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【連載10】SMAP 5人の役割を考察:香取慎吾 小学生からずっと――末っ子が生きてきたSMAPという人生
「SMAPでも、つらかったり苦しかったりすることがあって」
だから彼には、“つよぽん”(草なぎ)以外、友達がいない。当たり前だ。小学校6年生から、放課後は連日仕事。学校で友達なんかできるはずがなかった。仕事先では、大人たちに囲まれ、“プロ”としての振る舞いを要求される。2004年のNHK大河ドラマ『新撰組!』で共演した山本耕史に連絡先を“盗まれ”、以降、年に一回は共演者同士で集まるようになった。山本耕史と観月ありさとは同学年で、2014年にはミュージカル『オーシャンズ11』で共演もした。香取と山本の信頼感が垣間見えるシーンもあって、ドキドキした。香取のエンタティナーとしてのスケール感がビシビシ伝わってくる、とてもゴージャスな舞台だった。山本も観月も、香取同様幼い頃からテレビで活躍しているからこそ、世間のイメージと本来の自分との狭間での葛藤を、共有できたのかもしれない。
香取慎吾の光と影……だが彼は確実に「SMAPバカ」である
一方、この頃から彼は自分の中の“暗部”をあまり隠さなくなって、自らを「スーパービジネスアイドル」と公言したり、“いつも明るく元気な慎吾ちゃん”と、“実は友達のいない孤独なオレ”のギャップ感を、自虐的に面白がるような姿も時折見られるようになった。
香取慎吾には、ハッピーでキラキラした圧倒的な美しさと、特殊な世界で自我を育んできたことから生まれた劣等感と、それからくる孤独の哀しみのような、人を惹きつける上での両極端の魅力がある。光が眩しければ眩しいほど、そこに映る影も濃い。小学生のときからSMAPで、ライブのときは、よく「おじいちゃんになってもSMAPです」と宣言していた。SMAPは、彼の人生そのものだ。メンバーの誰もが、SMAPを心から愛している。でも、「SMAPバカ」と呼べるのは、香取だけなのかもしれない。
(文/菊地陽子)
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