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岡田准一、山田涼介は“1000年に一度の逸材” 初の時代劇を直接指導「天才が努力をしている」【インタビュー】
岡田准一“座長”への揺るぎない信頼 山田涼介「岡田さんが土方歳三でなければ、この映画にはならなかった」
岡田沖田総司と手で恋文を取り合うというシーンでは、見学にきていた(近藤勇役の)鈴木(亮平)さんが『俺もああいうのやりたい』とおっしゃって(笑)。監督から考えてほしいとお願いされて、急きょ3人で組手をやることになったり、役者から発信して、アイディアを出して演じることも多かったです。原田組は動きながらしゃべる、死にそうなシーンでも扉を開けようとしたり、会話とは別のものが足されることが原田監督の妙。普通の現場ならセリフでの会話のタイミングを合わせるのですが、それ以外の行動が原田組では足されることが痺れる面白みでもあり、そういう意味でも関係性の役作りが生きてきます。
――予告編でも話題となった、沖田が土方をツンとつっつくシーンもありました。
山田あれも、現場で生まれましたが、ああいうのも鬼の副長と呼ばれている土方だからこそ、他の誰もできないけど沖田だからできる。そこのバランスは常に考えて演じています。
映画『燃えよ剣』予告映像
山田土方さんと、お雪さん(柴咲コウ)の家でご飯を食べるシーンで、まぁまぁセリフをしゃべっていたのですがほとんどワンカット一連で撮っている後に、(岡田から)『お前、緊張してるだろ』と言われて。緊張しているのがバレてすごく恥ずかしかったです。
岡田あったね。珍しく緊張してた。この人、緊張してるな〜というセリフの言い方だったんだよね(笑)。
山田バレた!と思って(笑)。すごく緊張していたんです。
――お二人のやりとりがとてもほっこりします。お二人から見て、土方と沖田はどういう関係性だったと思いますか。
岡田同じ道場に若い頃から一緒にいて、仲間も死んでいくなかで駆け上がっていく。変わっていく時勢とかそういう、美しさや儚さは変わらないものがある。この近藤、土方、沖田、その3人の関係性も大事に演じました。
山田沖田からしたら土方さんも、近藤さんも、本当にお兄ちゃんみたいな存在だと思います。唯一、頼ること、甘えることができる。僕なりの解釈ですが、沖田が沖田らしくいられるのは土方さんと近藤さんがいるからだというのは、沖田もわかっていたと思う。この2人がいなかったら、岡田以蔵のような人斬りになっていてもおかしくない強さがある。心の拠りどころだったのではないでしょうか。
僕が僕でいられる。この2人がいるから死ねないし、この2人のためなら命も捨てられるくらいの覚悟を持って、新選組にいたと思います。だから、新選組が変わっていくのを人一倍悲しんでいた。沖田が結核になり、体調も悪くなっていくと、土方さんが戦中でも来てくれる安堵感。僕の心は死んでいないと、土方さんたちのなかで生きているんだという、想いが常にあったのではないか。かけがえのない、兄弟のような存在だったのではないでしょうか。
――美しく、悲しい物語です。
岡田土方や近藤は沖田のことは『あいつは天才だから』と、かわいい弟のようでありながらも認めている。そういう関係性のなかで、みんなが変わって失っていく。『男の一生は美しさをつくるためのものだ』という土方の言葉を僕は大事にしました。行動はめちゃくちゃなことをやっているので、そんな映画を作ろうと思えば、作れちゃうよね。
山田できますね。ただただ、残酷な映画にもできる(笑)。
岡田どこからどう見るか。でもやはりハードボイルドとバイオレンスとチャーミング。そういう映画になっているし、観終わったときに、みんなの人生が美しく見えるように。それが土方本人の願いだったと思いますし、それは意識しました。
――岡田さんが土方、山田さんが沖田を演じたからこそ引き出された魅力みたいなものはお互い感じましたか。
山田岡田さんが土方歳三というキャラクターを演じることで、殺陣からなにからなにまで、全部新選組まわりのことを『じゃあ、こういう殺陣にしよう』とか指導してくださって。だからひとりひとりのキャラクターが殺陣だけでも明確にわかるようになっているし、プライベートの会話まで『じゃあ、どうしましょう』『こうしましょう』とか積極的に聞くことができた。岡田さんが土方さんだからこそ、そういった空気感ができた。僕を含めた新選組のメンバー全員が感じていることだと思います。岡田さんが土方歳三でなければ、この映画にはならなかった。この関係値のバランスの良さはでなかっただろうな、と感じます。
でも山田くんに教えると、僕の大事にしていることや動き方、『プロの人はそこを見てるからね』と言った部分もできるんです。それを大事にしながら、自分で咀嚼(そしゃく)して自分の答えを見つけてきて、次の現場でやってくれる。その時点で、沖田っぽい。天才が努力をしている。長年京都(の撮影所で)で見てきたスタッフの方々が『歴代の沖田総司のなかでも1番の沖田だと思う』と言ってました。『最後のシーンとか神がかってきたわ〜』と僕に報告しにきてくれたことがうれしかったです。京都のスタッフさんが認めるなんてなかなかないですよ。自分が主演の映画で特に後輩がそんな風に褒められるなんてうれしいです。
山田うれしいです。(これからも)頑張っていきます。