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最強編成を誇るテレ朝“ニチアサ”枠、子ども向けに収まらない“枠の強固さ”

  • 『スター☆トゥインクルプリキュア』のキービジュアル (C)ABC-A・東映アニメーション

    『スター☆トゥインクルプリキュア』のキービジュアル (C)ABC-A・東映アニメーション

 テレビ朝日系で、日曜の朝8:30より『プリキュアシリーズ』、『平成仮面ライダーシリーズ』、『スーパー戦隊シリーズ』と放送される一連の子ども向け番組は「ニチアサキッズタイム」=通称“ニチアサ”と呼ばれている。2007年に始まり、子どものみならず大人まで巻き込むほどの根強い人気を保っている。6月16日に『第119回全米オープンゴルフ』の放送により番組が中止になると、Twitterのタイムラインではニチアサ民の悲しみの声があふれた。10年以上も親しまれ、現在最強の編成を誇る“ニチアサ”枠の影響力とは?

時間変更で困惑、番組中止に号泣など一喜一憂するニチアサ民

 「ニチアサキッズタイム」は、文字通り“日曜朝の子ども向け番組”のことで開始は2007年。当初は7:00からメ〜テレ制作のアニメ(『古代王者 恐竜キングDキッズアドベンチャー』)、7:30から『スーパー戦隊シリーズ』、8:00から『平成仮面ライダーシリーズ』、8:30から『プリキュアシリーズ』と流れる時間帯だった(9:00終了)。7:30〜8:30までの東映制作2本は、正式に「スーパーヒーロータイム」と呼ばれるが、“ニチアサ”はその前後の男児向けアニメと女児向けアニメの「プリキュア」を合わせた4本の枠を指す。

 7:00「アニメ」→7:30「スーパー戦隊」→8:00「仮面ライダー」→8:30「プリキュア」という並びは長年にわたり不動だったが、2017年10月に先陣の「アニメ」が撤退するとしんがりを務めてきた「プリキュア」が先頭になり、8:30「プリキュア」→9:00「仮面ライダー」→9:30「スーパー戦隊」と放送順が逆になり、戦隊+ライダーの放送時間も遅くなるという“大改編”が起きる。この放送時間変更に対し、初日はSNSでも「ニチアサが遠い」、「(朝のルーティンが変わり)実際きつい」、「早起きしなくてもいいのに起きてしまう」などと、これまでこの枠を楽しみにしていたニチアサ民が困惑する声であふれた。

 以降、ニチアサは広く認知されていくのだが、今や毎週Twitterでは「ニチアサ」、「nitiasa」がトレンドワードとしてリアルタイムで盛り上がり、先述のようにゴルフで番組が休止するとタイムラインでは悲しみの声が起こるまでになった。

 しかし、全米オープンゴルフ中継による放送休止は、毎年6月の第3週にある恒例行事であり、11月の第1週の全日本大学駅伝中継と同じように、時期的な休止であることもファンたちには周知の事実。関西では甲子園中継の影響を受けることもあり、ニチアサが時期的に休止することすら一種の“風物詩”的な役割になっており、SNSでも「ニチアサないからでかけるか」、「ちょっと手間をかけて朝ごはんを作るか」など前向きな発言もあったりする。

「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「プリキュア」は経済効果も絶大! 3番組合わせて420億円

 そんなニチアサを支えるスポンサーがバンダイだ(「スーパー戦隊」「平成ライダー」「プリキュア」)だ。ニチアサで新シリーズがスタートするたび、あるいはシリーズ内で新メンバーが増えるたびに新しいおもちゃが発売され、その経済効果も大きい。

 2019年3月期のバンダイナムコホールディングスの決算資料を見ても、国内のおもちゃの売り上げとしては、「プリキュア」が前年期81億円から101億円、「仮面ライダー」が248億円から273億円とそれぞれ約20億円も売り上げを伸ばしている。反面、「スーパー戦隊」は2017年から9:30に移動して『ワンピース』(フジテレビ系)とかぶったことが影響してるのか、91億円から60億円となっている。しかし、いずれにしても3番組合わせて420〜430億円の売り上げで推移していくと思われる。おもちゃ業界を支える、重要な役割もニチアサは持っている。

“崩れた鉄壁”、“見逃し配信拡大”にも負けない「ニチアサ枠」の強固さ

 日曜日の各民放の番組構成といえば、ゴールデンタイムに並ぶ日本テレビ系の『鉄腕DASH』→『世界のはてまでイッテQ』→『行列のできる法律相談所』や、18時台のフジテレビ系の『ちびまる子ちゃん』→『サザエさん』などが長らく“鉄壁編成”として高視聴率を獲得してきた。

 そして、子どもも大人も楽しめる「ニチアサ」も“鉄壁”のひとつだったのだが、ここにきてスタイルのいい“ツンデレ”ふうに変わった“ねこ娘”の人気と、現代社会に鋭く切り込むシュールな内容で話題の放送2年目に突入した『ゲゲゲの鬼太郎』→『ワンピース』のフジテレビの朝9時台、さらにテレビ東京の『デュエル・マスターズ』→『ファンとミラージュ』など、ニチアサと競合するアニメ軍が迫ってきている。

 しかし長年、日曜の朝に君臨し続けてきたニチアサの守りは堅い。最近では、動画サイトなどで番組の見逃し配信もされており、ニチアサも「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」は東映特撮ファンクラブとauビデオパス(有料)、「プリキュア」はTVer(無料)とリアルタイム“外”での視聴も行なっている。そうした配信システムやSNSの普及も味方して、ファンたちがリアルタイムでニチアサの時間帯をにぎわせ続けることができるのも強みだ。
 そもそも、ニチアサは1984年にはじまる日曜朝8:30分枠のアニメ『とんがり帽子のメモル』や『ビックリマン』、『まじかる☆タルるートくん』など、男児向け作品を長年にわたり放送し続けてきた流れにある。そういう意味では35年の歴史があり、「スーパー戦隊」や「仮面ライダー」ものでいえば、三世代を通じて受け継がれている“鉄壁の遺伝子”。さらに母から娘へと受け継がれる「プリキュア」遺伝子もあるとなれば、ニチアサは今後も時代に柔軟に対応しながら普遍的に進化していくに違いない。

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