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ガンプラ改造!トップモデラーインタビュー

量産型ジムは連邦にて“最弱にして最強”「蹂躙される儚さに痺れる、憧れる」【連載16回】

 今年40周年を迎える『機動戦士ガンダム』シリーズ。世界的にも人気な強力IPだが、その礎のひとつとなったのは1980年代前半のガンプラブームだ。そんな「ガンプラ」進化の一翼を担ってきたモデラーの“匠の技術”について、人気模型誌「ホビージャパン」で作例を手掛けるトップモデラー・コボパンダさんに、量産型ジムに愛情を注ぐ理由や、スジボリ技術の真髄を聞いた。
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女子が支持する『ガンダムSEED』への対抗心から、“宇宙世紀愛”が覚醒

――コボパンダさんの作例は、主人公機ではなく「ジム」などの量産機が多いように感じます。プラモを製作する際、作品選びの“自分ルール”はありますか?

コボパンダガンダムには正史である宇宙世紀と、アナザーガンダムがありますが、宇宙世紀の作品を作ることが多いです。

――その “宇宙世紀愛”に目覚めたきっかけを教えてください。

コボパンダ『機動戦士ガンダムSEED』が起点です。放送時は中学生で、なんと学校でガンダムブームが起きていたんです。しかも女子中心に。それぞれ「キラが好き、アスランが好き」みたいにキャッキャッしていました。それを横目で見ていた僕は「ガンダムは硬派なものなんだ!キラ?アスラン?そんなの知らん!僕が好きなのはランバ・ラルだ!!」と心の中で叫ぶ、かなり偏屈な性格でした(笑)。それ以降、自分の中で“変な対抗心”が芽生え、アナザーガンダムからどんどん離れて行ってしまったんです…(苦笑)。

――あ…、いわゆる“中二病”を発症してしまったんですね(笑)。

コボパンダビデオで劇場版『機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダムF91』を何回も見るようになり、どんどん時代を逆行していきました(笑)。ちなみに、今はSEED大好きです。イザークが最高です!

――宇宙世紀のモビルスーツ(MS)のどの辺に魅力を感じますか?

コボパンダ宇宙世紀の機体からはどこか武骨な印象を感じます。「金属の塊」みたいな(笑)。また、その時代にそったMSの変革というのでしょうか、可変機や大型化・恐竜化してしまった「理由」がそれぞれ説明されており、それに沿った解釈があります。その解釈を自分なりに読み解きつつ、ディテールやスタイリングで機動兵器を表現したいと思っています。

――宇宙世紀シリーズで一番好きな作品と、その理由を教えてください。

コボパンダ『機動戦士ガンダムF91』です。MSが出したゴミ(薬莢)で簡単に人が死んじゃう演出、序盤でボコボコにされる連邦の機体、異形極まるラスボス、幼い身ながらかなりドキドキして見ていました。ガンダムとガンプラを同時に教えてくれた作品ですね。ちなみに買ってもらったのはすべてクロスボーン・バンガード系の機体で、F91も含めて連邦系のMSは一つもありませんでした。当時から偏屈だったようです(笑)。

ガンダムをより輝かせ、敵の強さの尺度がわかる最高のMS・ジム

――偏屈とおっしゃいますが、主役であるガンダムではなく、量産型や敵MSを作る理由は?

コボパンダ僕は戦車や戦闘機が好きで、特に戦車の「M4シャーマン」が大好きなんです。とりあえずたくさん作ってドイツのメチャ強い戦車に数で対抗しよう!それでも無理そうだったら武装を変えたり、装甲を増やしちゃおう!と生産性や拡張を考慮に入れた戦車なんです。この発想って完全にジムですよね(笑)。そこが原点になっており、ジムは機動兵器を表現するためにはとても良い素材だと思っています。素体の個性がない故に、自分の個性を込めやすいからですね。

――量産機には、ヤラレ役としての“儚さ”がありますね。

コボパンダジムはやられるしかない機体だと思っています。ガンダムという機体をより輝かせる、敵の強さの尺度がわかる最高のMSがジムなんですよね。なので、とりあえず華々しく散ってくれ!手足がもげて、爆散して、コロニーレーザーの藻屑になってくれといつも感じています。だから、“ただ強いだけ”のジムなんていらないと思ってます。

――おっしゃる通り、数で勝負するジムは戦争の主役です。

コボパンダ戦争において“最弱にして最強”なのがジム。戦ったらリックドムより強く、名だたるエースパイロットもガンガン乗っていて物語が作りやすいというのが魅力だと思います。僕みたいに、ガンダムばかりでは胃もたれしちゃう方もたくさんいると思いますし、ジムは絶対必要なMSであると考えます。

――コボパンダさんは、そんなジムたちをスジボリや塗装で魅力的に仕上げています。スジボリの難しさはどこにありますか?

コボパンダいかに違和感なく表現するかだと思います。スジボリ(ディテール)を増やすという事は、それだけ作品に対して目を動かすポイントが多くなってしまうので、見る人にとっては「うるさく」感じてしまうことが多々あります。ですので、なるべくたくさんの方に違和感なく、それでいてスジボリを含めたディテールを、全体を通してスッと目に入ってくるように手掛けることだと思います。

――他の人と、自身のスジボリテクの違いはどこでしょうか。

コボパンダテクというほどでもないのですが、塗装の厚みを考慮してスジボリをしている事だと思います。塗装の塗膜は意外に厚いので、下手をするとラインが貧弱になったり、スミイレ時の塗料の浮きが想像と違ったりします。そのあたりを考えて、タガネの径を調整したり、パーツによって彫る深さを変えて影を落としこんだりするなど、自分なりのこだわりがあります。

――まさに“匠の技術”ですね。最後に、コボパンダさんにとってガンプラとは?

コボパンダ兄と母がリアルタイムで『機動戦士ガンダム』を見てファンになっており、とうぜんの如く物心ついた頃から身近にある物です。一時期離れていましたが、そのおかげで楽しさを再認識できて、今に至るまで面倒見てもらってる“お兄ちゃん”みたいな存在です。

(C)創通・サンライズ
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