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ミニチュアの神・田中達也の“見立て写真”に反響、8年間SNSで毎日新作を発表する理由

 Instagramのフォロワー、実に190万人を抱えるミニチュア写真家・見立て作家の田中達也氏。今年1月に『情熱大陸』(TBS系)で特集され、大きな反響を得たという。1日1作、『MINIATURE CALENDAR』(ミニチュア・カレンダー)として公開される作品は、身近な日用品をまったく別の何かに見立てたユーモアたっぷりのアート。日々、作品を創造し発表している田中氏に、その思いを聞いた。

元はサラリーマン、時間とコストの制約からジオラマ用ミニチュアを使用

 田中氏の作品は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(2017年)のタイトルバックにも起用。日本橋高島屋S.Cオープニングムービーのほか、テレビや雑誌で紹介されることもあり、目にしたことのある人も多いのではないだろうか。『MINIATURE CALENDAR』と銘打ち、毎日作品を公開する田中氏。バームクーヘンを使った作品には「BARムクーヘン」、サラダを海中に見立てた作品には「ビタミンSEA」と、付けられたタイトルとともに鑑賞するのも楽しい。
――田中さんは、現在も毎日『MINIATURE CALENDAR』として作品を公開。2011年から開始されたとのことですが、それ以前はどのような活動をされていたのでしょうか?
田中達也氏 広告制作会社で、デザイナー・アートディレクターをしていました。

――『MINIATURE CALENDAR』を始めたのは?
田中達也氏 2010年にInstagramを始めたことがきっかけです。人物の被写体が欲しかったのですが、サラリーマンとして働いていたため時間の制約があり、モデルを雇うにもコストがかかる。ならばと、趣味で集めていたジオラマ用のミニチュアを使い、毎日1作品を投稿するようになりました。

――日常的に使う文具や食品、化粧品などを別の何かに見立てた田中さんのミニチュア作品。それらを制作する、他にはない面白さとは?
田中達也氏 ミニチュアを介すことで、強制的に視点が切り替わって、モノの見え方が変わるところです。それから、自分の想像した風景を、小さいスペースで形にすることができる点も面白さの一つ。

――何か転機になった作品はあるのでしょうか?
田中達也氏 ブロッコリーをモチーフに使った作品です。それがきっかけで、「見立て」の表現に注力するようになりました。

アイディアは2つのパターンの思考法から生まれる

――見立てる内容や使う素材など、アイディアはどのように生まれてきますか?
田中達也氏 買い物をしているときに、アイディアを思いつくことが多いです。モチーフの形や色からアイディアを導き出す方法と、風景や言葉からモチーフを導き出す方法の2パターンがあって。例えば、ブロッコリーのシルエットを「葉の生い茂る木」に見立てるのが前者のパターン。連想ゲームのように、夏と言えば海、海と言えば青い、青いと言えばジーンズ…といった流れで、海を表現するのにジーンズを使うのが後者のパターンです。

――1つの作品を制作するのに必要な時間や手順は?
田中達也氏 所要時間は3時間ほど。制作の流れとしては、以下のようなものです。
1.アイディアをメモ
2.材料を揃える(必要があれば人形やモチーフを改造する)
※最初の2つは日頃から準備していて、3時間には含みません。
3.人形やモチーフを配置して撮影
4パソコンで画像の色味など調整
5.タイトルを考える
6.SNSにアップ

どんなに忙しくても…「毎日作品を作ることでアイディアを考える脳が鍛えられた」

――田中さんはテレビなどのメディアにも登場されていますが、いかがですか?
田中達也氏 『情熱大陸』に出演した際は、放送後にフォロワーが20万人増えました。

――現在はInstagramのフォロワーが190万人を超えるそうですが、とくに反響の大きかった作品は?
田中達也氏 反響が多かったのは、『Have a rice trip!』です。思ったより反響が少なかったものについては、一つ一つは覚えていないです。

――反響はあるにせよ、やはり毎日作品を発表するにはご苦労も多いのでは?
田中達也氏 どんなに忙しい状況でも、毎日必ず更新しなければならないことは大変ですね。ただ、始めた頃には想像していなかったのですが、毎日作品を作ることでアイディアを考える脳が鍛えられて、見立ての幅が広がりました。

積極的に作品をSNSに投稿、「アートは敷居が高いものではないと思ってもらえる」

――ネットやSNSで作品を公開することのメリット、デメリットは?
田中達也氏 メリットは、自分の作品を知ってもらうきっかけになること、発信力がつくこと。デメリットは、自分の意志とは関係なく、作品を無断で転載・使用されることですね。

――最近では、一般の方々も自作のアートをSNSに投稿する機会が増えています。そういった風潮についてはどのようにお考えでしょうか?
田中達也氏 アートを身近に感じてもらうことで、敷居が高いものではないと思ってもらえる。展覧会や美術館に足を運ぶ人が増えることは、いいことだと思います。

――作品を通して、伝えたいこととは?
田中達也氏 ミニチュアの視点から日常を観察することで、日ごろ何気なく見ているモノの見方が変わり、みなさんの日常が少しでも楽しくなると幸いです。
田中達也
 ミニチュア写真家・見立て作家。1981年熊本生まれ。2011年、ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアート『MINIATURE CALENDAR』を開始(以後毎日更新)。Instagramのフォロワーは190万人超える(2019年2月現在)。ほか、2017年NHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバック、日本橋高島屋S.Cオープニングムービー、森見登美彦著『熱帯』の装画などを担当。写真集『MINIATURE LIFE』、『MINIATURE LIFE2』、『Small Wonders』が発売中。現在、『MINIATURE LIFE展 田中達也見立ての世界』が国内外で開催中。

『MINIATURE LIFE展 田中達也見立ての世界』
3/16〜4/7 愛媛・愛媛県美術館
3/20〜4/1 群馬・高崎タカシマヤ
4/24〜5/6 岡山・岡山天満屋
4/27〜5/12 静岡・静岡市清水文化会館マリナート
5/24〜7/7 山口・周南市美術博物館
10/18〜11/4 金沢・金沢21世紀美術館
ほか、国内外を巡回予定。

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