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朝ドラ“王道”フォーマットが支える『とと姉ちゃん』好調要因
15分という短い時間で起承転結、翌日への“切れ目ない期待感”も煽る朝ドラ
こうした展開に対して「もの足りない」との声も出るようだが、では視聴率が落ちず、番組自体は好評なのはなぜかと考えると、朝ドラがそもそも、そのようなフォーマットで描かれるドラマであるからだろう。もともと朝ドラは“時計代わり”ともされて、朝の忙しい15分間で物語を楽しむもの。通常の1話が30〜60分の連続ドラマとは異なり、15分という短い時間のなかで起承転結を描き、翌日の放送もまた観たくなる切れ目ない期待感をあおる作りになる。
もめごとなどの事件が起きても基本的にはそのなかで解決されて、毎日の放送(週6日)のなかで話が進んでいく。それが、嫌な気持ちにならず1日を始められる、ストレスなく観ることができる、毎朝習慣的に視聴するのに適している朝ドラの脈々と受け継がれてきた王道フォーマットなのだ。
冒険的な試みも経て受け入れられている朝ドラの多様性
そんな視聴者層を拡大する流れも経て、現在の朝ドラブームとも言える好調を受け継いでいるのが『とと姉ちゃん』だ。ドラマチックな展開ばかりで物語に引きつけすぎるでもなく、かと言って飽きさせもしない。15分間のなかで大事件はないが、なにげない身近な出来事やトラブルを“ながら見できる”ところがそのよさだろう。物語の展開は、朝ドラ本来のあり方を突き詰めている“王道”。そこに立ち返った『とと姉ちゃん』に視聴者は好感をもちつつ、惹きつけられているのだろう。
(文:斉藤貴志)