『今日俺』それぞれの持ち味が活かされた14人の若手俳優、19年飛躍へ高まる期待
映画や舞台から引き上げられた、この先の活躍を期待される若手俳優
実は今作には、映画『ライチ☆光クラブ』の出演者が多い。第4話で若月佑美演じる川崎明美の彼氏役で登場する戸塚純貴、第5話で中村倫也演じる東京ヤンキーの紅野たちとともに登場する池田純矢も『ライチ☆光クラブ』の出身である。狂気的な世界観に包まれる異色作だったが、そこでのそれぞれの演技は評価を受け、その後につながっていることがわかる。
中村倫也はもはや説明不要、2018年にもっとも飛躍した俳優だが、彼と同じ高校のユタカ役の平埜生成も、かつての中村のように、将来その活躍を期待されている俳優である。昨年は映画『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』でも重要な役で出演したが、新国立劇場での舞台『誰もいない国』では、柄本明、石倉三郎、有薗芳記との濃密な4人芝居に挑戦するなど、演劇でも活躍している。
メインからサブまで誰もが輝いていた今作での次につながる活躍
第8話にヘルメット姿で登場し、バットを手に包帯で固定して暴れる狂犬1年生を演じた須賀健太のことも忘れてはいけない。須賀は子役時代のイメージも強いが、2018年まではハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』でも活躍。その一方で、映画『ダブルミンツ』『獣道』などではダークな世界にも挑戦した。今作のメット男でも、そんな須賀のダークな一面が見られる絶妙な配役であった。
『今日から俺は!!』は、ムロツヨシや佐藤二朗、シソンヌの2人、そして吉田鋼太郎といった百戦錬磨の中堅、ベテラン俳優や芸人たちがそろっていた。そんなキャスト陣の芝居を受け止めながら、独特の空気を作っていく作品だけに、これまでさまざまなシーンで実力を蓄えてきた若手俳優たちにとっては、それぞれが持ち味を存分に発揮することができる場となった。そして、その持ち味が物語のなかのポイントとして活かされる脚本と演出により、それぞれ俳優の個性が、演じるキャラクターの魅力とともに相乗的に引き出され、作品としてのおもしろさが爆発したのではないだろうか。
メインキャストはもちろん、サブキャラクターの誰もが輝いていた今作。ここでの活躍は、その次につながっていくことだろう。19年はさまざまなシーンで彼らの活躍を見ることができるに違いない。
(文/西森路代)