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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)
気鋭の「デジラマ」作家が語る、『ガンダム』公式コンテンツに携わる“プレッシャー”とは?
作品の公開は「北米」、実は周囲にも内緒にしていた?
ひろぽん♪まず制作したガンプラを撮影してPCに取り込み、画像編集ソフトでガンプラ写真を切り抜きます。その後は背景画像と合成し、エフェクトや本体のレタッチ処理をする流れとなります。画像編集については、ビームなどのエフェクト加工を追加するだけのものから被写体の表面処理まで、作業内容は様々です。
――今回紹介している「デジラマ」作品ですが、“リアルガンプラ”が元になっていることに気づきませんでした。
ひろぽん♪最近は「デジラマ」の知名度も上がってきていますが、「デジラマ」という説明が無ければ気づかない場合もあるかもしれません。ツイッターなどで制作過程もアップしているので、そこで初めて気付く方もいらっしゃいますね。
――「デジラマ」を制作するようになった時期とキッカケは?
ひろぽん♪15年以上前、雑誌で「特撮モノ」の合成写真を見て、ガンプラを使ってこれをできないかな?と思いやってみました。
――「デジラマ」を制作するにあたって、影響を受けた作品があれば教えてください。
ひろぽん♪やはりガンプラのパッケージアート(箱絵)ですね。構図やポージングなどで多大な影響を受けています。ただし作品を作る際は、そのパッケージアートとは似ないように気を付けています。あと、デジラマ師のRobographerさんの作品からも影響を受けています。ポージングやパース、画面構成や表面処理など、どれを取っても素晴らしいです。
――ひろぽん♪さんの作品は、モバイルゲーム『ガンダムブレイカーモバイル(ガンブレ)』の北米版である『GUNDAM BATTLE : GUNPLA WARFARE』において、サービス開始前のキービジュアルとして使用されたとのことですが、どのような経緯で公式のビジュアルを担当したのでしょうか。
ひろぽん♪嬉しいことに、先方様からのご指名との事でした。題材がガンプラなので選んでいただいたのかなと思います。
――いわゆる“公式”に携わるということは、「影響を受ける側」から「影響を与える側」になります。プレッシャーは感じましたか?
ひろぽん♪日本が世界に誇る「ガンダム」コンテンツに関わるわけですから、もちろん緊張感はありました。ただ、問題点があれば先方からのチェックが入ります。その分気持ちは楽ですし、思い切ってやることを意識しました。
――周囲からの反響はいかがでしたか?
ひろぽん♪実は、キービジュアルの公開は北米だったので、特に周囲には言っていません(笑)。あちらのツイッターで自分の作品がポスター化されているのを発見し、「1枚欲しいな」なんて他人事のように感じていました(笑)。
「デジラマ」を継続できたのは、“趣味の延長”として割り切っているから
ひろぽん♪ガンダム、ギャン、ドムトローペン、ケンプファー、ジムなどですね。当然ゲーム内で登場する機体のみで構成されています。ガンダムは一番新しい物としてHGのREVIVE版を使用しましたが、頭部のみMGver3を使っています。
――「ガンブレ」の醍醐味は異なるキットを組み合わせたミキシングです。そうした要素も組み込んでいるんですね。ちなみに、キービジュアル制作にかかった時間は?
ひろぽん♪通常の「デジラマ」は20時間ほどですが、「ガンブレデジラマ」の作業はだいたい30時間くらいでした。先方チェック、修正などもあったので期間で言えば1ヵ月間くらいかかったかもしれません。
――手間暇をかけた力作なわけですね。では、「ガンブレデジラマ」で苦労したポイントを教えてください。
ひろぽん♪1画面に複数体を立体的に配置する必要があり、それぞれが邪魔にならないよう配置することと、全体に奥行感がでるように気を使いました。
――「ガンブレデジラマ」の作品も含め、「デジラマ」ならではの苦労や難しさは?
ひろぽん♪構図を考えるのが一番難しいです。というのも、イラストであれば自由な動きをつけられますが、「デジラマ」は撮影したガンプラを加工するため、自由度は制限されます。頭の中でイメージできる事と撮影できる事は違いますから(苦笑)。
――ポーズを決めて単純に撮るだけではダメなんですね。
ひろぽん♪普通に撮影した写真を使うとモビルスーツの“巨大感”が出ないので、遠景の背景にしか合わなくなってしまいます。そのため、背景の遠近感に合わせてパーツごとに別撮りしたり、変形させたりする必要があります。
――なるほど、「デジラマ」においてはそういう部分にも注目して欲しいと。
ひろぽん♪でも、それは制作側の都合でしかありませんよね。あまり細部を気にせず、全体の雰囲気とかを見て作り手の“妄想”に乗っかってもらえるだけで嬉しいです!
――では、これまでの「デジラマ」作品でもっとも“壁”を感じた瞬間は?
ひろぽん♪自分はイラストを描けるわけでもなく、ロボットの「デジラマ」専門なのですが、ご依頼などで被写体がロボットでなかったり、よりイラスト風な物を要求される事があります。
――その“壁”をどう突破しましたか?
ひろぽん♪とにかく勉強ですね。本来別ジャンルですが、苦手な分野に挑戦することで学ぶ事も多いです。ただ、勉強したからといってすぐになんとかなるものでもないので、まずは自分の作品内でみっちり練習します。そうした積み重ねで今の作風になりました。
――苦手ジャンルにあえて挑戦し続けた結果が、今のひろぽん♪さんの作風に繋がっているんですね。では、挑戦したい「デジラマ」作品があれば教えてください。
ひろぽん♪これまでロボット系を中心に作ってきたので、人物と絡めた作品を作ってみたいですね。朽ちたモビルスーツの上で遊ぶ子どもとか、“情緒のある情景物”が良いです。
――ひろぽん♪さんにとって「デジラマ」とは?
ひろぽん♪あくまでも“趣味の延長”です。根を詰め過ぎずに、作りたい時に作りたい物を無理せず作り続けて来たからこそ、ここまで継続できたのだと思います。
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