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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

「ガンダムII 哀戦士編」ポスターを再現、ガンプラ世代に刷り込まれた“大河原絵”の魅力【連載18回】

 来年40周年を迎える「ガンプラ」は、1980年7月の発売以降、累計4億5千万個以上を出荷。80年代前半のガンダムブームを牽引したのはもちろん、HG、MG、RG、PGといったカテゴリー分けを実施し、今なお進化を続けている。一方で、古き良き80年代のガンプラ箱絵や、ガンダム劇場版のポスター絵を忠実に再現するモデラーたちがいる。そこで今回、旧キット愛好家のトップモデラー・コーディ氏に、ガンプラ箱絵への愛着や、『機動戦士ガンダムII 哀戦士編』を再現したガンプラについて話を聞いた。
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ガンプラの箱絵には、男心をくすぐる“情報”が詰まっている

――ガンプラの旧キット愛好家とのことですが、旧キットに惹かれた理由は?

コーディ25年ぶりに模型趣味を再開した当初は最新キットを中心に作成していました。旧キットは最新キットを改造するための「パーツ取りキット」位の感覚です。実際、久しぶりに見る旧キットは「頭デケェ、太くてズングリしてる」なんて印象でした(笑)。でも箱絵や説明書やパーツを眺めていると昔作っていた懐かしい記憶が蘇ってくるわけです。「もしコレを今の技術とマテリアルで作ったらどうなるんだろう?」と、疑問と同時に淡い期待を感じはじめました。

――幼少期の“ガンプラへの想い”がよみがえってきたと。

コーディいざ旧キットのみで作り始めるのですが、どうしても気になる箇所だらけでどこもかしこも改造しまくってイジり倒してました。そんなときTwitterで旧キットの“無改造”コンペが開催されました。その名の通り、何も改造しない合わせ目すら消さない、筆塗りオンリー、デカール禁止、手書きマーキング、ルールはそんなところでしょうか。

――各キットの“味”が際立つコンペですね。

コーディま〜どの作例も懐かしさの塊!と同時に何故かカッコイイ、何も足さない、何も引かない美しさがありました。そして、旧キットはこんなにもカッコイイものなんだなぁと気付かされました。そこからですね、自分の旧キットに対する誤解が解けたのは。

――コーディさんは、旧キットを使った箱絵の再現が有名です。

コーディ幼少時代の話になりますが、プラモデルを買って貰うと家に帰ってすぐ作って、その後は箱絵をしばらく眺めていました。飽きずに寝るまでずーっと。何故飽きず見てられたか? それは、絵自体もカッコイイのですが、バックに様々な脇役も描かれていて、とにかく情報量が多い! 例えばザクやジオングが転がっていたり、戦艦が飛んでたり、砂漠だったり宇宙だったり…子供心にその絵からストーリーを読み取ろうと、どういう物語がこの絵にはあるのか空想するのがすごく楽しかったんです。

――いわゆる「戦場写真」のような、臨場感やストーリー性が箱絵にあると。

コーディそうですね。最近はジオラマを作ることも増えてきていて、情景に脇役を配したりシチュエーションを作ることでストーリー性を持たせるようにしています。特にMSVシリーズの箱絵はそのお手本としては打って付けです。そしてどの箱絵もガンプラ世代には有名だから、感情移入してもらいやすいのもポイントですね。

旧キットの美しいフォルムは、大河原邦男の“センス”と職人の“匠の技”の産物

――コーディさんは、イラスト風ガンプラが有名です。大河原絵にはどんな魅力がありますか?

コーディ各設定画や様々なイラストを通して、僕ら世代は小さい頃から大河原絵を見ているので、脳内に刷り込まれているんですよね(苦笑)。大河原さんのデザインって理屈はよく分からないんですが凄く「立体映え」します。旧キットの場合は昔の設計者さんや金型職人さんが設定画から忠実に形を拾っていて、現代のコンピューターから形を割り出す技術とはまた違った「勘」を頼りに、微妙なラインを表現しているのではないでしょうか。大河原さんの描くザクなどは意外と複雑なラインをしていますから。旧キットの美しいフォルムは大河原さんの“センス”と職人の“匠の技”、双方あっての産物だと思います。

――『機動戦士ガンダムII 哀戦士編』の劇場版ポスター再現で苦労した部分は?

コーディ苦労した点は全体のまとめ方でしょうか。2Dを3Dに落とし込む場合どうしても矛盾が発生してくるのですが、どこで背景を切るのか、海と雲と陸の継ぎ目はどうするか、背景と台座をどう繋ぐのかなど、そんな部分だったと思います。

――シャア専用ズゴックの“幻の4本クロー”も忠実に再現されていますね(笑)。では、こだわった箇所は?

コーディこだわった点はやはりバックにあるガンダムの胸像です。昔のガンプラの箱絵でモビルスーツの後ろに何か“背後霊”の様に他のモビルスーツが映っている描写がよくあって、このポスターもその例にならっています。再現するには難関だったのですが、「これが表現出来たら絶対面白い作品になる!」と思ったので臆せずトライしました。

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(C)創通・サンライズ

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