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“経年劣化”しない髪型、「ツインテ―ル最強説」はなぜ揺るがない?
元祖は“ウルトラの母”!? セーラームーンで揺るがないポジションを確保
中でも、もっとも大きな影響を与えたのは『美少女戦士セーラームーン』(テレビ朝日系)だろう。変身後にセーラームーンとなった月野うさぎは、かわいい髪飾りでお団子にした超ロングの金髪ツインテールで多くの子どもたちにインパクトを与えた。特に女子はツインテールにすることでセーラームーンに変身したかのような気分を味わい、その感覚はのちの日本のレイヤー文化のみならず、芸能界で活躍する女性アイドルたちにも少なからぬ影響を与えたのではないだろうか。
一般的にツインテ―ルと言えば「幼い子や学生がする髪型」というイメージだが、髪の色・結ぶ位置・結い方などによって、それぞれのキャラを印象付けることができる。結ぶのが低い位置なら真面目な優等生、地味っ子、恥ずかしがりや、ゆるいパーマがかかった茶髪のツインテールだったら、ゴージャスなお嬢様、わがまま、ツンデレ、ヤンデレといった具合だ。いわばツインテールはキャラクター性を幅広く表現することもできる汎用性の高い髪型とも言えるのだ。
一方で実生活で何故か見かけない…“二次元”と“現実”では印象の乖離が
では、芸能界はどうか? ツインテールのイメージが強いタレントと言えば、元Berryz工房のももちこと嗣永桃子、元AKB48の渡辺麻友、ドラマ『ごくせん』(TBS系)のヤンクミこと仲間由紀恵、イモトアヤコ、渡辺直美…といずれも劣らぬ強烈なキャラぞろいであり、ある意味ツインテールをツールとして、自分(役)をうまく当てはめてプロデュースできる特別なメンバーとも言える。
こうしてみると、どうやらツインテールはヒロイン的要素が強すぎたり、デフォルメ力が必要とされる意匠のようだ。総じて男性ウケはいいが、女性からはときに「あざとい」「ぶりっこ」と批判される可能性もあり、一般の女性にとっては実はハードルの高い髪型となっているのかもしれない。さまざまなキャラが乗っかりすぎているゆえ、いざツインテールに挑戦しようと思っても、実際の自分のイメージやキャラとのギャップを考えて、「やっぱ無理だわ」、「私のキャラじゃないかも」とあきらめてしまうのも無理がないのかもしれない。
ツインテールに見る“少女性”が男性の究極的理想に
2000年代初頭、モーニング娘。系のユニット「ミニモニ。」が大人気となったが、メンバーの中でも加護亜依と辻希美のツインテール姿は強烈な“少女”の象徴となっていた。ふたりのツインテールは少女のような“幼さ”と“あどけなさ”をアピールし、“誰のものでもない感”、男たちの“守ってあげたい感”を刺激した。“カワイイ”のアイコンとして、女性からも高い支持を集めた。実際、当時は幼稚園生や小学生の女子の間でもツインテールが大流行し、お母さんたちもこぞって娘たちにツインテールをこしらえていたのである。ひょっとしたら、このときがツインテールの“全盛期”だったのかもしれない。また、少女性が高いのに性格がクールだったり、子どもっぽくわがままなツンデレなのに、ときおり素直な一面を見せるなど、いわゆる“ギャップ萌え”の定番にもなっており、『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレーや先述の『花のち晴れ』の愛莉など、基本は強めのキャラなのに、いきなり弱ったり素直になったりされると、男ゴコロが騒いでしまうのである。
また、見落としてならないのはツインテールの“動き”。女性が動くたびにツインテールも前後左右に揺れ動く。ポニーテールでも動くが、前から見るとあまり髪の動きは見えず、そもそもどことなくスポーティーで色気がないとも言える。ツインテールの動きはどの角度からも見えるし、「猫耳」や「バニーガール」に萌えるような小動物的なかわいさもあり、男性も左右前後に揺れる髪を動物的な本能としてつい目で追ってしまう。さらに、その結び目の位置による“効能”もあるようだ。高い位置で結べば顔回りにも余白ができ、すっきりした印象から顔が小さく見える。低く結ぶと、学生時代に制服に合わせてよくやっていた髪型に変貌し、いわゆる“おさげ”になることで甘酸っぱい青春の記憶まで呼び起こしてくれる。
あまりにも深淵なツインテールの世界。ただ、髪をふたつに結べばいいというものではないらしい。しかし、そのハードルの高さこそが、男性にとっては“最強”の髪型であり、女性にとっては“最難関”の髪型である所以なのだ。今後、ツインテールに代わる「永久に不滅」の地位に登り詰める髪型が果たして登場するのだろうか? 引き続きその動向に注視したい。