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千葉雄大、30代でも貫き通した“可愛い推し” 『いいね!光源氏くん』から見るキャラ変しない気概

“劣化”の声をもねじ伏せる「可愛さ」の境地 年輪重ねたその先の前例なき俳優像に期待

 20代半ばの迷いを乗り越えて貫き通した「可愛い推し」で、独自の立ち位置を獲得した千葉。さらには批判の対象になりかねない“あざとさ”や“小悪魔ぶり”も笑いに変える勘の良さは、バラエティ番組はもちろん演技でも遺憾なく発揮されている。『いいね!光源氏くん』では、そんな千葉の少女漫画を地で行くルックスと人たらし(=あざとい)なキャラクターが、浮世離れした光源氏と絶妙にマッチし、奇想天外な物語に独特の笑いとゆるさを与えている。

 また今年31歳になった千葉だが、SNSでは「こんな赤ちゃんみたいな顔の30代……可愛い」と、その奇跡的なルックスにもため息混じりの賞賛が上がっている。いかにビジュアルで売ってきたイケメン俳優でも、30代にもなると多かれ少なかれ“劣化”を揶揄する声が噴出する。千葉もまたそうした年齢に差し掛かっていることは否めない。それでも“劣化”の声から逃げず、「可愛さ」に拍車をかけるという開き直りを見せたことが、さらに千葉の年齢不詳な「可愛さ」を明確なものとする結果となった。

 30代ともなると、役の幅を広げるためにそれまでのイメージを払拭することに奔走する俳優もいるなか、頑なに「可愛さ推し」をするその姿には俳優としての気概さえ感じる。前述の第3話での「プクッと頬を膨らませたふくれっ面」といったシーンもまた、「こんな千葉を視聴者に見せたい」とドラマ制作陣が期待したからこそ実現したのではないだろうか。ブレずに「可愛さ推し」を邁進してきたからこそ、周囲もさらに「可愛さ」を肉付けしたくなる。そんな境地に達した千葉の俳優としての資質が最大限に活かされているのが、『いいね!光源氏くん』の成功の理由と言えそうだ。

 中性的な童顔を持ち味とする俳優としては、かつての小池徹平や瀬戸康史などもその系譜にあったと言えるだろう。しかし彼らとはまた異なり、「可愛い」を武器に真っ向勝負したことで、30代になった千葉雄大は独自のポジションを獲得した。この先、年齢を重ねても持ち前の「可愛さ」を貫き、前例のない新たな俳優像を築いてくれることに期待したい。

(文/児玉澄子)

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