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【サウナ】「絶景や文化遺産で“ととのい”体験も…」引退した路線バス車両を改良した“サウナ”バスが話題「降車ボタンでロウリュウも」

 近年、個室や会員制など、多種多様な施設が誕生し、テレビ東京系ドラマ『サ道』が放送されるなど、空前のサウナブームを巻き起こしている。サウナ愛好家は“サウナー”と呼ばれ、サウナ後の食事を“サ飯”、サウナに行くことを“サ活”、サウナを巡る旅を“サ旅”と称するなど、さまざまなサ○○が登場している。そうしたなか、役目を終えた路線バス車両をサウナに改良した「サバス」が、話題になっている。なぜバスをサウナに変えたのか? 同事業立ち上げの背景を聞いた。

コロナ禍で利用者が減るなか、引退した路線バス車両を有効活用

 兵庫県を拠点にバス事業を営む神姫バスの路線バス車両を使用し、サウナに改良した「サバス」。同事業を立ち上げたリバース代表取締役の松原安理佐さんは、2015年に神姫バスに入社。新規事業を立ち上げる戦略部に所属し、バスを使ったさまざまなアイデアを模索していたなか、「サバス」を発案した。

「近年、バス事業者は自家用車の普及や人口減少による利用者の減少という課題を抱えていました。そのうえ、新型コロナウイルスの感染拡大で移動の自粛やリモートワークといった生活様式の変化で更なる影響を受けました。このままではバス事業が成り立たなくなるため、新しい収入源の創出が必要でした。そこで、会社の遊休資産である引退した路線バス車両を有効活用した取り組みができないかと考えました。いろいろと調べていたところ、フィンランドで実際にバスをサウナに改良している事例を見つけました。路線バスを丸ごとサウナにした『サバス』とは少し違うのですが、大型観光バスの後部がサウナ室になっているもので、それが約2年前のことでした」
「会社で何か新しいことをやろうと思っても、事業計画の数字が重要視されるため、決裁の時間がかかり、スピード感を持って進められない」と、神姫バスからの出向という形で昨年5月、自らが社長となって会社を起ち上げ、経済産業省の補助事業へ採択された。しかし、サウナに関して全くの素人であった松原さんは、どのくらいの需要があるかわからないため、日本でのサウナバスの需要を各所に問い合わせたという。

「日本のサウナ業界でお仕事をされている方々に、『日本でサウナバスを作ろうと思っているんですけど、どう思いますか?』と、片っ端からDMを送りました。サウナ施設をプロデュースされている方など、送ったほとんどの方から『面白い』とお返事をいただきました。そのなかでも、一番話にのってくださったのが、現在パートナーを組んでいる日本最大級のサウナ検索サイト『サウナイキタイ』でした。私が直感的に面白いと思ったことを、サウナのプロたちも面白いと思ってくれている。そのうえ、『サウナイキタイ』とのパートナーシップが組めると決まったことで、私自身も『これは絶対に成功するぞ』と確信しました」

目的地は「ととのい行き」蒸気“降りますボタン”も…随所に路線バスの名残りが

 海外ではキャンピングカーが牽引するサウナトレーラーなどもあるが、単にバスの形をしたサウナではなく、自走するバスであることにこだわった。そのため、サウナとしてのクオリティを担保するだけでなく、車検に通る車両であることが大前提にあった。

「牽引式のサウナトレーラーとは差別化したかったし、しっかり自走するところが『サバス』の面白さであり、強みだと考えました。それには、車検を通すことがまずは最低条件。バスの床にある点検口への配慮が必要だったり、移動中に急ブレーキでストーブなどが倒れないように、しっかりと固定をしなければいけない。断熱性を得るために天井や壁の厚さはどれくらい必要なのかなど、さまざまな課題がありました。バスの車体に関する知識も必要なため、そこは神姫バスのグループ会社である神姫商工に協力を得ました。サウナとしてのクオリティと同時に、安全面を考慮することも必須でした。ただ走行中は、サウナは使用できません」
 熱源はフィンランド式の薪ストーブを採用。そのため、電気よりも火力が強く、サウナ室の温度も100度まで上げられた。

「快適なサウナ体験をしていただくために、薪の種類や焚付け方も調べました。また、湿度をあげるために、オリジナルの水タンクを設置しています。火災が起こらないように断熱性を高める一方で、高い温度と湿度を保つ工夫を凝らしました」
 また、押しボタン式のオートロウリュ(通称:蒸気降りますボタン)や吊り革温度計、バス特有の列目が高くなっている座席配置など、随所に路線バスのなごりを感じられる。

「せっかく路線バスを再利用しているので、その特徴も活用したほうが面白いと思いました。入ってすぐの休憩スペースはつり革を残し、サウナ室もタイヤの上は席が一段高くなっているなどの路線バスの座席の構造を利用して、温度差が楽しめるようにしています。また“降車ボタン”を押していただくと、熱したサウナストーンに水がかかり蒸気が発生するので、ロウリュウも楽しめます。さらに、サウナ体験が始まる際には、『このバスの目的地は“ととのい行き”です』という風に、バスの車内アナウンスの感じで注意事項の説明を演出しています」

絶景や文化遺産も…場所ごとに違った“ととのい”ができるのが、サバスの魅力

 『サバス』は、今年4月から運用を開始。それに先だって昨年11月にプレスリリースを発表した際には、海外メディアからも取り上げられるなど反響を呼んだ。

「『本当にバスなんだ!』と皆さんびっくりされています。降車ボタンの反響も大きいです。私としては、予想外だったのが、“サウナは苦手”でも“バスは好き”といったサウナー以外の方からの反響もあったことです。オープン前に『写真を撮らせてほしい』と言ってくださる方や、サウナには入らずバスをずっと観ている方もいらっしゃいます」
 見た目のインパクトは絶大で、SNSで拡散するユーザーが多く、問い合わせも増加。現在は温浴施設やスーパー銭湯などの駐車場で利用されることが多く、サバスの隣に仮設のプールを設置し、着替えなどは温浴施設の更衣室で行う。また、「サバスならではの“ととのい”方がある」と松原さんはいう。

「公園などアウトドア施設に貸し出す予定もあるので、自然の川や湖に入ってととのってもらう体験ができます。その場所ごとに違った“ととのい”ができるのは、サバスの魅力のひとつ。文化遺産などからの問い合わせも来ているので、今後はさらにユニークなととのい体験をしていただけることになります。また、サバスは窓があって外の景色が見られるのが、通常のサウナとも違います。開放感を得ながらサウナに入れるので、初心者の方にも楽しんでもらえると思います。“絶景×サウナ”など、サバスならではの体験や価値を模索していきたいです」
 会社名のリバースには、“Reuse Bus”や“ReBirth”といった、廃バスの再利用や生まれ変わらせることを意味している。今後は、大阪のタクシー会社と組んだ“託児バス”や、百貨店などの期間限定ポップアップショップのバス版などの展開を予定している。サバスも現在は神姫バスを改良したものが兵庫に1台あるが、サバス2号目の製作も今後、検討を予定。

 6月より約2年ぶりに外国人観光客の受け入れが再開された。松原さんの願いでもあるサウナの本場フィンランドの旅行客がサバスを体験する日も、そう遠くなさそうだ。

(文/榑林史章)
◆サバス公式サイト(外部サイト)

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