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ORICON NEWS
朝ドラに映画初主演、53歳 田中要次“名脇役”からの脱却なるか?
元国鉄社員だった田中、28歳で脱サラし俳優の道へ
心機一転、俳優としてのキャリアは91年、照明技師の安河内央之氏らに師事するところからはじまった。竹中直人の監督作『無能の人』に照明助手として参加すると、以降は録音助手や付き人、ドライバーと多くの職を経験した。さまざまな作品にスタッフ兼業で携わったが94年、竹中監督の映画『119』で俳優業への専念を決意。役は決して大きくはないが、数々の映画やドラマ、舞台に出演し経験を積んでいった。
『HERO』で一躍お茶の間の人気者に、“背中で語る”演技で魅せる
「『HERO』で人気が爆発した俳優さんは小日向文世さんをはじめ数多く、田中さんもその中のひとり。あまりセリフがない中、“背中で語る”じゃないですけど出番は少なくとも“存在感”で作品に影響を与えているからすごいですよね。以降、映画やドラマで名脇役として広く知られることになりますが、それ以前に石井克人監督の『鮫肌男と桃尻女』や大島渚監督の『御法度』、石井岳龍(元・石井聰互)監督の『五条霊戦記』など、90年代半ばころから数々の名匠の作品に参加し、『HERO』同様に味のある演技を見せていた田中さんは、映画ファンの間ではすでに注目されていた存在。『HERO』がきっかけになったとはいえ、ブレイクは時間の問題だったと思います」(某映画ライター)
コワモテと愛されキャラが同居、独特の存在感で人々を魅了
「田中さんは、いい意味でどこにでもいそうなルックスと身長178cmという佇まいの良さから、殺し屋、刑事、教師、オネエとさまざまな役柄にフィットするのが魅力です。また、セリフがなくとも過去を“過度”に読み取れる“行間”的魅力と言いましょうか、存在感も抜群。それは、彼と同じ事務所の嶋田久作さんや松重豊さんらと似た感じがありますが、2人は共に名脇役から主演クラスの俳優へと進化を遂げているので、田中さんも同様に主役としての飛躍に期待がかかります。加えて、豊富な人生経験にスタッフとして映画に携わった経験、人脈もありますから、俳優としてかなりの引き出しも持っていますしね」(同ライター)
初主演を務めるホラーアクション『蠱毒〜』で田中は、謎の生命体から意中の女性を守るため闘う、冴えない中年男性を演じる。果たして“ヒーロー”として足跡を残し、主演俳優として新たなステージへ上りつめていけるだろうか? おそらく田中なら、得意のコワモテで胸を張り、例の役さながらに「あるよ!」と一言、答えてくれる…はずだ。
(文:衣輪晋一)