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韓国映画特集『話題作が続々!なぜ今!?ファン層に変化のきざし!?韓国映画に見える5つの軸』

2013年5〜7月、韓国に関係する映画の公開が相次いでいる。これは日本の市場のニーズなのか、韓国映画が盛り上がっているのか、はたまた社会情勢との兼ね合いなのか。そして、現在の韓国映画はどういう状況なのか、韓流ブーム、K-POPブームが落ち着いた今こそ、韓国映画を通じて見えてくるものとは何かを探ってみたい。関係者へのインタビューから浮かび上がる韓国映画界の今と日本映画界の突破口とは!?

純粋におもしろいから紹介したい 作家性を感じるエンターテインメント

中井 圭氏
映画解説者/ナカメキノ・クリエイティブディレクター

ナカメキノとは、中目黒でマルシェ的な映画イベントを開催するプロジェクト。これまでに『エターナル・サンシャイン』『サニー 永遠の仲間たち』『桐島、部活やめるってよ』『建築学概論』『スクール・オブ・ロック』などを無料で上映してきた。若い人たちが集うオシャレな街でのこうした活動に韓国映画が2本もラインナップされているのを見ると、今の韓国映画を観る人のタイプも変わってきているような気がしてくる。映画解説者で、ナカメキノでも作品選定を担当している中井さんに、なぜ今、韓国映画なのかを聞いた。

vol.0 2012/12/20 SAT アニー・ホール ナカメキノの上映イベント
vol.0 2012/12/20 SAT
アニー・ホール

vol.1 2013/1/26 SAT エターナル・サンシャイン vol.1 2013/1/26 SAT
エターナル・サンシャイン

vol.2 2013/2/16 SAT 桐島、部活やめるってよ vol.2 2013/2/16 SAT
桐島、部活やめるってよ

vol.3 2013/3/30 SAT サニー 永遠の仲間たち vol.3 2013/3/30 SAT
サニー 永遠の仲間たち

vol.4 2013/4/28 SUN 建築学概論 photo by Ryota Shichida vol.4 2013/4/28 SUN 建築学概論
photo by Ryota Shichida

vol.5 2013/6/2 SUN スクール・オブ・ロック vol.5 2013/6/2 SUN
スクール・オブ・ロック

――まず気になったのは、ナカメキノの5本の映画のセレクトのなかに、なぜ韓国映画が2本も入っているのかということなんです。
【中井】 今の若者にとって、映画のチケットは高いですよね。だから、ナカメキノで無料でおもしろい体験をすることで、映画を好きになってもらいたいんです。そのためには、映画のセレクトは重要です。その映画がおもしろくないと、その後に映画を好きになるかを左右することになるので。ナカメキノの上映作に2本の韓国映画が入っているのは、純粋におもしろい映画だからというだけなんです。

――『サニー』には、格別の思いを寄せる男性が非常に多く、中井さんも出演されているWEB番組『WOWOWぷらすと』から、“おっサニー”という言葉も生まれました。水道橋博士さん、大根仁監督、花くまゆうさくさん、樋口毅宏さん、柴尾英令さん、松崎まことさん、マキタスポーツさん、プチ鹿島さんなど、『サニー』に男性が惹かれる理由はなんだったんでしょうか?
【中井】 『サニー』と『桐島』って、共通点があると思うんですよ。両方とも学校の話も描かれているから、自分は登場人物のなかで、どの人に近かったんだろうとあてはめることができる。そして、映画のなかで全部を描ききらず余白が残っていたから、自分の体験と重ね合わせられるんですよね。特に『サニー』は80年代が舞台だし、女の子同士の友情劇に疑似的に自分も入り込んで、そこにファンタジーを感じることができたので、ある年齢層の男性に受けたんじゃないですかね。それに、大人になったら現実って甘くないことを知ってるじゃないですか。『サニー』にしても『桐島』にしても、そういう現実世界の悲哀が描かれていたし、『建築学概論』も初恋のうまくいかなさが描かれていたから、僕たちのような“ボンクラ”の心を引き寄せたんじゃないでしょうか(笑)。

――数々の韓国映画を観ていて、ここは学ぶべきところだなと思うところはどんなところでしょうか?
【中井】 映画のクオリティと観客動員数が比較的リンクしているところはうらやましいですね。ポン・ジュノなんかは、非常に作家性もあって、米軍問題、警察の汚職、家族といったモチーフを映画にしてきましたが、そういった作家性で社会的なものを描きながらも、『グエムル-漢江の怪物-』のようなエンターテインメント作品に仕上げることができるので、メインストリームにも訴えることができるし、興行も成功している。日本では作家性とクオリティに興行がなかなかつながらないので、そこは韓国はうまいなと思います。もちろん評論家の意見がすべてではないにしても、作品として評価できるもの、いいものがちゃんと理解されて流行るのは、韓国のすばらしいところです。日本では韓国映画に対して食わず嫌いな人もいて、韓国映画ってベタなんでしょ、韓流ドラマみたいなんでしょ、という人も多いと思いますが、ポン・ジュノ、パク・チャヌク、ナ・ホンジン、キム・ギドクなど、無視できない作家が数多くいます。そういうイメージを少しでも払しょくすることがナカメキノにできることなのかもと思います。

――『サニー』や『建築学概論』が普段あまり映画を観ない人たちを動かしたのは、純粋に話題になっているおもしろい映画に興味を持ったからですよね。ナカメキノの上映作品や観客層を見ると、むしろ今の若い子たちのほうが、日本映画、韓国映画という意識をしないでクオリティの高い映画を楽しんでいるという気もします。韓国映画やほかの国の映画を観てきた中井さんが感じる日本映画の可能性というのは、どういうところにあるでしょうか?
【中井】 これは映画ではないんですが、浦沢直樹さんの漫画『MONSTER』をギレルモ・デル・トロでハリウッドがドラマ化するという話が持ち上がりました。これ以外にも日本には、題材は数多くあります。もちろん、日本人でもハリウッドに行って監督をした人はいるけれど、ホラーなどのジャンルムービーが多いんです。でも、せっかくアイディアがあるんだし、才能もあるのに戦略が弱いのではもったいない。黒沢明や小津安二郎から影響を受けた映画人は世界中にたくさんいます。きちんとしたバックアップのもと、世界中に、日本映画ここにありっていうのを、また見せてほしいと思っています。

(文:西森路代)

“ナカメキノ”とは!?


映画と中目黒をもっと好きになってほしいとの思いから生まれた、編集者の山崎真理子さん、ビストロ経営者の須藤晋次朗さん、映画解説者の中井圭さんらによるプロジェクト。今年1月から正式に立ち上がり、基本的に毎月一回無料の映画上映&トークイベントを開催する。良質な作品との出会いや特別な映画体験を通じて、映画が本来持つ楽しさ、感動、トキメキを中目黒を訪れる多くの人たちに伝えることを目的にする。
【公式サイト】 【公式Facebook】 【公式Twitter】




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