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自作自演も?「猫にエサをあげてみた」動画に批判、動物虐待を“通報”しても救えない葛藤
「虐待かも」と思ったらどうすれは? 通報しても続く葛藤
「警察は猫に対して、モノとしてしか取り扱ってくれないことが多いんです。動物愛護法にも詳しくないので、明らかに虐待とみられる行為をしていたにも関わらず、猫を所有者の元へ返してしまったんでしょう。保健所もなかなか重い腰を上げてはくれません」
『ねこけん』では、現在進行中の虐待案件でも葛藤が続いている。
「現在、私たちが動いている案件なのですが、生け簀の中に落ちたワンちゃんを2年も放置し続けている飼い主がいて。ワンちゃんは黒い雨水を飲み続けているような状態なんですが、保健所は虐待を認めてくれません。どうも、雨水を飲んでいるかが問題ではなく、犬が脱水しているかどうかが問題だということです」
2年もの間、劣悪な環境にさらされた犬の命を一刻も早く救出するため、最終的にはSNSを活用する可能性もあると溝上氏は明かす。
「脅しのように取られてしまう可能性もあるので、本当はそのような方法は取りたくありません。ですが最終的にはSNSで呼びかけ、多くの声が届いて保健所や警察が動いてくれるのを待つしかないのかなと思います。虐待かな?と不審に思ったら、まずは警察や保健所に通報するのが一番ですが、この犬のように、それでもダメな場合は動物愛護団体に相談してください。愛護団体ならば、どんな手を使っても助けようとしてくれますので、一番確実です。『ねこけん』も虐待の疑いがあれば、100%動きますから」
愛護動物をみだりに殺したり、傷つけた者は5年以下の懲役または500万以下の罰金が科せられる。にもかかわらず、虐待された動物たちの悲しいニュースは今現在も続発している。
「法が整備される前は、猫に石を投げたり、棒で叩いたり、動物への虐待が今よりも遙かに多かったと思います。でも今は、動物を虐待することは犯罪であるということが認知され、マスコミにも多く取り上げられるようになりました。そうすることで、虐待を見た人も『通報しなくては!』という認識が高まり、摘発される件数が増えたのだと思います。とはいえ、どこの国、どの時代にも動物を虐待する人は一定数いる。イギリスのように日本より厳しい罰則を定めても、虐待する人はどうしても出てきます。残念ですが、虐待をゼロにすることは正直、難しいと言うほかありません」
厳しい現実の中でも、こうして一匹でも不幸な動物を減らすため、懸命に働く人たちがいる。私たちもこの「動物愛護週間」を機に、いま一度、命の大切さについて向き合うべきだろう。
(文:今 泉)
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