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ORICON NEWS
【連載8】SMAP 5人の役割を考察:稲垣吾郎 解散発表後はじめてファンの前に立った、個性派集団の中のバランサー
ファンに伝えた「頑張ります」 25周年に誰よりナチュラルな対応
10月8日に行われた映画『少女』の舞台挨拶や、それに伴うプロモーションでの雑誌のインタビューなど、稲垣の“いま”を目にする機会が増えた。年内解散が発表されて以来、ファンの前にSMAPのメンバーが姿を見せるのは、この舞台挨拶が初。湊かなえ原作らしい『少女』という作品が抱える人間の闇にちなんで、「最近感じた闇は?」と質問されると、「僕は基本的に闇ですから。部屋の中はロウソクだらけだし。占いの館みたいな(笑)」と、ミステリアスだと思われがちなパブリックイメージを利用して、笑いを取った。会場を去る時に、レポーターから「ファンのみなさんに一言お願いします」と声をかけられると足を止め、一言、「頑張ります」と答えた。
その2日前には、自身のラジオ番組『STOP THE SMAP』(文化放送)で、デビュー25周年記念日である9月9日にSMAPファンがそれぞれに祝ったというハガキを読み、「これ、嬉しいですね」とコメントしている。25周年について、他のメンバーがあまり掘り下げない中、とてもナチュラルな対応をみせているのが他ならぬ稲垣だ。小池百合子東京都知事を迎えた『ビストロSMAP』(『SMAP×SMAP』フジテレビ系)でも、稲垣の父親と小池都知事との意外な交遊が明らかになったり、この期に及んでまだ新鮮なネタを提供できるなんて。でも、昔から稲垣吾郎という人は、意外性の宝庫だった。
SMAP随一の正統派ながらいじられキャラ、その裏の心の余裕
SMAPは、仲良し売りはしてこなかったグループである。取材や撮影の時も、慣れ合いは一切なく、適度な緊張感のもとにテンポよく物事が進んでいく。その張りつめた感じがカッコ良かったことは以前にも触れたが、とはいえ稲垣の存在が、場の空気を和らげていたことは間違いない。一緒にSMAPの取材現場にいたライターは、撮影の合間のインタビューで机も用意されていない中、ノートにメモを取りたいのにICレコーダーを手で持たなければならなくなり困っていたとき、稲垣が、「僕が(レコーダーを)持ってましょうか?」と言ってくれたことに感激していた。忙しいはずなのに、稲垣の対応には常に余裕がある。学生時代、英文学の教授がユーモアを“余裕”と訳していたけれど、面白さという意味でも、心の余裕という意味でも、稲垣吾郎という人は、ユーモアの塊なのである。