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佐藤健、役者としての強い信念を語る「20代を演じ続けたい」

 18年7月クールで、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』とTBS系『義母と娘のブルース』というドラマ2作に出演。『半分、青い。』では、ヒロイン・鈴愛の幼なじみで、クールな理論派だが誰よりも優しく傷つきやすい好青年の律役。一方の『義母と娘のブルース』(TBS系)では、フーテンのダメ男・麦田章役と、相反するキャラクターを見事に演じ分けた佐藤健が、有識者と視聴者が共に支持する“質の高いドラマ”を表彰する「第13回コンフィデンスアワード・ドラマ賞」で「助演男優賞」を受賞。30歳を目前に、「初めてのいい経験ができた」という佐藤に、その2作品と役者観について語ってもらった。

さまざまな選択が役者に委ねられる朝ドラでは驚きの撮影方法も

――NHK連続テレビ小説『半分、青い。』に出演してみていかがでしたか?
佐藤 朝ドラに出演するのが初めてだったので、いい経験ができました。毎週月曜日から土曜日まで半年間放送される唯一無二のドラマ。月曜日にリハーサル、火曜日から金曜日まで1日中スタジオでたくさんのシーンを撮影して、しかも一発撮りでどんどん先に進んでいく。監督から演技に対する指示は特になく、すべて自分で選択して、その選択を監督たちが信じて尊重してくれるのですが、その分役者に委ねられる部分が多いなと感じました。確かに時間のないなかでやっていくには、こういう手法しかないんだろうけど。以前から朝ドラは実力のある人をキャスティングされているなと思っていたので、(撮影を経験して)その理由も納得がいった。いろいろ勉強になったし、今までに経験したことがないことが多い現場でしたね。

――佐藤さん自身が、律のキャラクターをどう演じるか決めないといけないということなんですね。
佐藤 そうですね。ただ、北川悦吏子さんが僕に当て書きしてくれていたのもあって、台本から演じる役の感じはなんとなく掴めていました。律という役柄も自分と近いものを感じていたし、キャラクターの造形については、ブレや迷いはなく、自分がこうかなと思う律を演じると、それをわりと採用してくれましたね。

――律という男性は、とても穏やかな人間ですね。
佐藤 感情表現が苦手というか、何を考えているかわからないところが魅力的ですよね。

――自分自身と似ている部分はありますか?
佐藤 律は嬉しいとか、感情をあまり表に出さないタイプだからわかりづらいところがあって。でも、自分にもある感情だから、そういうところをそのまま出して律に注いでいった。何か別の人物像を作り出すというよりは、自分のなかから出てくるもので律という人物を作っていった感じですね。

――朝ドラは世間からの注目度の高い枠ですが、プレッシャーはありましたか?
佐藤 プレッシャーがあるかないか、世間が注目しているか、していないかといったこととは関係なく、僕がやらないといけいことは決まっているので、周りに惑わされたり、プレッシャーに負けそうになることはないです。ただ、ふとした瞬間に、僕や、永野芽郁さんもそうだけど、“すごいことをやらされているな”と思うことがあって。

――“すごいこと”とは?
佐藤 芝居や台詞のトーンや間、どこを向いて台詞を言うのか、さまざまな選択が役者に委ねられ、永野芽郁さんが演じる鈴愛(すずめ)をただひたすら撮っているだけで、ドラマが出来上がっている。日本の20%(視聴率)の人が観る番組で、大人たちはこんなすごいことを18歳の女の子に委ねているんだなって(笑)。

――演技に関して自分自身で決めることが多く、委ねられるということは、逆に演じていて難しいと思うことがあまりなかったのではないのでしょうか?
佐藤 そうですね。例えばバスケット、ピアノの練習が大変だったとか、突然“ハモれ”って言われたりと……。そういうことはあったけれど、芝居に関してはなかったですね。どのシーンも演じやすかったかな。

――特に印象に残っているシーンは?
佐藤 たくさんあります。律はあまり感情を表に出さないので、基本的にはフラットに演じてきたんですが、余命短い母と律の親子愛を「岐阜犬」(※)を通して描いた場面で、珍しく感情的になって。そのシーンは印象深かったですね。それから、日々鈴愛との2人のシーンに力を入れて演じていたので、その2人のシーンはどれも印象に残っています。

『半分、青い。』と『ぎぼむす』、時期が重なったことは“幸運だった”

――7月クールでは、TBS系『義母と娘のブルース』にも出演されました。フーテンのダメ男・麦田章を演じられましたが、『半分、青い。』と撮影の時期はどのくらい重なっていましたか?
佐藤 『半分、青い。』の後半が、重なっていました。

――全然タイプが違う役でした。
佐藤 それをわかりやすく表現するために、『ぎぼむす』の第1話では髪の毛の色を変えたほうがいいなと思って、茶髪にしたんです。『半分、青い。』の後半の撮影では、出番も多くスケジュールが重なっていたので、黒髪に戻しましたが、観てくれた視聴者の最初の印象を変えたくてそうしました。

――演技に対するオーダーはありましたか?
佐藤 『半分、青い。』とは真逆で、台詞の間や声のトーン、視線もすべて監督が演出してくれるというか、固められるというか……そういう意味では真逆でしたね。

――どっちが演りやすい、というものでもないのでしょうか?
佐藤 そういう問題でもないですね。ただ、監督に任せているので、役者個人に対する責任は薄れますよね。

――朝ドラが今までとは違ったということなのでしょうか?
佐藤 どちらも特殊な現場でした。いろんな現場を経験したけど、『ぎぼむす』を制作したTBSのチームは連続ドラマでも撮影の進め方が特殊で、そういう意味でも、対極にある現場でした。

――『半分、青い。』と『ぎぼむす』は人気ドラマでしたが、それを支えた1人として、佐藤さんに対する世間の認知も変わったと思います。
佐藤 時期が重なったことは“幸運だった”としか言えないし、ラッキーだなって。僕は、来年の3月で30歳になるんですが、20代後半はたくさん働くと決めていて。今まで連ドラもあまり出てこなかったから、珍しく時間を縫って同時に2作品の現場を経験して大変だった。でもこうして助演男優賞をもらえて、皆に喜んでもらえたので、それは嬉しいですね。

30代ということを隠し続け、20代の役を演じ続けたい

――ちなみに、プライベートでの佐藤さんはどんな人なのでしょうか?
佐藤 パット見は律のテンションと近いのですが、律ほどナイーブでもないし、麦田章ほど熱くもない。だけど、ナイーブな部分も熱い部分もあって。周りの人がどう僕のことを受け取っているかは、それぞれ違うと思います。

――普段はアクティブですか?
佐藤 そうではないかな……どっちかというとインドア派ですかね。

――時間を縫うのは苦手と言っていましたが、仕事を詰め込みすぎるのは苦手なタイプですか?
佐藤 普段から“役を生きたい”という願望があって、だからあまり同じ時期に2つの役を演じることをやってこなかったです。

――それは1日の撮影が終わっても、演じているキャラクターを持ち続けるタイプということなのでしょうか?
佐藤 役に引きずられて、プライベートまで影響されることはないけど、気持ちのなかでずっと役のイメージを持っているというのはありますね。

――今後も連続ドラマに出演したいという願望はありますか?
佐藤 出たい気持ちはありますが、2作同時に重なることはないと思います(笑)。

――30歳で求められる役、人物像も変わってくると思うのですが、どんな役を演じたいですか?
佐藤 30代ということを隠し続けていきたいです(笑)。“もう30歳なの?”ってびっくりされるように、20代で演じるような役のオファーを受け続けたいですね。20代と30代では、演じる役のイメージが大きく変わってきますよね。だから20代のステージから足を離してしまうと、そこにはもう戻れない。30代の役を演じることはこの先でもできることだから、ギリギリまで20代の役を演じ続けたいし、そう簡単には離したくないなと思っています。

※岐阜犬は、『半分、青い。』に登場したぬいぐるみ。鈴愛がオープンしたカフェでは、岐阜犬にしゃべる機能が搭載。律の母で病気療養中の和子(原田知世)が声を任され、岐阜犬を通じてカフェの客の人生相談に答えていた。

(写真/草刈雅之)
第13回『コンフィデンスアワード・ドラマ賞』全7部門の受賞結果

提供元: コンフィデンス

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