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プロテイン代の支給も…“マッチョ×介護”で人材不足を改善 飽和状態のフィットネス業界の課題解決も担う
フィットネス業界初の実業団チームを発足 スタッフの平均年齢も27歳と介護業界では異例の若さ
「彼らは力の入れ方や体の使い方も上手なので、腰を痛めたりもしないんです。何より見た目がカッコいいし、笑顔がいい。最初はイカつい風貌にビックリしていた利用者さんも、彼らの明るさにすぐに心を開いてくれました。マッチョたちが働くようになって、事業所全体がポジティブな雰囲気になりましたね」
「選手たちは正社員として介護の現場で働きながら、フィットネス大会に向けて日々鍛錬しています。就労時間は8時間ですが、そのうち6時間が介護の仕事、2時間が筋トレに割り当てられます。また、特殊雇用手当として毎月2万円のプロテイン代を支給。大会の出場費や交通費も会社負担で、彼らの夢をバックアップしています」
そのほか全社員に全国チェーンのジムやマッサージを無料で利用できる福利厚生を提供。社内では定期的にトライアウトを実施しており、大会で好成績を出すなど認められれば一般の職員からも実業団入りができる。また、実業団入りを目指して入社してくる若者も増えており、スタッフの平均年齢は27歳と介護業界では異例の若さだ。
介護業界外からの人材確保で、フィットネス選手のセカンドキャリアにも貢献
「ですが、いくら『やりがいのある良い仕事だよ』と言っても伝わりません。そもそも介護に対して3K(きつい・汚い・危険)などと言われ良いイメージで語られることが少ない。でも一度触れてもらえば、きっと楽しんで仕事をしてもらえる自信がありました。僕もその1人でしたので」
人材不足だったとはいえ、他の事業所から介護士を引き抜くという発想はなかった。
「介護士の取り合いをしていても、介護職の人材は増えない。業界がかかえる問題の根本的な解決のためには、介護に興味のない人に働いてもらう必要があると考えたんです」
「もちろん待っていてもマッチョは来てくれないので、初期メンバーはSNSや大会で人気のある選手をヘッドハンティングしました。彼らも最初は『介護なんてやったことないし…』と戸惑っていたなか、『お試しでいいからやってみない?』と声をかけました。なかには辞めていった人もいましたが、ほとんどが残ってくれました。彼らのSNSでの拡散もあって、いまでは全国のマッチョから問い合わせをいただくまでになりました」
いまだフィットネス競技は、海外とは異なり日本では職業として確立してない。正社員として生計を立てながらフィットネスにも勤しめる職場環境は、マッチョたちにとってもメリットが大きい。
「フィットネス競技はお金がかかる上に、競技で生計を立てる手段もトレーナーくらい。しかもいまは、トレーナーの数も飽和状態で、それだけでは生活できない人も増えています。彼らがセカンドキャリアに不安なく競技に集中できる環境を作ることで、フィットネス競技をもっと盛り上げていきたい。そんな思いも“マッチョ×介護”の発想にはありました」
介護業界を活性化させるためには、競争を生むことが大切
「この職場の輪に入りたい、仲間になりたいと言って入社する人がたくさんいます。動機は何でもいいのですが、介護に興味がなかった人たちに、その一歩を踏み出してもらうためのアイデアを、介護業界全体で考える必要がある。それが私たちの会社ではマッチョだったということです」
「業界を盛り上げるためには、競争を生むことも大切なことです。僕らが事業所を全国に構えていくことで、他の事業所さんに危機感を持ってもらいたい。介護業界をのんびりさせない刺激を与えるのも、僕らのミッションだと考えています」
(文/児玉澄子)
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