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高畑充希 新春インタビュー『新品のスポンジに替えてたくさん吸収したい』
朝ドラヒロインで気づいた受け身に徹する主役の難しさと大事さ
高畑充希「忙しいでしょう?」と言われるようになりました(笑)。でも実際、あまり忙しさは変わっていないかもしれません。とくに、ここ3年は怒涛のように時間が過ぎていきました。
――ひとりの女性の一代記を演じる朝ドラでは、今までの作品になかった感触も?
高畑充希単純にスケジュールがすごくて(笑)。演じることももちろん大事ですけど、ドラマで初座長だったので「現場を良い空気に」というのを一番気にしていました。私、そんなに明るくないので(笑)。風通しが良い現場になればと思いました。無理に我慢して「平気です」とは言わず、疲れたときは共演者とふざけたりもして。
――キツい時期もありましたか?
高畑充希ありました。「こんなキツいことは一生ないかも」というぐらい。でも、ヒロインはみんなそうだったと思います。体や心を削りながら挑戦する作品だと思います。
高畑充希台詞をただ覚えてしゃべる自分が悲しくなりました。台本5冊分ぐらいを一気に撮っていて、前後もバラバラで、たとえば居間での食事シーンをまとめてガーッと撮ると、自分が何をやっているのかわからなくなるときがあるんです。考える時間が作れず、台詞が自分の体を通る前に、途中で口から出ていく感じ。でも、出さなきゃ進まない。自分に対するストレスがすごくありました。朝ドラヒロインは、強くなるための修行でしたね。
――女優として、何か新たな扉が開いたような感覚もありました?
高畑充希受け身に徹する難しさと大事さを知りました。私は映像ではあまり主役をやったことがなくて、3番手や4番手のときは自分の持ち球を全力で投げていて。それが朝ドラのヒロインだと、個性的な役者さんたちが私にどんどんボールを投げてくるんです。そこで受けることに徹するのはとても難しくて。
――主役は引っ張るイメージがありますが、受け身なんですね。
高畑充希いろいろな人がいろいろな球を自由に投げてくるのを、ただ受けるもどかしさと大切さ。自分も受けてくれる人がいるから投げられたんだと、当たり前のことに気づいて、主役ってすごい仕事なんだなと思いました。
――つい自分から投げたくなるとか?
高畑充希受けるより投げるほうが今まで多かったので。でも、どっちもできる人になりたいと思いました。今やっているミュージカル『わたしは真悟』でも、キャラが立った役というよりは受けに徹する役で。すごく難しいけど、朝ドラでの経験が生きている気がします。
周りの環境が変わっていくなかで自分が変わらないこと
高畑充希私が希望しました。朝ドラをやる前からお願いしていて。舞台はずっと出続けていて、1年も間が空いたことがなかったので、朝ドラが終わったら絶対に舞台をやりたくなると思って。
――朝ドラヒロインを経ても、以前に話されていたように「ホームは舞台」という想いはありますか?
高畑充希もちろんあります。自分自身が舞台ファンだから。映画やドラマより、舞台を観るほうが多くて。好きだから観たいし、やりたいだけなんです。あと、自分の周りの環境が変わっていくなかでも、舞台は稽古場に入れば平等。主役とか関係なく、みんなで力を合わせて作る。そこがすごく好きなんだと思います。
高畑充希衣裳や小道具に助けられて、あまり考えすぎないようにしています。小学生感を出しても、大人ががんばってやっているだけにしか見えないし。ランドセルは久しぶりで、固いなと思いました(笑)。
――このお話はおもしろそうですけど、自意識を持ったアームロボットが中心にいて、ミュージカルでどう表現するんだろうと。
高畑充希私も謎でした。海外の演出家さんと組むのも初めてで。なので、飛び込んでみようと。フィリップ(・ドゥクフレ)さんはもともと振付家で、独創的な身体表現が圧倒的に多くて、映像の使い方も独特。舞台の上手でミュージシャンがピアノにオープンリールを引っ張って演奏している光景も異様です。私自身は作品のパーツのひとつみたいな感覚で、新しい経験ができています。