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女優になるためアイドルを辞めるべき? “並行活動”が困難なワケとは

  • 生駒里奈

    乃木坂46を卒業する生駒里奈

 1月31日、乃木坂46の生駒里奈が“卒業”を発表し、新曲「シンクロニシティ」(4月25日発売)がラストシングルとなるも、センター打診については本人が断ったことが後に報じられた。芸能活動自体は続けるとのことで、ドラマ『オー・マイ・ジャンプ!〜少年ジャンプが地球を救う〜』(テレビ東京系)に主演したことからも女優として活動することも予想される。このように、グループアイドル卒業メンバーの多くが「女優」を目指す傾向にあり、女優になりたくてアイドルになったと公言する者も少なくない。とは言え、アイドル活動と並行して女優業にも勤しめばいいのに、なぜ彼女たちは卒業に踏み切るのだろうか? その理由を考察すると、現代アイドルの女優としての大成の難しさが浮き彫りになってくる。。

“女優を目指して卒業”がアイドル業界の既定路線に

  • 元AKB48・前田敦子

    元AKB48・前田敦子

 最近のAKB系メンバーの卒業例を見ると、現NGT48の北原里英は4月に卒業を控えながら、女優として初の映画主演を果たし、ピエール瀧とリリー・フランキーという濃すぎる“凶悪”コンビに誘拐され、殴られ縛られ舐められる…という役を演じた映画『サニー/32』が2月に公開された。北原は以前から女優への夢を語っており、今作への意気込みも「この映画をもって、新たな人生を歩みはじめられることをとても幸せに思います」と明かした。共演したピエール瀧は「文句ひとつ言わずに雪の中に立ち続ける姿は立派でしたし、完璧な主演女優でした」、リリー・フランキーは「素晴らしい女優さんです。この役を演じる『覚悟』というものを感じ、引っ張られました」と両者ともに北原を絶賛している。

 また、NMB48の市川美織も女優を含めていろいろやりたいと1月に卒業を発表したばかり。それ以前でも、乃木坂46の“聖母”として知られた深川麻衣が女優になるために2016年に卒業、現在は主演作『パンとバスと2度目のハツコイ』が公開されるなど、その後女優として歩みを進めている。2015年には、大ブレイク中の川栄李奈や、現在放送中の『海月姫』(フジテレビ系)でアフロ頭の腐女子役をしている元SKEの松井玲奈もアイドルから女優の道を選んだ。そもそもAKB48における女優の先駆けとも言える元エース・前田敦子にしても、実は14歳のオーディション時点ですでに「女優になる夢をかなえるために応募した」と明かしている。

「アイドルとしての女優活動」もある中で、卒業してしまうのはデメリットでは?

 ただ、AKB“以前”を振り返ってみても、アイドル時代と同等、もしくはそれ以上の活躍を見せるのはほんのひと握り。ならばアイドルでいられるうちはアイドルでいたほうが、メディアの露出度、知名度の向上を考えてもよいのではないか、といった疑問もわいてくる。

 実際、現役の人気アイドルを女優として起用するのは定番の手法の一つと化している。2011年公開の映画『もし野球部のマネージャーがドラッガーを読んだら』は、トップアイドルとしての前田敦子を起用したことで話題になった。ほかにも、昨年公開の『あさひなぐ』でも乃木坂メンバーをフィーチャーするなど、アイドルグループのメンバーが出演する作品はたびたび公開。邦画のホラー作品などもアイドル女優たちの“登竜門”として機能している。

 AKB系48グループ、乃木坂、欅坂ともにアイドル以外の活動を並行して行っているメンバーは数多い。女性誌の専属モデルを務めたり、バラエティ番組などにも出演しており、その流れで女優の仕事があるのも自然だろう。2016年に公開された映画『闇金ウシジマくん Part3』では、人気絶頂の乃木坂46の白石麻衣が出演。アイドルを目指すタレントの卵を演じ、キスシーンなどの意外ときわどい場面があったことでも話題になった。となれば、やはり全体的な露出の頻度を考えても、アイドルをしながら女優業にソフトランディングするほうがいいように思うが、なかなかそうもいかない時代背景もあるようだ。

アイドルの長寿化&活動負担が増加、女優業との両立が困難に

  • 女優としての躍進に注目が集まる川栄李奈

    女優としての躍進に注目が集まる川栄李奈

 かつての70年代、80年代のアイドルの活動期間は現代のグループアイドルと比べると、極端に短かかった。「普通の女の子に戻りたい」と言ったキャンディーズは6年で卒業。おニャン子クラブにいたっては2年で解散。一方、今のアイドルグループは10年選手はザラで、ももいろクローバーZやでんぱ組.incも10年目。昨年の大晦日で卒業した元AKB48の渡辺麻友なども、ちょうど10年で卒業したことになる。でんぱ組で言えば、妹ユニットから兼任という形でメンバーを増員し新メンバーの加入で注目させるなど、“グループ再生”という意味でも新たなビジネスモデルが確立されつつある。AKB48にしても今年は13年目、モーニング娘。は21年目であり、乃木坂46も最近は三期生の露出が増えており、今のアイドルグループは新陳代謝を繰り返し、長寿化する傾向にあるのだ。

 先日、モーニング娘。からスーパー戦隊シリーズ(『怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』テレビ朝日系)のヒロインへの“転身”が話題となった工藤遥は、卒業の理由に関して、「やるからには中途半端にはしたくないし、両立するにしても、『お芝居がやりたい』と言いながら、歌って踊る事が本業のアイドルとしてステージに立つのはメンバーにもファンの皆さんにも失礼だと思いました」とインタビューで明かした。

 また、今や前田に次いで“元グループアイドル→女優”の代表格ともなった川栄李奈は、AKB時代を振り返り、インタビューで「今よりアイドル時代のほうが断然忙しかった。AKBは表に出ていること以上にやることが多すぎて…。ラジオだったり、生写真の撮影だったり、握手会だったり、休みが本当になかったです。次の日の仕事内容を知らないまま1日が終わって、とにかく余裕がなかった」と語っている。今どきのアイドルビジネスには、メンバーたちも歌や踊りを観客に披露する“以外”の仕事にも追われ、だんだんと疲弊していくという背景があるといえるだろう。

昭和アイドルよりも自己主張しやすく、“引退”もしやすい環境に

  • 元ハロプロアイドル、女優として活躍する真野恵里菜

    元ハロプロアイドル、女優として活躍する真野恵里菜

 かつて、おニャン子クラブ以前のアイドルと言えば、数万人の中から選ばれた逸材であり、歌にしても演技にしてもその“才能”を買われ、さらにそれぞれが磨かれていったのである。一方、今のアイドルシーンは、CD不況が叫ばれ、歌番組も減少傾向…という状況の中で、多人数参加型のスタイルが功を奏し、アイドルやファンたちがともにシーンを活性化させ、新しいアイドル文化を作ってきたという背景がある。その一環としての握手会やテレビ出演などであり、レコーディングやステージ以外の一連の仕事の激増にもつながっているわけだ。元ハロプロアイドルの真野恵里菜もインタビューで「芝居とライブが重なって、いろいろな方に迷惑をかけてしまって。どちらも大切だからこそ、どちらにも迷惑はかけられない。だからお芝居の道に進む決心をした」と明かした。たしかに現代では“アイドルと女優の両立”は軽々しく言えるものではないのかもしれない。

 ただ同時に、かつてのようにひとりのアイドルが、その背中に芸能プロダクションやレコード会社、テレビ局等々を背負うという責任もなく、グループアイドルだけに“代替要員”も控えているし、ひとりの急な脱退で広告や興業に穴を開けるといったリスクもほとんどない。むしろ自分の“卒業”をイベント化し、グループ活動を活性化させることすらできるだろう。人生の多くをアイドルで過ごし、その後の人生を考えてしまうメンバーが出ても致し方ない。

 そういった意味では、アイドルと女優を中途半端に兼任するよりも、卒業→女優への転身のほうが潔いとも言える。また、昭和の時代に比べればアイドルたちもそれだけ自己主張ができる時代になり、引退しやすい環境になったということだろう。実際、今のアイドルたちは平成の過酷な“アイドル戦国時代”を生き抜いてきたのだ。卒業後も、そのバイタリティーを生かしてほしいと切に願う。

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