桜ノ雨』のヒロイン、三井のリハウスCMなどでしっかりと独自のカラーを打ち出して爪あとを残している。このようにイメージが似ていたり、キャラがかぶっていたりということも、最終的にはあまり大きな問題ではない。
実際、山崎努と故・緒形拳は雰囲気や演じる役柄が似ていて、かつては混同する視聴者も一部にはいたが、両者ともにその卓越した演技力で存在感自体が揺らぐことはなかった。中川大志をはじめ、最近の“そっくり俳優”を見ると、いつの間にかしっかりと“別の俳優”としての存在感を示すことが出来ている者が多い。
そこに至るまでには人知れず苦悩を経ているのだろうが、それをバネにする強さと、何より個性の磨き方と光らせ方、見せ方を身に着けてこそ生き残れるのが芸能界。今の時代の俳優には、世間の興味本位の視線さえもうまく利用して生き抜く強さやしたたかさも必要となる。“そっくり俳優”として世に出ることは、自然と個性の活かし方を学んでいくことにつながっているのかもしれない。それをチャンスと捉える俳優も多いのではないだろうか。
(文:衣輪晋一)