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【連載10】SMAP 5人の役割を考察:香取慎吾 小学生からずっと――末っ子が生きてきたSMAPという人生
“言っていいこと”“悪いこと”の境界線上に――
2014年3月31日。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のグランドフィナーレで、香取慎吾は、タモリに向かってそう質問した。「答えはいりません。ちょっと我慢できないので言います」と前置きして、長きに渡ってレギュラーを勤めた番組が終わってしまうことの理不尽さと寂しさと悔しさとを、そのひと言に託した。
テレビのバラエティ番組には、基本的にはベースに台本がある。それが生放送のアドリブであればなおさら、出演者は、“言っていいこと”と“言ってはいけないこと”の線引きを気にしながら発言しているはずだ。香取のこのひと言は、たぶん、言っていいことと悪いことの境界線上にあって、SMAPでも“末っ子キャラ”の香取だからこそ、許された発言なのだと思う。
SMAPという“家族”の末っ子、“本音”をもらす得意技
最近のアイドルグループやダンス・ボーカルグループには、大抵、“末っ子キャラ”と呼ばれる存在がある。でも、思い返してみると、“末っ子キャラ”という概念を世の中に浸透させたのは、誰であろう香取慎吾である。5人兄弟とか大家族とか、そんな賑やかなファミリー像になかなかお目にかかれなくなった時代に、SMAPというグループは、比較的早い時期から、メンバーそれぞれの“役割”のようなものを確立させていた。SMAPを一つの家族にたとえるなら、年長の中居正広と木村拓哉が“両親”のような立場で、優しく、時に厳しく、下の4人の面倒を見た。兄弟は上から順番に、稲垣吾郎、森且行、草なぎ剛、そして香取。SMAP結成当初、小学生だったのは香取だけで、ランドセルを背負ってテレビ局に通っていた逸話もある。デビューしたのが中学3年、14歳のときで、中居と木村はその年の3月に高校を卒業していた。
「慎吾ママ」も「カニ蔵」も ギリギリの線で笑いをとる大胆さ
その、香取が生み出すハッピーなキャラクターの究極が、「慎吾ママ」だったのだろう。毎週土曜日に中居正広と2人で司会を勤めたバラエティ『サタ☆スマ』(同系)から生まれたキャラクターで、“中居パパの赤ちゃん預かります”と“慎吾ママのこっそり朝御飯”など、一般人とのサプライズな絡みが満載で、作り込まれた歌やコントに彩られ“芸達者”な側面が光る『スマスマ』に対し、『サタ☆スマ』では中居と香取の“素”の部分に触れられた気がしたものだ。