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「部下をねぎらい手柄を褒める」ブラック上司はもういない…刑事ドラマのコンプライアンス

  • 『警視庁・捜査一課長season5』(C)テレビ朝日

    『警視庁・捜査一課長season5』(C)テレビ朝日

 テレビ朝日の人気刑事ドラマシリーズ『警視庁・捜査一課長』(毎週木曜 後8:00)が今期で10周年を迎えた。コロナ禍真っ只中の昨年は、いち早く「テレワーク捜査会議」を実施するなど、時代性を捉えた演出も話題。一方で、“働き方改革”が叫ばれる昨今、気になるのが捜査員たちの激務ぶりだ。理想の上司として描かれる主人公・大岩純一だが、今後は部下たちの働き方や職場環境に配慮するようになるのだろうか。「刑事ドラマとコンプライアンス」の折り合い方について、同ドラマでゼネラルプロデューサーを務める関拓也さんに話を聞いた。

“笑える小ネタ”が若者にも浸透!? Twitterでトレンド入りも

 テレビ朝日の『警視庁・捜査一課長season5』がスタートし、初回放送で「捜査一課長」「ホシをあげる」がTwitterトレンド入りするなど今期も好調だ。

 もともと中高年に根強いファンの多い刑事ドラマシリーズだが、緊急事態宣言下に放映された昨シーズンは、「在宅率の高さもあってか、若い世代にも多く観ていただけたようです」とゼネラルプロデューサーの関拓也さん。実際、SNSで話題になることも昨年よりグンと増えた印象がある。

 同ドラマの人気の理由は、古き良き刑事ドラマのテイストを残しつつも、笑える小ネタも満載であること。その魅力を“発見”した新規の視聴者たちが今シーズンも引き続き楽しみにしていたことは、初回放送のリアルタイムにSNSが大盛り上がりしていたことからもうかがえる。

「主演の内藤剛志さんは『(演じる)大岩純一の言動を通して、若い世代に希望を伝えたい』と常々おっしゃっています。若い方々にご覧いただけることは、大岩を演じる上での大きなモチベーションにもなっているようですね」(関さん)

 10周年を迎えるドラマシリーズが新規ファンをつかみ、さらに視聴層の若返りを果たしているのである。

現場の苦労を知るからこそ…たたき上げの主人公は“理想の上司”

  • 『警視庁・捜査一課長season5』(C)テレビ朝日

    『警視庁・捜査一課長season5』(C)テレビ朝日

 ノンキャリアの叩き上げで捜査一課長となった大岩は、シリーズで一貫して「理想の上司」として描かれる。部下を厚く信頼し、労苦をねぎらい、手柄を褒め称え、不手際があったときには全面的に責任を取る。関さんは「世の“ブラック上司”の真逆をやったら、そうなっただけです(笑)」とキャラクター造形について語る。

 また自らも現場に出向き、捜査員たちに加わって捜査にあたるといった現場主義者でもある。

「よく『捜査一課長が現場に行くわけなんてない。ドラマだからでしょ』とツッコまれるんですが、これはリアル。本シリーズの監修をしていただいている元捜査一課長の方によると、必ずすべての現場に行くそうです。捜査一課長という役職は400人の捜査員を指揮し、複数の捜査本部に的確な指示を行い、マスコミ対応にもあたり、さらには捜査にも加わるといった凄まじいまでの激務です。そのため任期は1〜2年が精一杯のようですね」

 なお実際の捜査一課の刑事たちはほとんどの時間を現場や捜査に費やしており、刑事部屋にいることは滅多にないという。残業は当たり前、ときには捜査のために何日も帰宅できないなど、一般企業の感覚で言ってはいけないのだろうが、なかなかの“ブラック職場”でもある。

「実際はそうなんですけど、そのまま描くと観ている方に『働きすぎなんじゃ…』と心配されてしまうのでは、と。刑事さんだけでなく、一般企業にお勤めの方だって現実はしんどいことも多いですよね(苦笑)。ですから、フィクションまで辛い思いをさせたくないというのを、本シリーズのモットーにしているんです。大岩が自宅で妻の小春や愛猫のビビと過ごすシーンを毎回入れているのは、視聴者に少しホッとしてもらいたいという意図もあります。『大岩もちゃんと家に帰れていますよ』と…」

 叩き上げの上司はときにブラックになりがち。しかし現場のキツさを味わってきたからこそ部下への配慮もできる。「俺たちが若かった頃は」といった押し付けもしない。そんな現代的な理想の上司、それが大岩である。

「ブラックな職場は描かない」リアルとフィクションのバランス

 サブキャラクターでありながら、たびたびTwitterのトレンド入りをする人気キャラが、本田博太郎が演じる笹川刑事部長である。とくにそのシュールで神出鬼没な登場シーンは毎回爆笑を呼んでおり、まとめサイトも存在するほどだ。

「笹川は大岩のさらに上司で、こちらはキャリア組。現場の苦労も知らないわけで、経歴的にはそれこそブラック上司になりかねません。だけど、『捜査一課長』ではそういう世界観は描きたくないんです。むしろエリートだからこそ器の大きい、泰然自若とした人物であって欲しい。なんの前触れもなく滝からびしょ濡れで現れたり(笑)。表現はエキセントリックですが、実はものすごくマトモなことを言っていて、何より大岩に全幅の信頼を寄せて常に味方でいます。笹川は、本作のもう1人の理想の上司像でもあるんですよ」

 キャラの立った刑事たちによる熱い奮闘は、刑事ドラマの醍醐味だ。しかし登場人物たちに感情移入すればするほど、「コンプライアンス」が叫ばれる昨今、その激務ぶりはドラマとわかってはいながらも、とくに若い視聴者には違和感を抱かれかねない。

 リアルとフィクションの絶妙なバランスと、理想の上司を中心に据えることで共感を呼んでいる『警視庁・捜査一課長』。極めて現代的な刑事ドラマの楽しませ方をしていると言えるだろう。

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