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(更新: ORICON NEWS

22年目“川崎ハロウィン”が、「不良のたまり場」イメージから脱却できたワケ

 ハロウィン直前の週末となった10月27と28日、そしてイベント当日の31日、若者の街・渋谷にハロウィン目的の人が大集結。一部参加者による暴徒化や痴漢行為により「史上最悪のハロウィン」「変態仮装行列」などと揶揄されるほどの大混乱となった。一方、同じく27日と28日に川崎市で実施された『カワサキ ハロウィン(カワハロ)』は、パレード参加者数2,200人以上、沿道の観客は約12万人を集めるビッグイベントながら、整然かつ、和気あいあいと実施され、SNSでは「平和すぎる」と注目を浴びた。そこで、同イベントの総合プロデュースを行う(株) チッタ エンタテインメント・プロモーション本部長・土岐一利氏に、「渋谷ハロウィン」と『カワハロ』の違いについて聞いた。

イベントは“先手を読んだ”対処が必須「市や警察とのキャッチボールを半年かけて行う」

――『カワハロ』のきっかけは、チネチッタの10周年記念で、「何かイベントを」ということだったとお聞きしました。

土岐一利そうですね、22年前になりますが、チッタが単独でイベントをはじめました。当初は参加者の数が少なかったのですが、開始4、5年は倍々で増えていきました。
ただ、すぐにキャパシティの問題が発生しました。正直、イベントはキャパとの戦いといっても過言ではないです。

――だからこそ、運営と市政、そして警察との連携が必要なわけですね。

土岐一利市役所を含め、パレードのコースに関わる店舗や企業にどう協力してもらうのか。イベント運営の苦労の大半はここです。

――すべての店や企業が協力的なわけではないですものね。

土岐一利その通りです。開始当初の22年前は話にもならなかった。協力なんてしてもらえず、露骨に「関わりたくない」「やってほしくない」という声もありました。だから、我々は結果を出すしかなかったんです。

――“結果”とは、人を集めるということでしょうか。

土岐一利人を集めるのは大前提です。なので、「事故をおこさない」「問題を起こさない」こと…つまり失敗なんてできないんですね。なにか問題があれば、一発で終わっちゃうんですから。だから危機感も相当です。

――最近は、花火大会などでも参加者が増えすぎてキャパ問題が頻発しています。運営側が対処できず、歴史ある花火大会が中止になるケースも出ています。

土岐一利ゴミやマナーも含め、結局はホスピタリティの問題ともいえます。ただ、それを改善するには一朝一夕ではありません。時間をかけて注意喚起と啓蒙活動をするしかないんです。

――ルール作りとメッセージの継続的な発信。渋谷ハロウィンでは、イベント直前に渋谷区長が「参加自粛のお願い」をしていました。

土岐一利あれだけの規模の群衆ですがから、直前にお願いしてどうにかなるレベルの話ではありません。いかに“先手を読んで”対処するか、それに尽きると思います。まずは主催者責任の明確化。そして、イベントの細かな対策。『カワハロ』では市や警察とのキャッチボールを半年かけてやります。

『カワハロ』が必要以上に“美化”されている?「決して“お行儀のいい”イベントではない」

――『カワハロ』のパレード参加者は2千人以上、沿道に集まった観客も12万人を超えたそうですね。これだけの規模にも関わらず、イベントが「平和すぎる!」とSNSでも話題になっていました。一方の渋谷では、商店の方々が「商売にならない」との理由で休店するなど、負の連鎖も起きていました。

土岐一利カワハロ』の場合、昼間に人を集め、夜には街に流れてもらえるようにしています。おかげ様で川崎市における経済波及効果は年間トップクラスになっています。

――そこには『カワハロ』22年のノウハウが生きているわけですね。

土岐一利最近、渋谷との比較で『カワハロ』が必要以上に“美化”されていますが、我々はこの20数年間ずっと“怒られ続けて”きました。毎年、大小さまざまな問題が見つかりますし、今も収まっていない問題もあります。『カワハロ』が、報道されているような“お行儀のいい”イベントというわけではないんです。

――渋谷ハロウィンを叩きたいメディアやSNSの声があり、必要以上に持ち上げられていると。

土岐一利簡単な対比では語ってほしくない部分もあります。ただ、どんなイベント運営も根幹は同じで、問題に対してひとつずつ丁寧に改善・解決していくということ。

出発点は“川崎市を元気にしたい”という想い「渋ハロとカワハロは土俵が違う」

――先ほどは“お行儀のいい”イベントではないともおっしゃっていました。

土岐一利我々は慈善活動家ではありません。運営側も企業ですから、目的があるわけです。川崎市のいち商業施設として、目指すべき利益があって、それを達成するために行っています。

――それはどんな目的なのでしょうか。

土岐一利まず、“川崎を元気にしたい”ということ。今でこそ街の美化は進んでいますが、それこそ20数年前の川崎のイメージは、「ワイルド」「ダーティー」「灰色」「不良のたまり場」…そうしたマイナスイメージの方が大きかった。それをどうにかしようと思ったら、駅前のいち商業施設が孤軍奮闘しても無理なわけです。

――市政を巻き込むことが必要だったと。

土岐一利我々はこのイベントを「川崎をなんとかしたい」という危機感を持ってはじめました。でも、何か問題があれば即中止ですから、毎回必死です。だから責任者についても明確にするわけです。

――渋谷はイベントを取りまとめる運営者もおらず、市政や警察との連携も曖昧。“自然発生的なイベント”で収集がつかなくなった渋谷とは前提も大きく違いますね。

土岐一利メディアは「渋谷」と「川崎」を比べていましたが、それは違うかなと思っています。そもそも土俵が違うので、比べることに、あまり意味がないと思います。
(C)「カワサキ ハロウィン 2018」

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