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hitomi、31周年の集大成 渋谷で圧巻のライブ 過去と現在が交差する感動の一夜【セットリスト付きライブレポ】

 アーティストhitomiが3月28日、東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGEでバンドセットによるワンマンライブ『hitomi Live 2026 - STAND BY』を開催した。2024年、CDデビュー30周年アニバーサリーイヤーを迎えた彼女。その勢いをさらに加速させるようなパフォーマンスと、新旧織り交ぜた“オールタイム・ベスト”的なセットリストで、満員の観客を大いに魅了したライブであった。

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

 開演時間となり客席の照明が消えると、濃いブルーの光に彩られたステージからエレクトロなサウンドが轟き始める。聴こえてきたのは「LADIES & GENTLEMEN」というボコーダー(いわゆるロボットボイス)。映画のオープニングを思わせるような重厚なサウンドで観客の期待を膨らませると、自然発生的に客席から手拍子が沸き起こった。そのステージのセンターにhitomiが姿を現すと、フロアから大歓声が上がり、デビュー翌年の1995年に3rdシングルとしてリリースされたhitomiの代表曲のひとつ「CANDY GIRL」でライブの幕が上がった。

 1曲目からクールかつ軽快なリズムでポジティブな歌声をフロアに放ったhitomi。今でこそナチュラルに聴こえるが、デビュー当初からラップっぽいフレーズをポップに聴かせていた彼女のボーカルスタイルが、改めて新鮮に感じられた。2曲目のイントロが鳴り始めるや否や、会場から歓喜の声が上がる。「In the future」だ。hitomiはその歓声を「いくよ、渋谷!」とさらに高めていき、そして「Sexy」へ。ともに1996年リリースの楽曲という、90年代J-POP全盛期ど真ん中の懐かしいフレーバーを香り立たせながら、これらの楽曲をキャリアを積み上げた“今”を生きるhitomiの歌声で体感できるという、何とも贅沢な瞬間がライブの冒頭から訪れた。

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

 ここで最初のMCを行い、会場に詰め掛けたファンに挨拶をした後、hitomiは「渋谷は私の聖地みたいな場所。高校生の時から通っていて。土曜日の夕方はかなり混んでたでしょ? 私、渋谷のことはだいたいわかるから」とユーモアを交えて観客に語りかけると、「今日は覚悟しててください。たっぷりたっぷり歌います。みなさんの想い出と照らし合わせたりしながら聴いていただけたらなって思います。では、いくよ!」と、「INNER CHILD」「Japanese girl」「MARIA」と2000年代に発表した楽曲を立て続けに披露。

 ここまでのいずれの曲もそうなのだが、今回のライブで強く印象に残ったのが、バンド感あふれるパフォーマンスという点だった。hitomiは昨年11月3日、CDデビュー30周年イヤーの集大成として、自身初のオンライン・ライブ『Re:CONNECT』をバンドセットで開催(同Liveアルバム『Re:CONNECT』は配信リリースもされている)。そして年が明け2026年に入ると、レーベルメイトの“Nikoん”とともに、同じバンドメンバーで東名阪ツアー(3月4日名古屋 RAD HALL、3月10日難波 Yogibo META VALLEY、3月18日新代田 FEVER)を行い、その勢いのまま、この日のワンマンライブが行われたのだ。

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

 そうした流れもあってか、hitomiとバンドとの一体感が絶妙で、良い意味で「バックバンドを従えてhitomiが歌う」のではなく、「バンドのボーカリストhitomiの歌が聴けた」ような感覚に浸ることができた。言い換えると、この日のhitomiの歌には、バンドと対等に渡り合いながら、フロントマン的にバンドを牽引しつつ、さらに観客を“hitomiワールド”に導いていくといった圧倒的なオーラを感じさせるものがあった。だからこそ、デビュー当時の楽曲で懐かしさを感じさせつつも、単なる懐メロに止めない、2026年の現在進行形の歌として聴き手の心を掴むことができたのだろう。

 そしてライブはひとつめのクライマックスへ。今年に入って配信リリースされた「体温(蹲)」と「there is…(LOVE)」の2曲がここで歌われた。これらの楽曲は、元々は彼女が詞を書き、1999年にリリースされたシングル曲「体温」と「there is…」がオリジナル。それを今回、hitomiがリスペクトする持田香織と伴都美子(Do As Infinity)に歌詞のリライトを依頼し、新たな命を吹き込むという“リライト・プロジェクト”から生まれた2曲だ(なお、このプロジェクトは、歌詞を書き直すという意味で“Rewrite”が正しい英語表記となるが、「再び、楽曲に光を当てて頂いた」というhitomiの想いから、配信シングルのジャケットには“Re:light”という表記が用いられている)。

 この日、この2曲は原曲/配信リリース音源からさらに“リアレンジ”された演奏として披露。「体温(蹲)」はアコースティック・ギターやエレクトリック・ピアノの響きが活かされたアレンジで、「there is…(LOVE)」ではピアノが全面的にフィーチャーされるなど、いずれもhitomiの歌と新たな歌詞に、よりスポットが当たるようなアンサンブルとなっていた。

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

 これらを歌い終えたhitomiは感極まった様子を見せ、「本当にとても素敵な歌詞で、歌いながら泣きそうになっちゃって。本当に2人に感謝です。どうもありがとう」と2人へメッセージを送ると、「私の曲は、明るくてポップな曲が多いというイメージもあるかと思いますが、しっとりとしたナンバーの名曲もたくさんあります。ここからは、そうしたしっとりとしたナンバーを聴いてください」と、「by myself」「キミにKISS」「IS IT YOU?」「innocence」とミドルテンポのナンバーをたっぷりと、そして丁寧に歌い上げた。

 なかでも、2001年のアメリカ同時多発テロ後に歌詞を書き、レコーディングした「innocence」には深い想いがある様子で、「嫌なニュースも多いですけど、みんなが優しさを持っていければ、多分、いろんなことが変われると思うんです。『innocence』は、そんな思いで作りました。みんなの中に愛がたっぷりあるから。愛を持っていきましょう」と涙を拭うシーンも。

 ただすぐさま、「ヤバイな、ここで泣いちゃ。泣くはずじゃないんだよ(笑)」と笑顔を見せて会場の空気を和らげると、ここからは一転、トークコーナーへ。まずはhitomiから「遠くから来た人?」との問いかけに、台湾から観に来たというファンが手を上げ、観客のみならずステージ上のメンバーからも拍手が起こった。その流れで、観客の入場時に募集した質問に彼女が答える「hitomiに聞いてみよう!」のコーナーへ。

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

 寄せられた質問をhitomiがランダムに選び、「歌う際にリリース当時のことを思い浮かべるか?」という質問に対してhitomiは「MVや若い頃の自分を思い浮かべる」と答え、「春から始めたいことは?」には「断捨離」と回答。また「きのこ(の山)派? たけのこ(の里)派?」といったユニークな質問には「きのこ派」と即答すると、「娘さんと仲良くする秘訣は?」という質問では、「小言を言い過ぎないことと、娘がTikTokを見て踊る時に一緒に踊ったりする」というエピソードを披露。アーティストとしてだけでなく、一人の女性、ママとしての側面もナチュラルに表現していた。しかも、そのダンスを観たいというファンの声に応えて、M!LK「好きすぎて滅!」のサビの振り付けを披露するなど、hitomiの人間的な魅力で観客を大いに沸かせた。

 こうして会場全体が笑顔になったところで、「ここからはみんなが盛り上がれる曲、いきたいと思います!」というhitomiの言葉通り、アップテンポの曲を連投。「Understanding」からライブはいよいよ佳境へ突入し、間髪入れずに自身初のアニメソング(TVアニメ『犬夜叉』オープニングテーマ曲)としてもヒットした「I am」、自分で人生を選び前に進んでいく女性像を歌った「BUSY NOW」を立て続けに演奏すると、「どうもありがとう! 最後の曲です!」というメッセージとともにドラムのビートが響き渡り、最後に「GO TO THE TOP」へ。自分自身、そしてみんなへの応援ソングでもあるこの曲は、最後には観客の大合唱も加わり、最高潮のボルテージで本編が終了した。

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

 すぐさまフロアからはアンコールの拍手が送られ、そこにhitomiコールが加わると、ギターリフが轟き、会場の熱気は臨界点を超えていく。そう、アンコールの1曲目は、ロック色の強いhitomiの2000年代を代表する大定番曲「SAMURAI DRIVE」。hitomi自身も、ミュージックビデオをセルフオマージュしてテンガロンハットを被って登場し、新旧ファンを大いに沸かせた。

 「本当に、もう私はこのまま死んでもいいと言うくらいの気持ちになりました。幸せすぎます。今日は胸がいっぱいです」

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

 観客にこう感謝を伝えると、31周年目となる今年、自分のペースを守りながら、もっとたくさんの人に自分の歌を聴いてもらえるように頑張りますというメッセージを送った。そして、「これからの準備はできてるから、みんなよろしく」という想いも込めて作ったという、今年1月に配信されたばかりの新曲「Stand by…」を、伸びやかで、そして芯の強い歌声で、新たな未来への決意を歌った。

 この曲を終えたhitomiは、最新曲「Choice!」がフジテレビ系情報番組『Mr.サンデー』のエンディングテーマソングに決定し、4月5日放送回からオンエアが開始されることを発表。そのフル尺バージョンは今、バンマス・FZ(sfpr/ギタリスト)とともに絶賛制作中ということで、ここでは、もうひとつの最新タイアップ曲、中京テレビ・日本テレビ系ドラマ『鬼女の棲む家』主題歌に起用された「Tokey-Dokey」を披露。この曲は、ともに東名阪ツアーを行った注目のツーマンバンド“Nikoん”が作曲、hitomiが作詞した作品で、会場に詰めかけた熱心なファンを大いに喜ばせた。そしてラストは、この曲なしには終われないと言っていいだろう、単なるヒット曲という枠を超えた、平成の国民的ソング「LOVE 2000」で、熱く、愛に満ちたライブはフィナーレを迎えた。

 ステージ、観客、そしてスタッフ、すべての人が笑顔となり、拍手を送り、手を振る中、hitomiはオフマイクで「ありがとうございました! バイバイ!」と声を発し、ステージを後にした。その後ろ姿は、昨年の30周年以上に、今年の31周年の盛り上がりを期待させるに十分すぎるほどの、説得力と充実ぶりを感じさせるものであった。

取材・文:布施雄一郎
撮影:Yuma Totsuka

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

■ライブ情報
『hitomi Live 2026 - STAND BY』
2026年3月28日 東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

<セットリスト>
1. CANDY GIRL
2. In the future
3. Sexy
4. INNER CHILD
5. Japanese girl
6. MARIA
7. 体温(蹲)
8. there is...(LOVE)
9. by myself
10. キミにKISS
11. IS IT YOU?
12. innocence
13. Understanding
14. I am
15. BUSY NOW
16. GO TO THE TOP

EN1. SAMURAI DRIVE
EN2. Stand by...
EN3. Tokey-Dokey
EN4. LOVE 2000

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

『hitomi Live 2026 - STAND BY』より

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