黒木華が語る最優秀作品賞『凪のお暇』 大事にした“お暇感”、贅沢なキャストとの共演
漫画原作があることを大事にしながら、どう遊べるかを模索した
黒木華お話をいただいてから原作を読ませていただきましたが、とてもおもしろくて。それをビジュアルの部分でいかに寄せるか、その世界観をどう作っていくのか、原作ファンのイメージもあるので、最初はすごく悩みました。でも、共演の高橋一生さんや中村倫也をはじめ、役を深く理解され、お芝居のすばらしい方々ばかりだったので、不安なくやらせていただきました。漫画という原作があることを大事にしながら、どこでどうやって遊べるかを監督はじめスタッフのみなさんと探していくことが、とても楽しかったです。
――プロデューサーは、凪は黒木さんしか考えられなかったと話していましたが、黒木さんも地毛での凪ヘアーなど強い意気込みが感じられました。
黒木華髪型は凪のアイデンティティだと思ったので、パーマをかけて挑みました。髪型の打ち合わせをするときから、プロデューサーさんの作品への並々ならぬ熱意を感じました。ビジュアルを寄せるだけではない、“凪のお暇感”を大事に撮っていきたいとおっしゃっていただき、それに応えられたらと思っていました。
――黒木さんと凪の似ているところはあるのですか?
黒木華空気を読んでしまうところは似ているかもしれませんが、それは社会で生きていくなかで、どうすれば物事が円滑に進むか考えるからこそですし、誰しも持ち合わせている部分でもあると思います。SNSが苦手という凪の気持ちも理解できました。
お互いに無理せず、とてもいい関係だった高橋一生&中村倫也との共演
黒木華『凪のお暇』という作品の空気を大事にしたいとずっと思っていましたが、演じるうえで気をつけるというより、胸に刺さるセリフやリアリティのあるセリフの部分をどうおもしろく、ポップにするかのバランスを監督と相談しながら意識して演じました。あと、Tシャツを凪の心情にあわせて変えたり、小物から人物像をぶれないようにしたりなどは、スタッフさんと相談しました。作品の中心にいる役だったので、周りの人にその場ごとの凪としての成長をどうやったら見せられるのかは気にしていました。
黒木華多くの女性が共感できるドラマだったのではないかと思います。みんなお暇がほしいのかもしれません。つねにSNSを意識したり、反応がないと不安になったり、そういうのに疲れているところが少なからずあると思います。SNSや携帯を通してではない人と人のつながりをどこか求めていて。あんなアパートに住みたいと言ってもらったりしましたが、人との関わりの温かみに共感してもらえたと思います。
――共演のおふたりが贅沢です。撮影で印象に残っていることはありますか?
黒木華本当に贅沢でした(笑)。中村さんが演じられたゴンさんは、描かれていない部分を埋めるのがとても難しい役でしたが、その背景や深みが見えるお芝居をされていて、さすがだなと思いました。一生さんは、お芝居の細かい調整がとても上手で、私自身お芝居をしていて本当に楽しかったです。撮影現場はとても和やかで、一生さんは私のおふざけによくつきあってくれていました(笑)。