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絶滅危機のヤンキー作品、カッコ悪い“コメディー化”で再び優良コンテンツに?

  • 連載終了から20年を経て福田雄一監督によりドラマ化が発表された『今日から俺は!!』(C)西森博之/小学館

    連載終了から20年を経て福田雄一監督によりドラマ化が発表された『今日から俺は!!』(C)西森博之/小学館

 大ヒット漫画『今日から俺は!!』の実写ドラマ化が先ごろ発表された。現在30代〜40代男性の青春期に人気を博した“ヤンキー漫画”であり、「今のこの時代に実写化は無理がありすぎる」、「あの金髪とウニ頭がどこまで再現できるか楽しみ」など話題を呼んだ。かつてヤンキー漫画は、数々の人気ドラマ・映画の原作となった優良コンテンツであったが、近年はヒット作も減少、絶滅危惧種とも囁かれている。そんな中、あえて同作が実写化にチョイスされた要因とは? そこに“ヤンキーもの”が再び優良コンテンツに返り咲くヒントが隠されていそうだ。

伝説のヤンキーギャグ漫画が20年を経てまさかの実写化

  • 金髪パーマの三橋貴志(C)西森博之/小学館

    金髪パーマの三橋貴志(C)西森博之/小学館

 『今日から俺は!!』は、1988〜97年に「増刊少年サンデー」(小学館)と「週刊少年サンデー」(同)で連載され、コミックスの累計発行部数が4000万部を超える西森博之氏の人気漫画。“卑怯な手を使ってでも勝つ!”が信条の金髪パーマの三橋貴志と、“トンガリ頭”の伊藤真司の“ツッパリコンビ”が、他校の不良たちとのケンカや騒動に巻き込まれる姿を描く青春コメディーだ。不良との抗争を描くパートと、キャラクターの日常を面白おかしく描くパートがあり、ヤンキー漫画でありながらギャグ・コメディ要素が多分に盛り込まれている。

 実写ドラマは10月から日本テレビ系で放送され、主人公の三橋に賀来賢人、相棒の伊藤に健太郎が起用される。ライバル(!?)の紅羽高校番長・今井勝俊を太賀、今井の子分・谷川安夫を矢本悠馬が演じ、人気急上昇中の鈴木伸之らの出演も発表された。そして監督・脚本は、映画『銀魂』、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズで知られる福田雄一氏ともなれば、ギャグ要素の強い原作のノリが存分に活かされることも予想され、原作ファンからの期待も寄せられている。

過去“カッコいいもの”として描かれたヤンキー漫画、実写化は若手イケメンの登竜門に

 ヤンキー漫画の“ヤンキー”を不良、ツッパリ、アウトローにまで広げれば、それは昔からドラマ化の定番の素材だった。『愛と誠』は映画版で西城秀樹が不良を熱演し、幾度となく映画化・ドラマ化された名作だ。また、1980年代を代表するヤンキー漫画(連載は2003年まで)で映画も大ヒットした『ビー・バップ・ハイスクール』(1985年)では、主人公・中間徹役は仲村トオル、ヒロシ役は清水宏次朗、ヒロインは中山美穂がリーゼント姿のツッパリ文化最盛期を体当たりで演じた。さらに社会問題にもなった暴走族の抗争を描いた『湘南爆走族』(1987年)では主役の江口洋助役に江口洋介、織田裕二が登場。ヤンキー漫画映画の役名をほぼ芸名としてデビューするという流れもあった。

 1990年代の後半に入るとチーマーが出現し、改造学生服のヤンキー=時代遅れというイメージも広がり“ツッパリ”はなりを潜める。しかしながら、その後の映像作品でも他校との抗争や成り上がりという作品の基本的なテーマは変わらず、映画『ワルボロ』(2007年)では松田翔太、新垣結衣、『クローズ』(同)は小栗旬、山田孝之、『ドロップ』(2009年)は成宮寛貴や水島ヒロ、ドラマ『クローバー』(テレビ東京系/2012年)には賀来賢人、有村架純などが出演し、まだまだ人気を博していたのである。

また、大ヒットドラマ『ROOKIES』(TBS系/2008年)では不良が野球を通して成長していく姿が描かれ、佐藤健、中尾明慶、城田優、高岡奏輔、桐谷健太など、今では大活躍の俳優が多数出演しており、ヤンキーコンテンツは若手イケメン俳優の登竜門としても機能していた。ヤンキーものはバトルやアクションを見せ場とし、仲間を助け恋人を守り、ライバルを倒してのし上がり夢を掴むという一貫したストーリー性を軸に、ビジュアルの良い“イケメン一個中隊”が投入され、群像劇としてフォーマット化されるのである。

無様とカッコいいは表裏一体、“ギャグ化”でヤンキー作品復権の可能性

 “イケメン一個中隊”フォーマットは映像作品として定番の人気を誇るようになるが、一方で「ヤンキー=カッコイイ」という世界観が崩壊していくきっかけにもなった。ジャンルは違えど、不良モノと同様に“抗争”を描いた『仁義なき戦い』シリーズが名作として語り継がれ、現在も任侠作品が愛される理由には、登場人物たちが無様な姿をさらし、惨めに死んでいく様をリアルに描いたことがあげられる。近年の“イケメン一個中隊”フォーマット作品は、カッコいい姿の描写が優先され、無様な姿の描写が疎かにされている感は否めないだろう。

 そこで、長い間若者の心を掴んできた不良・ヤンキーコンテンツを現代で再び復活させるための起爆剤として考えられるのが、ヤンキーの“ギャグ化”である。ギャグを前面に押し出すことで、本質的なカッコよさを演出するという考え方だ。金髪、リーゼント、短ラン、ボンタン…そんないでたちのヤンキーは、現代の若者にとっては異世界の人間であり、“化石”と言ってもいい存在。リアルな不良の姿としてではなく、ギャグにすることによって現代の若者層にとっては新鮮に映り、“ヤンキー世代”には懐かしい絵となる相乗効果も期待できる。その点、先述の『今日から俺は?』はまさに短ラン・ボンタンの世界。そしてそのギャグ化において、コメディの奇才ともいわれる福田監督ほど“マッチ”する人材はいないのではないか。

『今日から俺は?』だけじゃない! “カッコ悪いヤンキー作品”にはお宝コンテンツが多数

 そして、“ギャグ化”の題材として『今日から俺は?』も親和性が高い。主人公の三橋・伊藤は、2人とも根っからのワルではなく、“高校デビュー”の不良。コメディパートでは、女子の尻にしかれ、ライバル(?)の今井(とその手下の谷川)とおバカなやり取りが多彩にちりばめられている。そういったコメディ性を取り込むことによってシリアスパートの“カッコよさ”との対比を効果的に演出している作品だ。

 不良のイメージを“逆手”にとり、“カッコ悪さ”と対比させてストーリーを効果的に展開させる作品はまだまだ多数存在する。チビで最弱の主人公がハッタリでのし上がっていく『カメレオン』、ゴリラ顔の高校生が主人公でどこかオシャレなギャグ要素があった『ゴリラーマン』、また小太りでケンカが弱い走り屋が主人公の『ジゴロ次五郎』、最強の不良が茶道部に入り脱不良計画を企てる『お茶にごす。』(これも西森博之作品)、さらに悪魔のごとき凶悪な顔で天使のような純朴で優しい心を持つ少年が主人公の『エンジェル伝説』など、コンテンツが豊富なだけにギャグ化路線でのヤンキーコンテンツは多くの可能性を秘めている。

 平成最後のヤンキー漫画の実写化になるであろう『今日から俺は!!』。福田マジックがさく裂し、原作世代の男性のみならず若者からも評価される作品となるのか? そんな想いを馳せながら10月の放送を心待ちにしたい。
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